遺伝子工学:大腸菌ゲノムの大規模な編集に成功!

その買うを、もっとハッピーに。|ハピタス

細菌の遺伝子を大幅に書き換えるとか、素人目には超危険なような気がするのですが、どう考えても危険としか思えません。とは言っても、危険を恐れていては、科学の進歩は有り得ないので、細菌の大規模な遺伝子書き換えは、今後主流になっていくのでしょう。遺伝子書き換えによるバクテリア誕生も、もはや時間の問題なのかもしれません。

細菌の遺伝子書き換えによるメリットは大きいですが、デメリットも大きいです。両刃の剣であることだけは確かで、生物兵器として使われないことだけを祈るしかありません。人類を滅ぼせるとしたら、ウィルスか細菌だけと言われているだけに、今後の展開が懸念されます。

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遺伝子書き換え大腸菌

Biologists are close to reinventing the genetic code of life

They have designed—though not completely assembled—a synthetic Escherichia coli genome that could use a protein-coding scheme different from the one employed by all known life. Requiring a staggering 62,000 DNA changes, the finished genome would be the most complicated genetic engineering feat so far. E. coli running this rewritten genome could become a new workhorse for laboratory experiments and a factory for new industrial chemicals, its creators predict.

「研究者は、完全に組み立てられてはいませんが、全ての既知の生物で使用されているものとは異なるプロテインコーディングスキームに使う事が可能な、合成大腸菌ゲノム(全遺伝子情報)をデザインしました。62000という膨大なDNAの書き換えを必要とした、その完成したゲノムは、今までのところ、最も複雑な遺伝子工学の偉業ということになります。この書き換えられたゲノムで動く大腸菌は、研究室の新しい働き手であり、新しい工業用化学物質のための工場になり得ると、それの創造者は予想しています。」

創造主が良かれと思って作っても、創造主の意図に反して、とんでもない生態系破壊者に成り下がってしまう事例が過去にあったので、そうならない事を祈るしかありません。今回の遺伝子書き換え大腸菌の誕生(ゲノムの書き換えが完了しただけではありますが)は、遺伝子工学の快挙である事には間違いないので、科学の進歩的には良いことなのでしょう。ゲノムを大腸菌に埋め込む作業には後数年掛かるようなので、遺伝子書き換え大腸菌の誕生は、まだまだ先の話のようです。今までのところは問題なく作業が進行しているみたいです。

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遺伝子書き換えの方法

The work takes advantage of the redundancy of life’s genetic code, the language that DNA uses to instruct the cell’s protein-synthesizing machinery. To produce proteins, cells “read” DNA’s four-letter alphabet in clusters of three called codons. The 64 possible triplets are more than enough to encode the 20 amino acids that exist in nature, as well as the “stop” codons that mark the ends of genes. As a result, the genetic code has multiple codons for the same amino acid: the codons CCC and CCG both encode the amino acid proline, for example.

「その研究は、細胞のタンパク質合成機構に指示を出すのに使うDNAの言語である、生物の遺伝情報の冗長性を巧みに利用しています。タンパク質を生産するために、細胞は、DNAのコドンと呼ばれる3つのクラスターの中の4文字のアルファベットを読み込みます。64の可能なトリプレットは、自然界に存在する20のアミノ酸と、遺伝子の最後に印を付ける、停止コドンをエンコードするには十分すぎます。結果として、遺伝コードは、同じアミノ酸に対して複数のコドンを有します。例えば、コドンCCCとCCGの両方が、アミノ酸プロリンをエンコードするという事になります。」

Church and others hypothesized that redundant codons could be eliminated—by swapping out every CCC for a CCG in every gene, for instance—without harming the cell. The gene that enables CCC to be translated into proline could then be deleted entirely. “There are a number of ‘killer apps'” of such a “recoded” cell, says Farren Isaacs, a bioengineer at Yale University, who, with Church and colleagues, showed a stop codon can be swapped out entirely from E. coli.

「Churchと他の研究員は、余分なコドンは、例えば、全ての遺伝子中の全てのCCCをCCGに挿げ替える事で、細胞を傷付けることなしに、消去できるのではないかという仮説を立てました。CCCをプロリンに変えることが可能な遺伝子は、その後完全に消去する事が可能になるというわけです。”そのような再コード化された細胞のための多くのキラーアプリが存在します”と、エール大学の生物エンジニアのFarren IsaacsとChurchと同僚達が言っていて、停止コドンが大腸菌から完全に消去できることを証明しました。」

For this study, Church’s team decided to eliminate seven of the microbe’s 64 codons. That target seemed like “a good balance” between the number of changes that appeared technically achievable and the number that might be too many for a cell to survive,

「この研究のために、Churchのチームは、微生物の64コドンのうちの7個を消すことを決めました。その目標は、技術的に達成可能に思える変更数と細胞が生き残るのには余計に思える数との間の申し分のないバランスのように思えました。」

技術的に達成可能な数でなおかつ、細胞が生き残るのに十分なコドンを残す必要があるので、7個という数字が選ばれたようですが、多いんだか少ないんだか分かりません。

And the seven spare codons could eventually be repurposed to code up to four different unnatural amino acids.

「そして、7個の予備のコドンは、最終的に最大で4種の非天然アミノ酸をコード化するために再利用することが可能になります。」

非天然アミノ酸が何なのか調べてみました。非天然型アミノ酸技術研究チーム

生きた細胞にタンパク質の設計図を読み込ませることで、科学研究や産業に役立つタンパク質を合成することができます。本来なら細胞には存在しない人工のアミノ酸(非天然のアミノ酸)をタンパク質の一部として組込むことができるように設計図を書き換えておくことも可能です。このアミノ酸はタンパク質分子上の目印になったり、タンパク質の機能を高めるための化学反応に役立てたりできます。

人工アミノ酸の事のようです。天然アミノ酸以外のアミノ酸が作れるみたいです。

But making so many changes, even with the latest DNA editing techniques such as CRISPR, still appeared impossible. Luckily, the cost of synthesizing DNA has plummeted over the past decade. So instead of editing the genome one site at a time, Church’s team used machines to synthesize long stretches of the recoded genome from scratch, each chunk containing multiple changes.

「しかし、そんなに多く変更することは、例え、クリスパーのような最新のDNA編集技術を用いたとしても、それでもなお、不可能なように思えました。幸運な事に、DNAを合成するコストが過去10年間で下落しています。なので、一度に1つの場所でゲノムを編集する代わりに、Churchのチームは、個々のチャンクが複数の変更点を含んでいる、ゼロから再コード化されたゲノムの長いストレッチを合成するための機械を使いました。」

1つ1つゲノムを編集するのではなく、変更する必要のあるチャンク毎に、まとめて編集することができる機械を使ってゲノムの編集を行ったようです。

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遺伝子書き換え細菌の安全性

Whether others will agree with Church that his failsafe is unbeatable remains to be seen. “The term ‘safe’ needs a lot more scrutiny,”

「彼のフェイルセーフ機構が完璧であると、他の科学者達がChurchに同意するかどうかは、現時点ではまだ分かりません。”セーフという言葉は厳密な精査が必要です”」

自然界には存在しない栄養でしか生きられず、ラボ環境以外では絶対に生存不可能にするといった、二重の安全装置が設けられているとはいえ、遺伝子書き換え細菌の安全性には疑問が残ります。絶対に安全などという事は現実に有り得ないからです。

“Instead of the all-or-nothing connotations of ‘safe’ or ‘not safe,’ it is more useful to describe degrees of risk.”

「安全か安全でないかの絶対的な含意の代わりに、リスクの程度を述べるのがもっと有益なのです。」

絶対安全が有り得ない以上、リスクがどれだけ大きいのかということを説明する必要があるのは当然か事なのかもしれません。もしもの事態に時に、遺伝子書き換え細菌が公衆衛生に与えるリスクを事前に伝えることは、研究者達の責務であると言えます。日本でも遺伝子組換え大腸菌が殺菌せずに不法投棄されていた事例があるのだけに(奈良県立医科大、遺伝子組み換え大腸菌を違法廃棄…殺菌せず流しに3年間)、人間がやる事に絶対はないので、とにかく危険性をもっと真剣に議論する必要があります。

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