アメリカ大統領選挙、トランプ現象と衆愚政治と独裁政権

トランプ氏の躍進は多くのアメリカ人に衝撃を与えています。トランプ氏の大統領選への出馬は悪い冗談でしかなく、メディアでも氏の立候補を真剣に受け取った人はほとんどいませんでした。トランプ氏が共和党代表予備選を勝ち抜く事を予想していたのは、恐らく、ほんの1握りの識者、評論家、コメンテーターだけでした。

トランプ思想は尊米攘夷です。つまり、国粋主義的孤立主義で、アメリカファースト、アメリカさえ良ければ世界がどうなろうと、どうでもいいという考えです。トランプ氏は損得勘定で政策決定をすると公言しています。アメリカの損になることは全て排除し、得になるようにネゴシエートすると言っています。

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トランプ独裁政権の可能性

もちろん、議会の承認なしにトランプ氏が好き勝手する事は不可能です。行き過ぎた行動をとれば、impeachment (弾劾) が待っています。多くのアメリカ国民が恐れているのは、トランプ氏が独裁者になるのではないかという事で、これに関してはその可能性がゼロであるとは誰も言えません。Yes, Even Some Republicans See Trump as a Fascist

“His neo-fascistic tendencies make him the most divisive and scary of any serious presidential candidate in American history.”

「彼のネオファシスト体質が、彼を、アメリカの歴史上、主要な大統領候補者の中で、最も対立的で、恐ろしくしています。」

トランプがアメリカ史上初の独裁政権を樹立するかどうかは分かりませんが、今現在トルコで現実に起こっていることを考えると、その可能性は決してゼロとは言えないし、トランプ氏のロシア大統領プーチン氏に対する強い憧れこそが、氏の独裁者に対する考え方の現れでもあるので、非常に危険だと警鐘を鳴らしている人達が多いのも事実です。

トランプ氏に独裁者になるだけの素養も能力もないという意見もありますが、その一方で、軍がクーデーターを起こしてトランプ氏を止める前に、有権者が彼を止めなければいけないという意見もあります(Are Leftists Planning A Coup On ‘President’ Trump? “Voters Must Stop Him Before Military Has To”)。

巷では、トルコで起きた軍によるクーデーターが、エルドアン大統領の自作自演と言われています(Turkey’s failed coup attempt was false flag operation: Analyst)。また、エルドアン大統領が失敗に終わったクーデターを使って、独裁者になろうとしているといった意見もあります(Erdogan is using failed coup to set up DICTATORSHIP in Turkey, Muslim cleric claims)。何れにしても、トルコとロシアの独裁者が、戦争を起こさない事を祈るしかありません。第三次世界大戦だけは勘弁してもらいたいものです。

トランプ大統領のアメリカで、同じような事が起きないことを祈らずにはいられません。そうなる前に、アメリカの有権者は、ヒラリー・クリントン元国務長官を大統領に選出しなければいけないと言われています。そう言っているのがリベラルメディアであったとしても、やはり、ファシズムの芽は事前に摘んでおかないと、後に禍根を残すことになる事は、人類は過去に嫌という程学んでいます。衆愚政治の行き着く先は身の破滅だけです。

衆愚政治とトランプ現象

Donald Trump and the Myth of Mobocracy

Ambitious men with no political experience casting themselves as providential leaders. The sense—elusive but real—that the people are morphing into the crowd, democracy mutating into mobocracy.

「政治経験の無い野心的な男達が、神意的な指導者として振舞う。民衆が群集に変わり、民主主義が衆愚政治に変異する、とらえどころがないが実在するその感覚」

トランプ氏と氏の遊説や演説に集まる大群衆の事を指して言っているのですが、トランプ氏以外にも、そのように振る舞う独裁者達と、彼等を支持する民衆の事も同時に言っています。

演説を聞いている聴衆達が、なぜ群集化して、群集心理によって過激化(暴徒化)するのかは、よく考えると非常に不思議な現象でもあります。populism(ポピュリズム、大衆主義)は、一般大衆の不満や怒りを巧みに利用して、怒りの矛先をscapegoat(スケープゴート)に向けさせ、本当の問題から目を背けさせます。本当の問題とは、大衆主義を扇動する人間が、指導者としての資質に欠けているという事です。

トランプ現象は衆愚政治の象徴

トランプ氏は人間的にも経歴的にも非常に問題が多い、本来なら大統領になるような人間ではないのですが、何故か共和党代表候補に選出されてしまいました。天変地異と言うしかありません。トランプ氏が出馬を表明する前は、ジェブ・ブッシュが代表候補で確定していたのですが、それに不満を持っていた共和党員がトランプ氏に縋り付いた結果が、トランプ現象の始まりでもあります。共和党主流派の愚かさが、共和党員を本気で怒らせ、その怒りがトランプ氏を党代表候補に押し上げたのです。

political correctness(ポリティカル・コレクトネス)、blanket amnesty(包括的恩赦)、Syrian Refugee problem(シリア人難民問題)、TPP(Trans-Pacific Partnership、環太平洋パートナーシップ協定)、H-1B visa、war、UN/NATO、trade deficit(貿易赤字)、Obamacare、VA scandal (退役軍人省スキャンダル)等、トランプ支持者がトランプ氏に期待する課題は山積みですが、これだけの課題を解決できるのはトランプ氏しかいないという、トランプ支持者の言い分があまりにも説得力がなく、トランプ氏を買い被り過ぎているのが問題です。

トランプ氏が大統領になれば、不法移民問題も難民問題も解決、貿易赤字も解消され、仕事も海外から戻って来て、政府の無駄はなくなり、世界の警察官放棄、国内インフラ整備を優先、アメリカが再び圧倒的な経済大国になるという、make America great again思想が成就されるという考えは危険過ぎます。期待が大きいだけに、トランプ政権が全くの期待外れに終わった時の、トランプ支持者の絶望感の行き場を考えると、アメリカという国の先行きが、本当に不安になってきます。

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