超高密度3次元光記録にダイヤモンド欠陥を利用!

ビッグデータの世界では、大量の情報を保存する方法には限界が存在します。標準的なパソコンのハードディスクドライブは多くの電力を消費し、ドライブ当たり数テラバイトの記憶容量に限定されています。DVDやブルーレイのような光記憶媒体は、エネルギー効率が良くて安価ですが、ディスクの平面性と相変わらず厄介な光回折限界が原因で、記録密度が非常に低いです。しかし、研究者は、今の技術よりもはるかに大量のデータを保存できるかもしれない3次元ダイヤモンドチップ開発に進出しています。

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ダイヤモンド結晶記憶媒体

Defects in diamond: A unique platform for optical data storage in 3-D

In a new study appearing in the journal Science Advances, physicists in the group of Prof. Carlos Meriles at City College of the City University of New York (CUNY) seek to circumvent data storage limits by exploiting the charge state and spin properties of the Nitrogen-Vacancy (NV) center in diamond. The researchers have devised a memory bit that is no longer a diffraction-limited bump on the surface of a DVD, but instead an atomic-sized defect that can trap and release electrons at will with laser excitation. As proof of principle, the Meriles Group used optical microscopy to read, write and reset information in a diamond crystal with a two-dimensional bit density comparable to present DVD technology. Here, the crystal is equivalent to a rewritable memory storage device with virtually zero data degradation over time, if kept in the dark. The researchers also provided a route to extend the storage capacity to three-dimensions without affecting already written data. They further demonstrated that it is possible to control the spin degree of freedom, unique to this system, using precisely shaped multi-color beams and radio-frequency sources to achieve bit sizes much smaller than the optical diffraction limit. The resulting storage densities for such a diamond chip would be hundreds of thousands of times larger than existing Blu-ray technology.

Science Advances誌に掲載されている新しい研究で、ニューヨーク市立大学シティカレッジのMeriles教授のグループに属する物理学者達が、ダイヤモンド中の窒素欠陥中心の電荷状態とスピン特性を利用して、データ記憶制限を回避しようとしています。研究者は、DVD表面の回折限界隆起ではなく、その代わりに、レーザー励起で任意に電子を捕捉・放出可能な記憶ビットを開発しました。原理証明として、教授グループは、今のDVD技術に相当する2次元ビット密度を持つ、ダイヤモンド結晶において情報を読み書き初期化するために光学顕微鏡法を利用しました。ここで、その結晶は、暗い場所に保存されれば、事実上データの経年劣化がない、書き換え可能なメモリ記憶デバイスに相当します。また、研究者は、既に書き込まれたデータに影響を与えること無しに、記憶容量を3次元に拡張するための手段を提供しています。彼等はさらに、光回折限界よりもはるかに小さいビットサイズを達成するために、正確に加工した多色光線とラジオ周波数源を用い、この系特有の、スピン自由度を制御することが可能なことを実証しています。結果として前記のダイヤモンドチップに生じる記憶密度は、既存のブルーレイ技術に比べて数十万倍大きくなります。」

ブルーレイの数十万倍の記憶密度とかまじかよ!って感じですが、実際にはブルーレイディスク程度の大きさの記録媒体でどのくらいの記憶容量を達成できるのかが気になります。3次元構造みたいなので、ディスク形状ではないのでしょうが、容量の他にも、アクセスタイムの方も気になるところです。

無限に書き換え可能

“This work reveals a unique opportunity of utilizing atomic sized defects for high density data storage, transforming the beauty of physics into a vastly useful technology,” said co-first author Dr. Siddharth Dhomkar, Post-doctoral Associate in the Meriles Group. Speaking to the future real-world practicality of their innovation, Mr. Jacob Henshaw, co-first author and PhD student in the Meriles Group, said, “This proof of principle work shows that our technique is competitive with existing data storage technology in some respects, and even surpasses modern technology in terms of re-writability. You can charge and discharge these defects a practically unlimited number of times without altering the quality of the material.”

「”この研究は、高密度データ記録に原子サイズの欠陥を利用する、物理学の長所を非常に実用的な技術に変換するというめったにない機会を示しています。”と第一共著者が語った。彼等の技術革新の将来の現実世界での実用性を取り上げて、別の筆頭共著者が語った、”この原理証明論文が、我々の技術が、いくつかの点で、既存のデータ記憶装置技術と競争力があり、書き換え可能性に関して言えば、最新技術を越えてさえいます。あなたは、物質の品質を変えることなしに、事実上、何度も無制限で、これらの欠陥の帯電と放電が可能です。”」

既存の技術とは容量の面でも比べ物になっていないような気もしますが、問題は書き込み速度なんですが、かなり高速っぽい気がします。無限に書き換え可能なら、記憶装置が壊れるまで使えるということですが、装置の耐久性が気になります。DVDなんかだと、ピックアップのレンズの劣化やフレキの影響で壊れるのですが、一番のネックはレーザー光源の寿命になるんでしょうけど、よく分からずに適当に言っています。

古典的技術

“In principle, their technique could achieve higher information densities by encoding binary (classical) information (as opposed to quantum information) on the spin, rather than the charge, of NV centers,”

「原理上、彼等の技術は、2進(古典的)情報(量子情報とは対照的に)を、窒素空孔中心の電荷ではなくスピンにエンコードする事で、より高い情報密度を達成可能です。」

量子技術ではなく、古典的技術で、既存最新技術の数十万倍の記憶密度を達成しているわけですから、ダイヤモンドの偉大さが良く分かります。

“This is an exciting instance where the quest for next paradigm quantum technologies has yielded a novel advance in today’s classical technologies.”

「これは、次のパラダイムである量子技術探求が、今日の古典的技術での新しい進歩をもたらした面白い事例です。」

量子コンピュータのキュービットに窒素空孔を利用する研究中に、今回のダイヤモンド結晶にバイナリデータを記憶させる事が発見されたみたいです。

Although the diamond chip is in the early stages of development, Dr. Doherty points out that advances in super-dense , like those made by the Meriles Group, are necessary to support the increasing amounts of data processed by high performance computers in pursuit of scientific research, such as gravitational wave modeling in astrophysics, reconstruction of complex biomolecules, and climate change simulations.

「ダイヤモンドチップは初期の開発段階ですが、Doherty博士は、Merilesグループによって作られたもののように、超高密度データ記憶における進歩が、宇宙物理学分野の重力波モデリング、複雑な生体分子の復元、既婚変動シミュレーションなどの科学的リサーチを追求する高性能コンピューターによって処理される増え続けるデータ量をサポートするために必要な事を指摘しています。」

スーパーコンピューターを使ったデータ処理は、スパコンの性能が向上する度に増え続けるので、今後エクサスケールのスーパーコンピュータが誕生すれば、そのデータ量は爆発的に増えるので、確かに今回の研究成果は重要な意味を持っています。

ダイヤモンドの窒素空孔色中心を使って、室温で機能するキュービットの開発が進んでいますが、この炭素三兄弟の長男と言うべきダイヤモンドには、金銀に匹敵する物理的可能性が秘められています。さすがに高いだけあります。

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