カイラル量子光学:光コンピュータと量子コンピュータの未来

最近、驚くべき物理的影響が、特殊な微視的光導波路を使って観測されています。そういったフォトニック構造は、現在、オプティクスとフォトニクスの分野で革命をもたらしていて、カイラル量子光学のための新しい研究領域を開拓しています。光は伝播する方向と直角(横断)に振動しています。しかし、専門家達の間では、所謂フォトニック構造を使って水平面に強く閉じ込められると、光は異なる振る舞いをすることが既に知られています。特に、この事は、光の波長より小さい、直径がほんの数百ナノメートルの特殊な極薄グラスファイバーに当てはまります。また、所謂光結晶(周期的に配列されたホールを持った2次元構造)を利用した導波路が、この方法で光を閉じ込めることが可能です。

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回転偏光/回転電場

Chiral quantum optics: A new research field with bright perspectives

この状況では、光は、伝播方向(縦断)に沿って振動もしています。横振動と縦振動の組み合わせが、物理学者達が、回転偏光と呼んでいる回転電場を引き起しています。空間的閉じ込め無しだと、円偏光に付随する電場は、軸が伝播方向と平行な航空機のプロペラのように振る舞います。しかし、狭いフォトニック導波路では、光の電場は、ヘリコプターのローターに似ています。こういった状況下では、光のスピンは、ローターの軸沿いに向いているので、光の伝播方向と垂直に配向されています。

スピン運動量ロッキング

この予期せぬ現象は、電場の回転方向が、突如、光の伝播方向によって定義されるという、重大な結果をもたらします。フォトニック構造内の光が、逆向きに移動するや否や、電場は、その逆に回転し、スピンは反転します。物理学者はこの現象をspin-momentum locking(スピン運動量ロッキング)と呼んでいます。所謂quantum emitters(量子発光体)が、light field(光場)と結合する時、おもしろい事になってきます。これらは、例えば、原子ドット、あるいは、量子ドット、すなわち、半導体材から作られたナノ微視的構造になり得ます。そのようなエミッタ(発光体)は、光(光吸収)によって励起される事ができ、それを放射し返します(光放射)。最近まで、この光とエミッタ間の相互作用は、常に対称的で、全く同じ光量が、1つの方向とそれと逆方向に放射されていることが、量子光学において常識だと思われてきました。

しかし、量子エミッタは、それらがある特定の分極光(偏極光)だけを吸収するように設定することができます。フォトニック構造では、電場の回転方向、つまり、光の偏光は、伝播方向によって決定されます。そういうわけなので、もし我々が今現在、適切に作られた量子エミッタをフォトニック構造の光場に持ってくれば、エミッタと光の間の相互作用の強さは、光の伝播方向によって決定されることになります。方向依存性相互作用を持つことは、対称性が破れていることを意味しています。つまり、エミッタは、逆方向に別々に放射します。この方向依存性(カイラリティ)が、chiral quantum optics(カイラル量子光学)の基本的概念で、発光(光の放射)だけで起こるのではなく、光の吸収や光の散乱でも起こっています。

カイラル量子光学の応用

2012年以降、さまざまなグループが、多くの実験で類似の作用を証明し、色々な目的にそれらを利用しています。Rauschenbeutel氏と彼のチームは、彼等の研究を、原子と微視的金属粒子を結合させている、極薄グラスファイバーとボトル形状共振器に集中させてきました。彼等の共著者の、コペンハーゲンにあるニールス・ボーア研究所Lodahl氏は、これに反して、フォトニック結晶を利用した導波路を使っています。

新しい物理作用は、根本的に新しいアプリケーションを可能にしています。研究者は、光用の一方通行道路である、光ダイオードを開発しています。彼等は、単一原子が、ラウンドアバウト内の車の行き来のように光をコントロールしているサーキュレーターを実現しています。そういった非可逆的なデバイスは、光の伝播方向に依存している光学的性質を有し、それらの電子的な相対物と同じように、光回路の実現化に必要とされています。そういった光素子は、次世代コンピュータで利用されることができるようになるかもしれません。

しかし、カイラル量子光学に基づく光チップは、古典的な情報処理だけに使われるだけではないかもしれません。それらは、単一光子を処理するのにも向いていて、さらに、量子力学的な重ね合わせ状態で用いる事もできます。この点で、カイラル量子光学コンポーネントは、次世代量子ネットワークや量子コンピュータにおいて、量子情報を処理するのに最適です。

カイラル量子光学は、光コンピュータだけではなく、量子コンピュータに対する、今後ホットな研究分野になっていくようです。この先の展開がかなり期待できそうです。

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