イッテルビウム原子鎖にレーザーと磁場で作られた時間結晶

その買うを、もっとハッピーに。|ハピタス

もし、結晶が、ダイヤモンドの炭素格子のような、空間的に繰り返す原子構造を持つなら、時間的に繰り返す構造を何故持てないのか?つまり、時間結晶?先週Physical Review Letters 誌にオンライン掲載された研究論文の中で、カリフォルニア大学バークレー校物理学助教授が、まさにそういった結晶の性質作って測定する方法を説明し、氷の液体相や気体相のように、どういった種類の相を時間結晶が持っているのかを予測さえしています。

スポンサーリンク

時間結晶が確認される

Scientists unveil new form of matter: Time crystals

この事はただの推測ではありません。ヤオ氏の青写真に従い2つのグループが、既に史上初の時間結晶を作り出すことに成功しています。メリーランド大学とハーバード大学のグループは、2つの完全に異なった設定を使った彼等の成功を、去年オンライン掲載されたそれぞれの研究論文の中で報告していて、その研究結果を出版のために提出していました。ヤオ氏は両方の研究論文の共著者になっています。

時間結晶は、言ってみれば、ジェロがプルルンし続けるように、それを繰り返し指でタップし続けるのと一緒で、周期的にキックされることで時間的に繰り返しているとヤオ氏は言い、さらに彼は、今回の大きなブレイクスルーが、こういった特殊な結晶が時間的に繰り返すという事よりも、例えば、それらが、ダイヤモンドやルビーのような静止平衡に安定できない、内在的に非平衡である広範なクラスの最初の新素材であるという事の方が大きいと主張しています。

”これは完全に新しい物質の相ですが、また同時に、それが非平衡物質の最初の例の1つなので、本当に素晴らしいのです。”とヤオ氏は言いました。”過去半世紀の間、我々は、金属や絶縁体のような平衡物質を探求し続けてきました。我々は、たった今、非平衡物質の完全に新しいランドスケープを探索し始めたばかりです。”

ヤオ氏が時間結晶の応用法に苦慮している一方で、他は、非平衡物質の相が、理論的に、ほぼ完璧なメモリとして将来有望で、量子コンピュータへの応用の可能性も視野に入れています。

スポンサーリンク

イッテルビウム鎖

メリーランド大学のクリス・モンロー氏等によって作り出された時間結晶は、量子コンピュータとしてテストされているキュービット系によく似た、スピンが相互作用する10個のイッテルビウムイオンのコンガラインを利用しています。イオンが平衡状態にならないように、研究者たちは、最初のレーザーが有効磁場を作り出し、2番目のレーザーが部分的に原子スピンを反転させるその順序を何度も繰り返すように、イッテルビウムイオンを交互にヒットしています。スピンが交互に作用し合っているので、原子は安定した、結晶を定義するスピン反転の繰り返しパターンに落ち着きました。

時間結晶は、2012年にノーベル賞受賞者のフランク・ウィルスチェック氏によって最初に提唱され、去年、プリンストン大学とカリフォルニア大学サンタバーバラ校Station Q の理論物理学者がそれぞれ、そういった結晶が作成可能な事を証明しました。ヤオ氏によると、UCバークレー校グループは、理論的発想と実験実装間を橋渡ししているとの事です。

スポンサーリンク

対称性の破れ

量子力学の視点では、電子は、基礎を成す秩序的な3次元原子アレイの空間並進対称性とは一致しない結晶を形成することが可能です。この事が、物質の耐暑性を破り、我々が結晶と定義しているユニークで安定した性質をもたらしています。

spatial translation symmetry = 空間並進対称性

time crystal (時間結晶)は、time symmetry (時間対称性) を破ります。今回特有のケースでは、磁場とレーザーが周期的にイッテルビウム原子を駆動し、通常の系においてはまず起きることはないだろう、その駆動体の周期の倍の周期で系に繰り返しパターンを作り出しています。

ジェロを軽く揺らして、どういうわけか与えた周期と異なる周期で反応したら、超不気味ではないでしょうか?でも、それが時間結晶の本質なのです。ここに周期Tを持ったある種の周期駆動体があり、それを含んだシステムを観測したら、どういうわけか、そのシステムが、Tより大きな周期を持つ周期で振動して同期していたというわけです。

ヤオ氏は、メリーランドチームが新物質を作り出せるように、モンロー氏と緊密に協働し、その物質が実際に安定した、あるいは固定した時間結晶である事を確証するための重要な性質を測定することに、彼等が焦点を当てられるように手助けしています。ヤオ氏は、時間結晶が、様々な磁場とレーザーパルス下で、角氷のように相を変える仕組みも同時に説明しています。

ミハエル・ルーキン氏率いるハーバードチームは、凝縮したダイヤモンド窒素空孔中心(NVセンター)を使って、独自の時間結晶を提起しています。

そういった二つの全くの異種システムで実現された似たような研究結果が、時間結晶が、広義の新しい物質相であり、単に極度に限定的な系に分類された好奇心でない事を強調しています。

ヤオ氏は、他の新奇かつまだ未実現の非平衡物質の背後にある理論を探求するために、自分自身の時間結晶の研究を続けています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク