世界初!トロイダル磁石を使った暗黒物質の探索

韓国基礎科学研究院(IBS)のCenter for Axion and Precision Physics Research (CAPP)の科学者達が、axion(アクシオン)と呼ばれるダークマター(暗黒物質)の1つの構成要素の可能性のある粒子を探索するためいくつかの磁石の特性を最適化しています。信じ難いことではありますが、我々が普段、肉眼や顕微鏡、天体望遠鏡で目にしている全ては、既知宇宙のたったの4%しか占有していません。残りは、ダークエネルギー(69%)、ダークマター(27%)が構成しています。宇宙には可視物質よりも多くの暗黒物質が存在しているように思われていますが、我々は、未だに直接的にそれを検出することができないでいます。その理由は、暗黒物質が、光を放出しなかったり、電磁波を吸収しなかったりするので、本当に観測するのが難しいからです。興味深い事に、ダークマターは、銀河の動きや、銀河形成や進化の最近の仮説の一部を説明するのに必要とされています。例えば、我々の太陽系を含む銀河のミルキーウェイが、はるかに巨大なダークマターの光輪によって包まれているように思われています。その光輪は、天使の後ろに描かれている物とは全く違い、実際には、目には見えませんが、その存在は、それの星やガスの運動への影響により推測されています。

halo = ハローと訳すのが主流みたいですが、天使の光輪ということで、光輪と訳してみました。

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暗黒物質粒子アクシオン

Can the donut-shaped magnet ‘CAPPuccino submarine’ hunt for dark matter?

暗黒物質粒子は、今までの所検出はされていませんが、科学者達は、こういった粒子が非常に僅かな質量を持ち、宇宙の至る所に分布していることは分かっています。暗黒物質粒子候補の1つが、アクシオンです。アクシオンは、物質とほとんど相互作用しないので、科学者は、それらの存在を捕えるための特殊な装備が必要で、特に、強力な磁場を通過するアクシオンが光子と相互作用でき、別の光子に変換(アクシオン-光子変換) できる事実を巧く利用している、所謂アクシオン・二光子カップリング技術(アクシオン・光子結合の2光子バージョン)を使っています。この相互作用を記録するために、IBS科学者達は、韓国大田にhaloscopes(ハロスコープ)を構築中です。

ハロスコープは、超強力磁場に浸った共振空洞を含んでいます。簡単に言えば、共振空洞を、アクシオン-光子相互作用から生成された光子のエネルギーが増幅されているジュース缶のような円筒だと思って下さいとの事です。

トロイダル磁石

今までこの種の実験に使われる磁石は、専門的にソレノイドと呼ばれている、らせん形に巻かれたコイルの形状を持っていましたが、磁石の高さにより、アクシオン・光子相互作用から生じるシグナルを失う危険性が存在します。この理由から、IBS科学者達は、トロイダル磁石と呼ばれるドーナツのような形をした、別のタイプの磁石を詳しく調査検討する決意をしました。”磁石は、ハロスコープの最も重要な部品の1つで、一番高価です。他の実験が、世界各国でソレノイド磁石を使って暗黒物質を見つけようとしていますが、トロイダル磁石を使った試みは我々が初めてです。それが過去において一度も使われていないため、簡単にはその機器を購入することができないので、我々は独自でそれを開発しました。”と、コー教授は説明しています。

アクシオンを捕捉するために、科学者達は、その前に立ちはだかって、アクシオン・光子変換から予測される電磁エネルギーの規模を予測する必要があります。電磁エネルギーは、電気エネルギーと磁気エネルギーの合計で、それら双方は、ソレノイド磁石では簡単に計算できるのですが、トロイダル磁石の場合、分析的に磁気エネルギーを計算することは実質的に不可能です。この理由のために、トロイダル磁石がハロスコープには使われることはできないと、今まで信じられてきました。

今回のIBSの研究論文はその逆を示しています。荷電粒子が電気力と磁気力を起こす仕組みを定義している、マクスウェル方程式の調整バージョンを根幹にして、科学者達は、アクシオン・光子相互作用由来の電気エネルギーと磁気エネルギーが、どちらのタイプの磁石においても同じことを発見しました。従って、たとえ、2つのエネルギーの和である電磁エネルギーを導き出すために、トロイダル磁石の磁気エネルギーが未知であっても、電気エネルギーを倍加して磁気エネルギーを得るのは可能です。

アクシオン・光子変換

もう一つの発見が、アクシオン・光子相互作用とアクシオン・光子変換から放出されるエネルギーは、ソレノイド磁石内部の共振キャビティの位置には依存していないということですが、この事はトロイド磁石には当てはまりません。

IBS CAPP科学者は、toroidal cavity(トロイダルキャビティ)に、CAPPuccino(カプチーノ)潜水艦というあだ名を付けています。何故なら、そのキャビティの色がカプチーノの色に似ていて、その独特な形状が潜水艦そっくりだからです。今回の論文に掲載されている全ての理論的な発見は、dark matter(ダークマター)探索用の新しいマシンの開発と試作品作成のための確固たる背景的情報を形成してくれます。

resonant cavity = 共振空洞、共鳴空洞、共振キャビティ、共鳴キャビティ

axion-to-photon conversion = アクシオン-光子変換

axion-photon interaction = アクシオン-光子相互作用

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