磁気ポーラロンが初めて画像化される

アールト大学とローレンス・バークレー国立研究所の研究者達は、ポーラロン形成が、電荷系においてだけではなく、磁荷系においても同様に発生することを実証しました。そのようなチャージの輸送特性をコントロールできれば、電荷の代わりに磁荷を使った、例えば、コンピュータメモリのような新しいデバイスを可能にします。

磁気を使うメモリは、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)のことだと思いますが、磁気抵抗メモリは次世代メモリの主流になると言われているだけに、今回の発見は磁気メモリに新たな進歩をもたらす可能性がありそうです。

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ポーラロン

Magnetic polaron imaged for the first time

Polarons are an example of emergent phenomena known to occur in condensed matter physics. For instance, an electron moving across a crystal lattice displaces the surrounding ions, together creating an effective quasi-particle, a polaron, which has an energy and mass that differs from that of a bare electron. Polarons have a profound effect on electronic transport in materials.

「ポーラロンは、凝縮系物理学において起こることが知られている創発現象の1つの例です。例えば、結晶格子を動き回っている電子は、周囲のイオンを動かすことで、裸の電子と異なるエネルギーと質量を持つ準粒子のポーラロンを作り出します。ポーラロンは物質中の電子輸送の上に計り知れない影響を持っています。」

そもそもポーラロンが何なのか調べました。ポーラロン

ポーラロン(polaron)とは、凝縮系物理学において、固体中の電子と原子の間の相互作用を記述するために用いられる準粒子。ポーラロンの概念は1933年にレフ・ランダウによって初めに提案された。電子が誘電体結晶中を運動すると、周囲の原子は静電相互作用を受け、平衡位置からずれて分極を生じ、電子の電荷をほぼ遮蔽する。この機構はフォノン雲として知られる。ポーラロンとはフォノン雲の衣をまとった電子をひとつの仮想的な粒子とみなしたものである。ポーラロンは元の電子と比べて移動度は低く、有効質量は大きくなる。

ポーラロンは基本的に電子の1種のようです。

人工スピンアイス

Artificial spin ice systems are metamaterials that consist of lithographically patterned nanomagnets in an ordered two-dimensional geometry. The individual magnetic building blocks of a spin ice lattice interact with each other via dipolar magnetic fields.

「人工スピンアイス系は、整然とした2次元形状にリソグラフィーでパターン化されたナノ磁石から成るメタマテリアルです。スピンアイス格子の個々の磁性構成要素は、双極子磁場によって相互作用しています。」

Researchers used material design as a tool to create a new artificial spin ice, the dipolar dice lattice.

「研究者たちは、新しい人工スピンアイス、双極子ダイス格子を作り出すためのツールとして材料設計を使っています。」

‘Designing the correct two-dimensional lattice geometry made it possible to create and observe the decay of magnetic polarons in real-time,’

「正確な2次元格子形状を設計することが、リアルタイムで磁気ポーラロンを作り出して、その崩壊を観測することを可能にしています。」

フラストレーション

‘We introduced the dipolar dice lattice because it offers a high degree of frustration, meaning that competing magnetic interactions cannot be satisfied simultaneously. Like all systems in nature, the dipolar dice lattice aims to relax and settle into a low-energy state. As a result, whenever magnetic charge excitations emerge over time, they tend to get screened by opposite magnetic charges from the environment,’

「我々はそれが、競合する磁気相互作用を同時に満たせない事を意味する、高いフラストレーションを提供するという理由から、双極子ダイス格子を採用しました。自然の中の全ての系がそうなように、双極子ダイス格子は、低エネルギー状態で、リラックスしてくつろぐことを目標にしています。結果として、磁荷励起がいつ自然に出現しようと、それらは環境からの反対磁荷によって遮蔽される傾向にあります。」

双極子ダイス格子が高いフラストレーションを有している理由から、ゆっくりくつろぐことを目指しているみたいな感じです。幾何学的フラストレーション

三角形の頂点にお互いに反強磁性相互作用をするスピンをおくと、はじめの2つについては、お互いに逆向きにそろいますが、残りのひとつについては、どちらになってもエネルギーとして変わらないため、その向きを決めることができません。このように、格子がもつ幾何学的条件によって磁気秩序状態が実現しえないことを「磁気的フラストレーション」といい、このような磁気状態を実現する格子のことを「幾何学的フラストレーション」を内在する格子系といいます。

磁気的フラストレーションを提供する幾何学的フラストレーションが、今回の研究の目玉である双極子ダイス格子ということのようです。

ポーラロン画像化

The researchers at Berkeley used photoemission electron microscopy, or PEEM, to make the observations. This technique images the direction of magnetization in individual nanomagnets. With the magnetic moments thermally fluctuating, the creation and decay of magnetic polarons could be imaged in real space and time.

「バークレイで研究者達は、観測を行うために光電子顕微鏡またはPEEMを使いました。このテクニックは、個々のナノ磁石の磁化方向を画像化します。磁気モーメントが熱変動するとともに、磁気ポーラロンの創造と崩壊が実空間と実時間で画像化されています。」

in real space and timeは実空間・実時間において、あるいはリアルスペース・リアルタイムで、のどっちでも問題ないです。

ポーラロンの画像化は史上初の快挙らしいので大発見でもあります。

デザイナーマテリアル

‘The experiments also demonstrate that magnetic excitations can be engineered at will by a clever choice of lattice geometry and the size and shape of individual nanomagnets. Thus, artificial spin ice is a prime example of a designer material. Instead of accepting what nature offers, it is now possible to assemble new materials from known building blocks with purposefully designed functionalities,’

「その実験はまた、格子形状と個々のナノ磁石の大きさと形のクレバーなチョイスによって、磁気励起を自由自在に改良できることを実証しています。従って、人工スピンアイスは、設計者材料の典型例と言えます。自然が提供しているものを受け入れる代わりに、意図的にデザインされた機能性を持った既知のビルディングブロックから新しい材料を組み立てることが現在は可能になっています。」

designer material = 設計者材料、デザイナーマテリアルは、自然ではなく、人間の設計者が意図的に作った材料という意味のようです。人工なんちゃらのなんちゃらの部分がデザイナーマテリアルと考えればいいのかもしれません。

‘This concept, which goes well beyond magnetic metamaterials, is only just emerging and will dramatically shape the frontier of materials research in the next decade,’

「磁気メタマテリアルにとどまらない、このコンセプトは、まだは登場したばかりで、次の10年間、材料研究の未開拓分野を劇的に形作るでしょう。」

デザイナーマテリアルは、遺伝子書き換えバクテリアや分子のスペースシャトル等、人工的に意図する機能性を持たせたモノを作り出すための、今後最も実用化されていくだろう分野であるだけでなく、人類の生活を180度変える潜在性を有しています。

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