STT-MRAM(スピン注入型MRAM)の量産まで後一歩!

今日のコンピューターは、多くの場合、各々がそれぞれの強みと弱点を持つ、ハードドライブからメモリー素子に至る、4つほどの異なる記憶技術を使っています。新しいメモリ技術が、しかし、ユニークな特徴の組み合わせによって、この地勢を崩壊させようとしています。それはspin-transfer torque magnetic random access memory (スピン注入型磁気メモリ、スピン注入型MRAM)を意味するSTT-MRAMの見苦しい頭文字を使った名で通っています。他の全ての記憶技術は一長一短がありますが、そのSTT-MRAMが、全ての面で完璧であることが期待されているようです。

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スピン注入型MRAM

Engineers work on promising new memory technology

サムスングローバルMRAMイノベーションプログラムの15パートナーの1パートナーとして、シュミットラボは、この新興メモリー技術開発を手伝うためにサムスン研究員達と協働しています。シュミットは、彼の専門の光電子工学を使って、サムスンの試作品デバイスを研究するために極短レーザーパルスをベースにした光技術を利用しています。彼のアセスメントは、サムスンが材料と組立て工程を最適化するのに役立っています。

ナノ磁石

STT-MRAMは、情報を、直径100ナノメーター未満の、微小磁性素子、あるいは、ナノ磁石の磁性状態に記憶しています。回転盤と読み取り書き込みヘッドを持つハードドライブ等の他の磁気記憶技術とは違い、STT-MRAM素子は、それらが、データの読み書きに電流を使っているので稼働パーツを持ちません。現在の実装はまだ多くの改善の余地が残っているのですが、その技術は、電源を切っても保存情報が失われないことを意味する非揮発性の高速・高密度・高エネルギー効率メモリの可能性を提供しています。

過去20年に渡る、物理学と材料科学のいくつかの重要な進歩が、STT-MRAMと他の所謂スピントロニクス技術の発展をもたらしています。電子機器が電荷の動きに基づいているのに対し、スピントロニクスは、スピンと呼ばれる別の電子の性質を利用しています。スピンは、巨視的世界に直接的な相当物が存在しない量子力学の奇妙な概念の1つです。敢えて言えば、電子は、あたかもそれらがスピン(回転)していて、物質中の他の電子や原子と相互作用可能な、微小な磁気モーメント (N・S極を持った微小棒磁石のような) を作り出しています。 スピンバルブや磁気トンネル接合と呼ばれているSTT-MRAM素子中のナノ磁石は、電流が流れる事が可能な薄いバリアによって分離された2つの磁気層を持っています。二つの磁気層中のスピンがアラインされた時、抵抗が下がり、もしその2層が逆スピンを持てば、抵抗は上がり、計算機の二値論理の0と1を表している、2つの読み出し・切替可能な状態を提供してくれます。

スピントランスファー

電流を使ってスピンバルブの状態を切り替える能力は、決定的に重要な意味を持った技術革新です。電子スピンがアラインされている偏極電流は、そのスピン状態を、それが通過する間に、磁気層の1つにトランスファー可能で、スピントランスファートルク(STT)と呼ばれている現象です。ニッチアプリ用STT-MRAM素子は、ちょうど市場に届き始めていて、数十の企業がその技術を家電品用に最適化するのに取り組んでいます。

シュミット教授によると、課題の1つが、それらが加熱し過ぎないように、可能な限り省電力でチップを動かすことです。ナノ磁石を切り替えるのに、どのくらいの電流が必要なのかは、ダンピング、あるいは、新しいスピン状態に落ち着くのに要する時間に左右されます。ナノマグネットのアレイにおけるダンピングパラメーターを測定する事は、非常に困難ですが、シュミットの研究室は、短レーザパルスを使う事でこれを達成しています。院生で筆頭著者マイク・ジャリス主導で彼と共働者達は、Applied Physics Letters誌に掲載された研究論文の中で、彼等の最新の研究結果を報告しています。

”我々は、試作デバイスからダンピング測定値を取り出す事ができ、組立工程のナノ磁石の材料特性に対する影響を明らかにすることができました。”とシュミット氏は言った。

サムソンとのコラボは、彼の研究室にとって刺激的だと、彼は言い、彼の生徒達に新興技術の最前線で働く機会を与えてくれています。”それは完全に違うタイプのメモリで、私はそれが、次の数年以内にもっと多くのアプリに使われることを期待しています。”

スピン注入型MRAM、スピン注入型磁気メモリ、あるいは、スピントランスファートルクMRAMは、もう既に一部のニッチアプリ用に出荷が始まっているようです。これは恐らく、かなり高額なコンピュータとか、軍事産業とか、そういったニッチな産業用なのではないかと思われます。STT-MRAMはハードディスクやSSDなんかに取って代わるみたいな感じなので、これが5年後にパソコンに使われるようになれば、かなり凄い事になりそうな気がします。メインメモリ(主記憶)がHDD/SSDをも兼ねるとか、夢みたいです。

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