ペロブスカイト強誘電体の分極安定状態を利用した多値ロジック

Nature Scientific Reports誌に掲載された研究が、高効率な情報処理を可能にしてくれている現在の計算システムを構成している単純な1と0を超越した、多値ロジックを使った情報処理に強誘電体を利用している、理論マップを提示しています。コンピューター言語は、はいといいえを意味している、0と1のたった2つの記号で描かれていますが、もし、私達が、同じ物理的スイッチが、もっと多くの情報をエンコードできるように、3つ、あるいは、それ以上の値に拡張できれば、無数のより豊かな可能性が、私達を待ち受けています。

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新しい論理単位

New study of ferroelectrics offers roadmap to multivalued logic for neuromorphic computing

“Most importantly, this novel logic unit will enable information processing using not only “yes” and “no”, but also “either yes or no” or “maybe” operations,” said Valerii Vinokur, a materials scientist and Distinguished Fellow at the U.S. Department of Energy’s Argonne National Laboratory and the corresponding author on the paper, along with Laurent Baudry with the Lille University of Science and Technology and Igor Lukyanchuk with the University of Picardie Jules Verne.

「”最も重要なのは、この新しい論理単位が、’はい’、’いいえ’だけではなく、’はいかいいえ’または’たぶん’オペレーションを使った情報の処理を可能にしている事です。”と、材料科学者で米エネルギー省アルゴンヌ国立研究所の特別フェローで、リール第1大学のローラン・ボードリー氏と、ピカルディー・ジュール・ベルヌ大学のイーゴリ・ルキンチョク氏と共に、本研究論文の責任著者でもあるワレリー・ビノクール氏は言いました。」

人間の脳は高効率で省エネ

これは我々の脳が動作する方法でもあり、それらは、我々がこれまで構築した最も高性能のコンピュータに比べ、桁違いにエネルギー消費が少ない一方で、約100万倍高効率です。

”人間の脳は、はるかに多くの情報を処理していますが、もし、シナプスが、現在の計算機のように構築されたとしたなら、脳は沸騰するだけではなく、それらが消費するエネルギーによって蒸発してしまうでしょう。”と、ビノクール氏は言いました。

多値ロジック

多値ロジックと呼ばれるこの種のコンピューティングの利点は、長い間知られてはいたのですが、問題は、私達が、それを使用するための材料系を発見できない事にありました。現在のトランジスタは、オンかオフとしてしか動作しないので、この新しいシステムは、より多くの状態を常に維持するための新しい方法を見出す必要があるだけではなく、読み書きが簡単である必要もあり、さらに言えば、室温で動作可能でなければなりません。

強誘電体ペロブスカイト

それで、ビノクール氏と彼のチームの、その偏極が電場を使って制御可能な物質種である強誘電体への関心が生じた訳です。ferroelectrics(強誘電体)は、偏極度が変化すると物理的に形状を変化させるので、センサーや、例えば、医療用超音波装置などの他のデバイスに利用する事ができます。科学者達は、コンピュータメモリや他のアプリケーション用に、こういった特性を利用することに大きな関心を寄せていますが、強誘電体のそういった特性の背後にある理論については、今のところは、まだまだ分からないところが多いです。

本研究論文は、ペロブスカイトと呼ばれている、特殊な種類の強誘電体の極薄フィルムの特性を、我々が利用するためのレシピを説明してくれています。

本研究の見積もりによると、ペロブスカイトフィルムは、エネルギー的に安定している、2つか3つ、あるいは4つの偏光位置を維持することが可能です。”なので、それらは、決められた場所にすんなりと収まることで、情報をエンコードするための安定したプラットフォームを提供することが可能です。”と、ビノクール氏は言いました。

チームは、こういった安定した配置と、電場を使って安定した位置間で分極を移動させるための操作方法を算出することに成功していると、ビノクール氏は言いました。

ニューロモーフィック計算

”私達が、デバイスを使ってこの事を実現すれば、メモリユニットとプロセッサの効率性をかなり大幅にに高めることができ、このことが、人間の脳をモデルにする事を目論んでいる、所謂ニューロモルフィックコンピューティングの実現へ向けた重要な一歩を提供してくれます。”

neuromorphic computing = 脳型コンピューターの、ニューロモーフィック計算、神経形態学的コンピューターの、脳神経回路網を真似たコンピューティング

ビノクール氏は、彼のチームが、現在、正常に機能するシステムを作り出すための原理を適用することを目的として、実験者達と共同研究をしていると言っています。

今回の研究では、強誘電体として、ペロブスカイトPbTiO3(チタン酸鉛)の極薄膜が使われていて、ferroelectric multibit cells (強誘電体マルチビットセル:FMBC)を使った、topologically-controlled access memory (位相制御アクセスメモリ:TAM)が、catastrophe theory(破局の理論)を利用した、symmetry-protected states(対称性によって保護された状態)が情報ロスを防ぐことで実現可能なことを証明しています。logic states(論理状態)はenergy levels(エネルギー準位)を指し、今回のメモリセルは、多値非ブール情報技術を利用していて、スイッチのオン・オフによる1と0の代わりに、logical quantum (loq) numbers (論理量子数)を使っているっぽい感じです。脳コンピュータだけでなく、量子コンピュータにも応用できるようです。

Ferroelectric symmetry-protected multibit memory cell

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