クプラートに静的電荷ストライプを発見!

クプラート(銅酸化物)が、他の物質をドープされ、華氏マイナス210度以下に冷却されると、抵抗無しで電気を導電するようになります。高温超電導の徹底した研究にもかかわらず、科学者は未だにその原理を解明できていません。過去の実験が、電荷ストライプとして知られる電場の規則正しい配列が、多くのクプラートにおいて、超電導と平和共存していることを立証していますが、そのストライプの正確な性質、特に時間と共に変動するかどうか、また、超電導との関係、それらが、対になって抵抗なしで流れる電子と一緒か対抗して働いているのかどうかについては謎のままです。

現在、米エネルギー省のブルックヘブン国立研究所の研究者が、変動的とは対照的に、静的電荷ストライプが、ランサナム(ランタン)とバリウムを特定量加えると、クプラートでの超電導と共存することを実証しています。Physical Review Letters(10月11号)に掲載された論文において記載された彼等の研究が、この静的に秩序化している電荷が、超電導と対抗するのではなく、むしろ協力的である可能性があることを示唆しています。もしこれが本当なら、静的電荷ストライプを形成するために周期的に一団になる電子が、超伝導に必要な自由運動電子から空間で分離する可能性があります。

”これらの化合物が、どう機能しているかの詳細な物理学を理解することは、我々が既存の説の正当性を立証、あるいは、除外するのを助け、超伝導温度の上げ方のレシピを教えてくれるはずです。”と論文共著者である、ブルックヘブン研究所の凝縮系物理・物質科学部門X線散乱グループのMark Deanは言った。”この温度を上げることは、ロスレス送電への超伝導の応用には欠かせません。”

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X線光子相関分光法

Scientists find static ‘stripes’ of electrical charge in copper-oxide superconductor

To see whether the charge stripes were static or fluctuating in their compound, the scientists used a technique called x-ray photon correlation spectroscopy. In this technique, a beam of coherent x-rays is fired at a sample, causing the x-ray photons, or light particles, to scatter off the sample’s electrons.

「それらの化合物で電荷ストライプが静的か動的かを確かめるために、研究員はX線光子相関分光法と呼ばれる技術を用いました。この技術では、コヒーレントX線ビームはサンプルに放射され、X線光子、あるいは、光粒子(軽粒子)がサンプルの電子を散乱させます。」

These photons fall onto a specialized, high-speed x-ray camera, where they generate electrical signals that are converted to a digital image of the scattering pattern. Based on how the light interacts with the electrons in the sample, the pattern contains grainy dark and bright spots called speckles. By studying this “speckle pattern” over time, scientists can tell if and how the charge stripes change.

「これらの光子は、それらが散乱パターンのデジタル画像へ変換される電気信号を発生する、特殊化した高速X線カメラの上に落ちます。試料において、光がどのように電子と相互作用しているかに基づき、そのパターンは、スペックルと呼ばれる粒状の暗く明るいスポットを含んでいます。このスペックルパターンを徐々に調べることで、研究員は電荷ストライプが変化するかどうかやどう変化するのかの見分けがつきます。」

国立シンクロトロン光源Ⅱ

In this study, the source of the x-rays was the Coherent Soft X-ray Scattering (CSX-1) beamline at the National Synchrotron Light Source II (NSLS-II), a DOE Office of Science User Facility at Brookhaven.

「この研究でのX線源は、ブルックヘブンのエネルギー省科学局ユーザー施設にある国立シンクロトロン光源Ⅱのコヒーレント軟X線散乱ビームラインでした。」

“It would be very difficult to do this experiment anywhere else in the world,” said co-author Stuart Wilkins, manager of the soft x-ray scattering and spectroscopy program at NSLS-II and lead scientist for the CSX-1 beamline. “Only a small fraction of the total electrons in the cuprate participate in the charge stripe order, so the intensity of the scattered x-rays from this cuprate is extremely small.

「”世界のどこでこの実験を行ったとしても非常に困難だったはずです。”とStuart Wilkinsは言った。”クプラート中のほんの僅かの電子だけが、電荷ストライプ秩序に参加しているので、このカプレートから散乱したX線の強度は、非常に小さいです。”」

この場所以外での実験は成功していなかったらしいです。銅酸化物超伝導体が常温超電導を実現できるとは思えませんが、そこに至るまでの叩き台としての役目は、今のところ見事に果たしているのではないでしょうか。

As a result, we need a very intense, highly coherent x-ray beam to see the speckles. NSLS-II’s unprecedented brightness and coherent photon flux allowed us to achieve this beam. Without it, we wouldn’t be able to discern the very subtle electronic order of the charge stripes.”

「結果として、我々は、スペックルを調べるために、極めて強烈で高コヒーレンスX線ビームが必要です。NSLS-IIの今までに例のない光度とコヒーレントな光子束が、我々にこの光線を与えてくれました。それなしでは、我々が電荷ストライプの非常に捉え難い電子秩序を識別することは不可能だったはずです。」

この施設でしか入手不可能な高出力X線だったようです。

The team’s speckle pattern was consistent throughout a nearly three-hour measurement period, suggesting that the compound has a highly static charge stripe order. Previous studies had only been able to confirm this static order up to a timescale of microseconds, so scientists were unsure if any fluctuations would emerge beyond that point.

「チームのスペックルパターンは、ほぼ3時間近い測定期間を通して一貫していた事が、その化合物が高度に静的な電荷ストライプ秩序を持っていることを示唆しています。過去のいくつかの研究は、最大マイクロ秒のタイムスケールでしか、この静的秩序をを確認できなかったので、科学者たちは、揺らぎがそのポイントを超えて出現していたのかどうか、確信が持てないでいたのです。」

マイクロ秒から3時間は、あまりにも差が有り過ぎるような。

X-ray photon correlation spectroscopy is one of the few techniques that scientists can use to test for these fluctuations on very long timescales. The team of Brookhaven scientists—representing a close collaboration between one of Brookhaven’s core departments and one of its user facilities—is the first to apply the technique to study the charge ordering in this particular cuprate. “Combining our expertise in high-temperature superconductivity and x-ray scattering with the capabilities at NSLS-II is a great way to approach these kind of studies,”

「X線光子相関分光法は、科学者が長期間のタイムスケールでこれらのゆらぎを検証するのに使うことが出来る数少ない技術の一つです。ブルックヘブンの科学者チーム(ブルックヘブンの中核部門の一つとユーザー施設の一つの間の密接なコラボを象徴している)は、この特殊なクプラートで電荷秩序を調査するためにその技術を初めて利用しました。”高温超伝導とX線散乱分野での我々の専門知識とNSLS-IIの性能を組み合わせることが、こういった種類の研究に取り組むための非常に良い方法です。”」

To make accurate measurements over such a long time, the team had to ensure the experimental setup was incredibly stable. “Maintaining the same x-ray intensity and sample position with respect to the x-ray beam are crucial, but these parameters become more difficult to control as time goes on and eventually impossible,” said Dean. “When the temperature of the building changes or there are vibrations from cars or other experiments, things can move. NSLS-II has been carefully engineered to counteract these factors, but not indefinitely.”

「そのような長時間にわたる正確な測定をするために、チームは実験装置が有り得ないぐらいに安定していることを確実にする必要がありました。”同じX線強度とX線ビームに対する試料の位置を維持することが鍵を握っているのですが、これらの変数は、時間経過と共に制御するのがより困難になり、最終的に不可能になります。”とDeanは言った。”建物自体の温度が変化したり、あるいは、車か他の実験からの振動があると、物は動きます。NSLS-IIは、これらの外的(内的)要素の影響を最低限に抑えるために、細心の注意を払って設計されてはいるのですが、永久ではありません。”」

施設が古くなればこれらの要素に対して抑えが効かなくなり、実験精度が著しく下がるので、ある程度の期間が過ぎると建て替えが必要になります。

“The x-ray beam at CSX-1 is stable within a very small fraction of the 10-micron beam size over our almost three-hour practical limit,” added Xiaoqian Chen, co-first author and a postdoc in the X-Ray Scattering Group at Brookhaven. CSX-1’s performance exceeds that of any other soft x-ray beamline currently operational in the United States.

「”CSX-1のX線ビームは、ほぼ3時間の実用限界の間、10マイクロビームサイズのごく僅かな部分の範囲内で安定的です。”と第一共著者のXiaoqian Chenは加えた。CSX-1の性能は全米で現在利用可能な、他のどの軟X線ビームラインの性能をはるかに超えています。」

マシンの性能と信頼性が今回の実験の全てだったようです。

不動の静的電荷ストライプ

In part of the experiment, the scientists heated up the compound to test whether thermal energy might cause the charge stripes to fluctuate. They observed no fluctuations, even up to the temperature at which the compound is known to stop behaving as a superconductor.

「我々の実験の一部において、実験者は、熱エネルギーが電荷ストライプを変動させるかどうかを検証するために化合物を暖めました。彼等は、その化合物が超電導として機能しなくなることが知られている温度まで暖めさえしましたが、変動を観測しませんでした。」

静的電荷ストライプの静的さは、武田信玄の風林火山で言うところの、動かざること山の如しに相通ずる物があります。

“We were surprised that the charge stripes were so remarkably static over such long timescales and temperature ranges,” said co-first author and postdoc Vivek Thampy of the X-Ray Scattering Group. “We thought we may see some fluctuations near the transition temperature where the charge stripe order disappears, but we didn’t.”

「”我々は電荷ストライプが、そのような長い時間軸と温度範囲に渡って、有り得ないぐらい静的なことに驚かされました。”と筆頭共著者とポスドクのVivek Thampyが言いました。”我々は電荷ストライプ秩序が消える遷移温度の傍でいくらかの揺らぎを見るかもしれないと考えていたのですが、見ませんでした。”

超電導でいられる限界まで暖められても、ゆらぎが起きなかったことは確かに驚きだと言えます。何の前触れもなく、超伝導状態の崩壊と共に、電荷ストライプが消滅するわけですから、本当に不思議であるとしか言えません。

In a final check, the team theoretically calculated the speckle patterns, which were consistent with their experimental data.

Going forward, the team plans to use this technique to probe the nature of charges in cuprates with different chemical compositions.

「最終チェク工程で、チームは理論的にスペックルパターンを計算し、それは実験データと一致していました。将来、チームはさまざまな化学組成を持つカプレートにおける電荷の性質を精査するのにこのテクニックを利用する予定です。」

室温超電導のヒントは電荷ストライプにあるんでしょうか。

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