室温位相絶縁体がコンピュータの未来を変える

次世代コンピュータの新たな流行が、アバンギャルドな世界へと変貌しつつあります。シリコンのような従来の半導体は、能力の限界に達していて、位相絶縁体(TI)と呼ばれる、非常に魅惑的な材料がシリコンに取って代わろうとしています。冷却に関して言えば、TIは液体ヘリウムではなく液体窒素で賄えます。

アメリカ国立標準技術研究所における、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校、北京理工大学を含む、複数機関共同の新実験が、その事を明確に示しています。

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位相絶縁体

Team heats up exotic topological insulators

Topological insulators are a new class of materials that were discovered less than a decade ago after earlier theoretical work, recognized in the 2016 Nobel Prize in physics, predicted they could exist. The materials are electrical insulators on the inside and they conduct electricity on the outer surface. They are exciting to computer designers because electric current travels along them without shedding heat, meaning components made from them could reduce the high heat production that plagues modern computers.

「位相絶縁体は、それらが存在する可能性が予測され、2016年にノーベル物理学賞で功績が認められた、初期の理論的研究後の発見以来10年にも満たない、新しいクラスの材料です。その材料は、内部は電気絶縁体で、外面は電気を通します。それらは、その物質で作られたコンポーネントが、現代のコンピューターの悩みの種の高い熱発生量を減らす可能性がある事を意味する、電流が熱を発することなしに、それらに沿って進むので、コンピューターデザイナーにとって刺激的です。」

熱を発すること無しに電流が流れるということは、ある意味、超電導体です。部品自体が超省エネなだけでなく、これで作られた部品は冷却の必要がないので、システム全体が省エネかつ小型化が可能になります。素晴らしい素材です。

量子コンピュータ

They also might be harnessed one day in quantum computers, which would exploit less familiar properties of electrons, such as their spin, to make calculations in entirely new ways. When TIs conduct electricity, all of the electrons flowing in one direction have the same spin, a useful property that quantum computer designers could harness.

「また、それらは、いつか、完全に新しい方法で計算するために、スピン等の電子の馴染みの薄い特性を使う、量子コンピューターにも利用できるようになるかもしれません。位相絶縁体が、電気を通す時、一方向に流れる全ての電子は、量子コンピュータデザイナーが利用できる便利な特性である、同じスピンを有します。」

量子計算機設計者は、現在最もホットな職業の1つと言えます。

液体ヘリウム冷却

The special properties that make TIs so exciting for technologists are usually observed only at very low temperature, typically requiring liquid helium to cool the materials. Not only does this demand for extreme cold make TIs unlikely to find use in electronics until this problem is overcome, but it also makes it difficult to study them in the first place.

「TIを技術者達にそこまで刺激的にしているその特別な性質は、通常、その物質を冷却するのに主として液体ヘリウムを必要とする、極低温でのみ観測されます。この極低温要求が、この問題が解決されるまで、TIのエレクトロニクス分野での利用を難しくているだけではなく、そもそもそれらを研究する事さえも困難にしています。」

液体ヘリウムとか、ヘリウム自体が有限元素なので、実用的ではないし、ヘリウムは次から次へと新しい存在場所が発見されているので、まだ当分は資源の枯渇にはならないようですが、今後使用状況が激変すれば、安心してはいられません。

位相絶縁体の磁化

Furthermore, making TIs magnetic is key to developing exciting new computing devices with them. But even getting them to the point where they can be magnetized is a laborious process. Two ways to do this have been to infuse, or “dope,” the TI with a small amount of magnetic metal and/or to stack thin layers of TI between alternating layers of a magnetic material known as a ferromagnet. However, increasing the doping to push the temperature higher disrupts the TI properties, while the alternate layers’ more powerful magnetism can overwhelm the TIs, making them hard to study.

「さらに、TIを磁化することが、それらを使って、刺激的な新しい計算装置を開発するための鍵になっています。しかし、それらが磁気を帯びる程度まで持っていく事でさえも、骨の折れる工程です。これを達成するための2つの方法が、TIに少量の磁性金属を注入、あるいはドープする事と(か)、強磁性体として知られる磁性体の交代層の間に、TI薄層を積層していく事です。しかし、温度を高めるためにドーピングを増やすとTI特性を乱す一方で、互層のより強力な磁力が、TIの磁力を圧倒して研究を難しくします。」

こういった異種材料間の薄膜積層構造は今後の主流になっていくと言われ、ナノスケールコンピューティングには必須テクニックでもあります。

To get around these problems, UCLA scientists tried a different substance for the alternating layers: an antiferromagnet. Unlike the permanent magnets on your fridge, whose atoms all have north poles that point in the same direction, the multilayered antiferromagnetic (AFM) materials had north poles pointing one way in one layer, and the opposite way in the next layer. Because these layers’ magnetism cancels each other out, the overall AFM doesn’t have net magnetism—but a single layer of its molecules does. It was the outermost layer of the AFM that the UCLA team hoped to exploit.

「こういった問題を回避するため、UCLAの生徒達は、交代層のための別の物質(反強磁性体)を試してみました。全原子が同方向を向くN極を持つ冷蔵庫の永久磁石と違い、その多層反強磁性体(AFM)は、1つの層が1方向を向くN極を有し、次の層は反対方向を向いています。これらの層の磁力がお互いに相殺されるので、AFM全体では、結果的に磁力を持たないことになりますが、それの分子の単層は磁力を持ちます。それは、UCLAチームが利用したいと思っているAFMの最外層でした。」

net magnetismのネットは、net income(純益)のnetと一緒です。

層ごとに磁気方位が逆になるから層数が奇数の場合でないと、最外層が磁力を持つことはないような気もしますが、どうなんでしょう。

液体窒素冷却が可能

Fortunately, they found that the outermost layer’s influence magnetizes the TI, but without the overwhelming force that the previously used magnetic materials would bring. And they found that the new approach allowed the TIs to become magnetic and demonstrate all of the TI’s appealing hallmarks at temperatures far above 77 Kelvin—still too cold for use as consumer electronics components, but warm enough that scientists can use nitrogen to cool them instead.

「幸運な事に、彼等は、最外層の影響力が、以前に使われた磁性体がもたらす圧倒的な磁力なしで、TIに磁気を帯びさせる事を発見しました。また、彼等は、新たな方法が、TIを帯磁させて、77ケルビン(家庭用電化製品部品として使うにはそれでも低温過ぎますが、科学者が冷却用にヘリウムの代わりに窒素を使うには十分暖かい)をはるかに上回る温度で、TIの魅力的な特徴の全てを示せる事を発見しました。」

77ケルビンは、約摂氏マイナス196度、液体窒素の温度です。それを遥かに上回る温度で位相絶縁体の超伝導体に似た特性を使えるので、高価な液体ヘリウムを使わないで済む分、研究がやりやすくなるみたいです。

夢の常温位相絶縁体

“Not only can we explore TIs’ properties more easily, but we’re excited because to a physicist, finding one way to increase the operational temperature this dramatically suggests there might be other accessible ways to increase it again. Suddenly, room temperature TIs don’t look as far out of reach.”

「”我々がもっと簡単にTIの性質を探れるだけでなく、物理学者にとって、こんなに劇的に使用温度を上昇させる1つの方法の発見は、それを再び上昇させる別の使用しうる方法が存在する可能性を示唆しているので、興奮させられもします。突如として、室温位相絶縁体がそんなに達成不可能なようには思えなくなっています。”」

まじかよ!って感じです。常温位相絶縁体が可能になれば、パソコンにとっては革命的な衝撃といえます。今とは比べ物にならない、今の標準的なパソコンがぴゅう太レベルのパソコンだとすれば、位相絶縁体を使ったパソコンは今の世界最速スパコンをはるかに凌駕する性能になるかもしれません。本当にそうなるかどうかは置いておくとして、今より遥かに安価で高性能で超省エネ軽量パソコンである事だけは確かです。

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