STEDを越えるSTEDD(誘導放出二重抑制)ナノ顕微鏡法!

光学顕微鏡は、生命科学分野で広く使われています。特に、生体細胞をできるだけ非侵襲的に観察するのに使われていますが、従来型光学顕微鏡の解像度は、光の半波長(約200nm)に制限されるため、最高解像度の細胞構造画像はぼやけてしまいます。これまでに、回折限界を克服して最高解像度画像を実現するための様々なナノ顕微鏡法が開発されてきています。

現在カールスルーエ工科大学(KIT)の研究者達が、背景が効果的に隠れるように画像取得に修正を加えることで、ヘル氏によって開発されたSTED (Stimulated Emission Depletion:誘導放出抑制)ナノ顕微鏡法に磨きをかけています。結果として作られる改良画像品質は、特に、3次元で密に配列された分子や細胞構造の定量的データ分析に威力を発揮してくれます。

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STEDD(誘導放出二重抑制)

Background suppression for super-resolution light microscopy

The new nanoscopy method named STEDD (Stimulated Emission Double Depletion) developed by the team of Professor Gerd Ulrich Nienhaus of KIT’s Institute of Applied Physics (APH) and Institute of Nanotechnology (INT) is presented in Nature Photonics.

STEDD (Stimulated Emission Double Depletion:誘導放出二重抑制)と名付けられた、KITの応用物理研究所とナノ技術研究所のゲルト・ウルリッヒ・ニーンハウス教授チームが開発した新しいナノ顕微鏡法は、Nature Photonics誌に掲載されています。

STED(誘導放出抑制)

蛍光顕微鏡法では、研究対象試料は、色素分子が蛍光を放出するように、強集束ビームを使ってスキャンされます。光量子(光子)は、イメージ構築のために画素毎に記録されます。STEDナノ顕微鏡法では、走査用に使われている励起ビームは、STEDビームと呼ばれている別のビームによってオーバラップされています。その光強度 (光量)は励起光周囲に存在し、中心部においてはゼロです。さらにSTEDビームは、より高い波長へシフトします。STEDビームは、100年前に、アルバート・アインシュタイン博士によって最初に説明された物理効果、すなわち、誘導放出を利用して、STEDビームがゼロ強度の中心を除く全ての場所において、蛍光励起スイッチをオフにしています。このようにして、励起は抑え込まれて、結果として走査用により鮮明な光点をもたらします。高分解能STED画像は、しかし、不完全な誘導抑制とSTEDビーム自身による蛍光励起のせいで、常に低解像度の背景を生み出します。

誘導放出二重抑制ナノ顕微鏡法

The team of Gerd Ulrich Nienhaus has now extended this STED method by another STED beam. The STED2 beam follows the STED beam with a certain time delay and eliminates the useful signal in the center, such that only background excitation remains. “The STED method is based on recording two images,” Professor Nienhaus explains. “Photons registered prior to and after the arrival of the STED2 beam contribute to the first and second image, respectively.” The second image containing background only is subtracted pixel by pixel, with a specific weight factor, from the first image that contains the useful signal plus background. The result is a background-free image of highest resolution.

‘ニーンハウス教授チームは現在、このSTED法を別のSTEDビームによって機能強化をしています。STED2ビームは、一定の時間遅延でSTEDビームの後に続き、背景励起だけが残存し続けるように、中心の有用信号を除去します。”STED法は、2つの画像を記録する事に基づいています。”と、ニーンハウス教授は説明します。”STED2ビームの到着前と到着後に記録された光子は、それぞれ、最初の画像と二番目の画像を作り出します。” 背景だけを含んでいる二番目の画像は、有用信号と背景をを含んだ最初の画像から、特定重み係数を使って、ピクセル単位で取り除かれていきます。結果として、背景なしの最高解像度の画像ができあがります。’

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