量子コンピュータ:長寿で頑丈な量子状態が見つかる!

ソリッドステート(固体)量子ビット(半導体キュービット)の利用は、量子情報科学技術に基づいた電子機器の大量生産へ向けた重要な一歩です。しかし、長寿命で頑丈堅牢なキュービットの実現は、特に、複数種類の原子から構成されている半導体においては非常に困難です。今回アメリカの2研究グループの協働により、商用炭化ケイ素ウエハーにおいて、原子状欠陥に束縛された電子キュービットが、自然結晶における史上最長電子コヒーレンスを示すことを明らかにしたと、Nature Communications誌に掲載されました。

量子コンピューター実現への道のりは相当長そうですが、いったん量子コンピュータが完成すれば、量子コンピュータを使ってさらに高性能な量子コンピュータの開発が可能になるような気がするので、本物の量子コンピュータの登場が待たれます。

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量子コヒーレンス

Exceptionally robust quantum states found in industrially important semiconductor

“Quantum coherence underlies all quantum information technologies, such as quantum communication and quantum sensing. However, the coherence time in materials is eventually limited by the magnetic noise produced by the fluctuating nuclear spins in a crystal,”

「量子コヒーレンスは、量子通信や量子センシング等の、全ての量子情報技術の根底を成しています。しかし、材料におけるコヒーレンス時間は、結晶内での核スピンのゆらぎによって作り出される磁気ノイズによって最終的に制限されます。」

量子コヒーレンスとは重ね合わせの状態のことだそうです。

シリコンカーバイド

Defects in silicon carbide have recently attracted attention as potential candidates for solid-state qubits. Due to its extensive use in the optoelectronics and power electronics industries, silicon carbide also has a strong potential for mass production.

「炭化ケイ素における欠陥は、固体キュービットのための潜在的候補として最近注目を浴びています。オプトエレクトロニクス産業とパワーエレクトロニクス産業での広範囲に及ぶ利用のおかげで、炭化ケイ素は大量生産のための強い可能性を秘めています。」

パワーエレクトロニクスの意味は、パワーエレクトロニクスって何?

パワーエレクトロニクスとは, 電力用半導体スイッチング素子を利用して電力の変換や制御とそれらの応用を取り扱う技術分野です。 具体的には,電圧や電流の大きさを変えたり,交流電力と直流電力を相互に変換したり, 電力の流れをコントロールするなど, 電気エネルギーが関係するところには,パワーエレクトロニクスの活躍する場所がいくらでもあります。

だそうです。

スピンキュービット

However, spin qubits in silicon carbide have been expected to have inherently short coherence times because of the high concentration of magnetic nuclei in the crystals. Counterintuitively, the electron coherence time in silicon carbide reaches 1.3 milliseconds—the longest time measured in a naturally isotopic crystal.

「しかし、炭化ケイ素中のスピンキュービットは、結晶における高濃度磁性核のために、本質的にコヒーレンス時間が短いです。直感に反して、炭化ケイ素中の電子のコヒーレンス時間は1.3ミリ秒に達し、天然同位体結晶で最長です。」

naturally isotopic crystal = 自然に同位体結晶、the longest time measured in = ~で測定された最も長い時間(最長時間)

炭化ケイ素のスピンキュービットのコヒーレンスは短くても、電子のコヒーレンスは相当長いというのは、確かに反直感的であると言えます。

“Our work has important implications beyond silicon carbide. The essential physics and the dynamics responsible for the coherence found in silicon carbide, a binary crystal, may allow qubits in ternary and quaternary crystals to have even longer spin coherence times,” said Abram Falk, now a researcher at IBM’s T.J. Watson Research Center and the paper’s primary experimental author.

「”我々の研究は、炭化ケイ素の域に留まらない、重要な含みを持っています。2元結晶の炭化ケイ素に見られるコヒーレンスを可能にしている基礎物理学と基礎力学が、3元結晶と4元結晶がさらに長いスピンコヒーレンス時間を持つことを許容する可能性があります。”と現在IBMのトーマス・J・ワトソン研究所の研究員でこの研究論文の筆頭実験著者でもある、Abram Falkが語っています。」

Seo and Falk also emphasized that interesting host crystals with useful functionalities are normally found in binary or ternary crystals such as carbides, nitrides and oxides. The results suggest that developing defect spin qubits in complex polyatomic crystals would be a promising route to realize novel, multifunctional, quantum systems.

「また、SeoとFalkは、便利な機能を持つ興味深い母体結晶が、カーバイド(炭化物)、ナイトライド(窒化物)、オキサイド(酸化物)等の2元結晶か3元結晶内によく見られることを力説しています。研究結果が、複雑な多原子結晶における欠陥スピンキュービットの開発が、新しい多機能量子系実現への近道であることを示唆しています。」

欠陥スピンキュービットをググっても1件しかヒットしません。2011年のnatureasiaのサイトがヒットします。炭化ケイ素中の欠陥スピンキュービットの室温コヒーレント制御という内容の記事で、どうやら5年前から存在しているテーマのようです。

室温量子コンピュータが実現すれば、文明の進歩が飛躍的に加速すると言われているだけに、汎用量子コンピューターの実現が待たれるところです。

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