アメリカ大統領選挙 トランプ、クルーズ、クリントン、サンダース

その買うを、もっとハッピーに。|ハピタス

トランプとクルーズ、何故ここまで差がついてしまったのか?クルーズの戦略的失敗は確かにあった。トランプ人気を最後の最後まで見くびっていたのが最大の誤算だが、トランプは所詮は Clown (道化師)だと誰もが心のどこかで確信していたはずだし、少なくとも彼の熱烈な支持者以外はそう思っていたはずだ。彼のここまでの大躍進を去年の段階で誰が予想できたであろうか? Trump is a joke. ほとんどの人間にとってトランプはジョークだった(The Absurdity of “Trump/Cruz Can’t Win”)。今回の大統領選挙から日本人は多くの事を学べる、というか、学ぶべきだろう。トランプのメディア戦略、クルーズの戦略ミス、サンダースとクリントンの誤算、人生の教訓の宝庫とも言える2016年アメリカ大統領選挙である。

スポンサーリンク

ドナルド・トランプ、東部5州総なめ

あまりにも衝撃的な共和党予備選挙だった。ドナルド・トランプの勢いに完全に火がついてしまった。得票率50%超えは有り得ないと、NeverTrump 陣営から言われ続けていたのが嘘のような超絶快進撃だ(Donald Trump Shatters His Ceiling)。5州の予備選挙全てで得票率50%超えという大偉業を成し遂げた。前夜のトランプの圧倒的大勝利には、反トランプ陣営の旗頭とも言える Karl Rove (カール・ローブ)も焦りを隠せない様子であった。誰もここまでの大圧勝は予想していなかった。こうなると来週のインディアナ州でのテッド・クルーズ勝利も危うくなってきた。ここでトランプが勝利すれば、トランプの共和党大統領候補指名選挙勝利が確定する。クルーズにとっては絶対に負けられない戦いの反面、トランプはここで勝てなくても、最終的にカリフォルニアで圧勝できれば全く問題が無い。理解不能なのが、ジョン・ケーシックだ。クルーズと共闘を宣言したはずなのに、事の重大さを全く理解できていない節がある。来週インディアナ州でクルーズが敗れれば、トランプが共和党大統領候補に確定することが分かってないような感じである。

スポンサーリンク

クルーズ陣営の戦略、戦術ミス

クルーズ陣営の戦略ミスはトランプを完全に舐めきっていた事だが、致命的な戦術ミスはやはり、アイオワコーカスでのベン・カーソン支持者達に対する、ある意味卑怯な行為とも取れる、投票妨害行為だったのではないだろうか。アイオワ州におけるクルーズ陣営の草の根政治活動の凄まじさをまざまざと見せつけられたエピソードではあったが、クルーズにとっては皮肉にも Pyrrhic victory (ピュロスの勝利)になってしまった。勝負の世界には勝てば官軍という言葉もあり、勝つためには手段を選ばない事も時として許される。しかし、クルーズにとってあまりにも不幸だったのは、クルーズにとっての最大支持層だった、evangelical voters (キリスト教福音派有権者)が彼のこの行為にノーを突き付けた事だった(How Ted Cruz Lost the Evangelical Vote)。さらに、その後のルビオに対する聖書を用いたでっち上げ中傷広告がクルーズに止めを刺したと言っても決して過言ではないだろう(Behind Ted Cruz’s Campaign Manager, Scorched Earth and Election Victories)。勝利のためには手段を選ばない、これは政治家が絶対にやってはいけない事の一つだろう。ダーティーなイメージは政治家にとって致命的だからだ。クルーズの若さか、あるいは、クルーズの雇った人材があまり良くなかったのか、とにかくクルーズは2020年のレッスンとして高い授業料を払った格好だ。

スポンサーリンク

トランプのメディア戦略

トランプのメディア戦略は天才的だった。試算によればトランプは2000億円近いフリーCMをメディアからもらった計算になるらしい(Trump’s earned $1.9 billion in ‘free’ advertising, report says)。トランプが出演した番組が高視聴率になるから当然と言えば当然なのだが、実はこれにはリベラル・メディアによる恐ろしい計略が潜んでいた。トランプを共和党選出の大統領候補に仕立て上げる事で、大統領選挙における民主党勝利を確実にするためのリベラルメディアの策略という声もあるのだ。個人的にもこの説には賛成で、トランプの大親友のビル・クリントンがドナルド・トランプに共和党から大統領選に出馬するように唆し、リベラル・メディアがトランプを大々的に宣伝する。もちろん、トランプのメディア露出の7割近くがネガティブ効果を持っていたらしいが、There is no such thing as bad publicity. (この世に悪い宣伝など存在しない) という言葉もあるように、リベラルメディアによる2000億円の free ads (無料宣伝)は、トランプというモンスターを作り上げることに成功した。しかし、もし万が一にも奇跡的にトランプが秋の大統領選で勝利してしまった場合、リベラルメディアはどうその責任を取るつもりなのだろうか?トランプを大統領に選んだアメリカ国民の責任でもあるが、トランプ大統領誕生で未曾有の悲劇が世界を襲うことを考えれば、アメリカのリベラルメディアの罪はあまりにも大き過ぎる。まさに策士策に溺れるだ。

スポンサーリンク

クリントンとサンダースの誤算

クリントンの誤算はE-Mail問題とサンダースの大躍進だった。E-Mail問題に関しては今後も予断を許さない(Oops. State Department withheld Clinton email which revealed private server for almost 2 years)。サンダースの大躍進はヒラリー・クリントン最大の誤算だっただろう。サンダースはトランプに匹敵するかそれ以上のジョーク候補者だったからだ。バーニー・サンダースがここまでクリントンを苦しめるとは誰一人予想していなかったはずだ。クリントンのE-mailスキャンダルとABC (Anyone but Clinton)という民主党内の空気がサンダースを大躍進させたとも言えなくもないが、実際はミレニアル世代の政治不信と富裕層への猛烈な怒りが最大の要因だろう。サンダース支持者の多くが、Occupy movement (反富裕層運動)の元メンバー達でもある(What’s the Future of Bernie Sanders’ Political Revolution?)。一方のサンダース最大の誤算は、貧困層のはずの黒人や他のマイノリティーが何故ヒラリー・クリントンをそこまで絶大に支持するのかという事だったはずだ(The Truth Behind Sanders’ Claim that ‘Poor Don’t Vote’)。貧困層が投票しないのではなく、貧困層が多いマイノリティーが何故クリントン支持なのか?という事をサンダースは言いたかったのだろうが、そんな事は口が裂けても言えないだろう。マイノリティー(主にラテンアメリカンとアフリカンアメリカン)がサンダースを支持しないのは、サンダースがユダヤ人という事も絡んでくるのかもしれないが、社会主義者に対する嫌悪感もあるのかもしれない。

スポンサーリンク
スポンサーリンク