カルシウムと学習能力と記憶力の不思議な関係

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カルシウムが人間の骨や歯の健康に、とても重要な役割を果たしている事は非常によく知られていますが、それのニューロンにおける役割、特に学習や記憶などのプロセスへの影響はあまり明確にされていません。Cell Reports誌に発表された新しい研究が、新しい洞察を提供しています。カルシウムがどのようにして、学習や記憶に影響を与えているのか、非常に興味深いです。カルシウム不足が、人の記憶を悪化させたりするんでしょうか?

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ミトコンドリア

Scripps Florida scientists shed new light on the role of calcium in learning and memory

how calcium in mitochondria–the powerhouse of all cells–can impact the development of the brain and adult cognition.

In particular, the team showed in fruit flies, a widely used model system, that blocking a channel that brings calcium to the mitochondria, called “mitochondrial calcium uniporter,” causes memory impairment but does not alter learning capacity.

「どのようにして、全ての細胞の発電所であるミトコンドリア内のカルシウムが、脳と成人認知の発達に影響を与えることができるのか。特に、前述のチームは、広く使われているモデル系であるショウジョウバエにおいて、ミトコンドリアカルシウム単一輸送体と呼ばれる、ミトコンドリアへカルシウムを送り届けるチャネル(経路)を遮断することが、記憶障害を引き起こし、しかし、学習能力は変えないことを発見しました。」

ミトコンドリアへのカルシウムチャネル阻害が記憶障害に関わっているようです。あくまでもショウジョウバエを使った研究なので、実際に人間に当てはまるのかと、素人目には思えてしまうので調べてみました。ハエの脳はヒトの脳の病気のモデルになる

ショウジョウバエは、ヒトの脳の病気の優れたモデルになります。ヒトの病気に関係する遺伝子のうちの70%以上はショウジョウバエにもあり、それらの遺伝子を研究することでヒトの病気についての重要な知見を得ることができます。また、ヒトで病気を引き起こす遺伝子を遺伝子組み換えの技術を使ってショウジョウバエに導入すると、ヒトの病気と似た症状を引き起こすことがあります。これらのショウジョウバエを、ヒトの病気のモデルとして、治療法や治療薬を開発するための実験に用いることができます。もちろん、ショウジョウバエの研究からわかったことがすべてヒトの病気に適用可能なわけではなく、よりヒトに近いマウスモデルを使った研究結果などと比較して検討していくことが重要です。しかしながら、ショウジョウバエは遺伝子の研究を行うために適した多くの特長を持っていますので、ショウジョウバエモデルを用いた脳の病気の研究は、病気を引き起こす遺伝子のはたらきを研究したり、新しい治療法を探索していくためのひとつの有用な手法として広く認められています。

ショウジョウバエが人間の脳の研究に役立つみたいです。まじかよ!って感じです。

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遺伝子ノックダウン

“When we knocked down the activity of the uniporter, we found that flies have a deficit memory,”

「我々がユニポーター(輸送体)のアクティビティ(働き、活動)を(遺伝子)ノックダウンした時、ハエたちが記憶に欠損を持つことを発見しました。」

遺伝子ノックダウンについて調べました。遺伝子ノックダウン

遺伝子ノックダウン(いでんしノックダウン)とは、特定の遺伝子の転写量を減少させる操作を指すことが多いが、翻訳を阻害する操作についても用いられる。ノックアウトマウスなどの遺伝子そのものを破壊する遺伝子ノックアウトとは異なり、遺伝子の機能を大きく減弱させるものの完全には失わせない。

輸送体の働きをノックダウンするとは、遺伝子レベルで輸送体の活動を減弱させることのようです。遺伝子ノックダウンハエとでも言うのかもしれません。

“Intact uniporter function is necessary for full and complete memory in the adult fly. What surprised us is that they were still able to learn–albeit with a fleeting memory. But we thought they wouldn’t be able to learn at all.”

「無傷の輸送体機能が、成虫ハエにおいて、健全な記憶力のためには必須です。我々を驚かせたのは、拙い(つたない)記憶力にもかかわらず、ハエたちがそれでもなお学習できたということです。しかし、我々はハエ達は完全に学習不可能だろうと考えていました。」

記憶力が著しく衰えているのに、学習能力が全く変わらないというのが意味不明です。

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輸送体タンパク質

The mitochondrial calcium uniporter protein, first identified in 2011, allows calcium ions to move from the cell’s interior into mitochondria–like coal moving through a shoot into a furnace room. It is regulated by other proteins known as MICU1, MICU2 and EMRE. Davis noted that human patients with mutations in MICU1 can exhibit learning disabilities.

「2011年に初めて確認された、ミトコンドリアのカルシウム輸送体タンパク質が、カルシウムイオンが、石炭が炉室の中へ落とし口を進むように、細胞内部からミトコンドリアの中へ移動する事を可能にしています。それはMICU1, MICU2, EMREとして知られている、他のタンパク質によって制御されています。デービスは、MICU1における変異株を持った人間の患者が、学習障害を示す可能性がある事を指摘しました。」

MICU1 = mitochondrial calcium uptake 1、MICU2 = mitochondrial calcium uptake 2

EMRE = essential MCU regulator(必須ミトコンドリアカルシウムユニポーター制御因子)

カルシウムイオンがタンパク質を介して、ミトコンドリアへ運ばれているようです。

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シナプス小胞と軸索

Drago noted the team found evidence that inhibiting mitochondrial calcium uniporter function led to a decrease in the content of synaptic vesicles (miniscule sacs within the cell where various neurotransmitters are stored) and an increase in the length of axons (the slender filaments of neurons).

「ドラゴは、チームが、ミトコンドリアカルシウムユニポーター機能抑制が、シナプス小胞(さまざまな神経伝達物質が貯蔵されている細胞内部の小嚢)の内容物の減少と、アクソン(神経細胞の細長い突起)の伸長に至るのを発見した事に言及しました。」

輸送体機能抑制が、シナプス小胞の内容物を減らし、軸索を長くするみたいです。その事が記憶障害を引き起こし、しかし、何故か学習能力はそのまま温存されているようです。

構造的な問題が明確に観察されたその一方で、神経発達に関して、それらが一体何を意味しているのかは、じれったいほどに不明なままです。成虫ハエにおける記憶を制御している、ミトコンドリアカルシウム単輸送複合体の発達上の役割の発見は特に興味深く、さらなる探査を受けるに値するようです。記憶力が著しく劣化しているにもかかわらず、何故、学習能力が全く衰えないのかは、さらなる研究に値するのは確かなように思われます。

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