光励起磁化才差運動:超高速時間分解光磁気カー効果測定システム

相関スピン系における超高速非平衡磁化は、ここ数年広く研究されています。基本・応用双方のレベルでの、超高速レーザーパルス励起とダイナミクス計測が、高速光学的探知に加えて磁気秩序の制御に対しても有効な道を提供してくれます。時間分解光磁気カー効果を計測することで、超高速消磁や均一歳差運動などの超高速磁気緩和現象が、磁気媒体において観測されています。磁気メディアで、optically excited magnetization precession(光学的に励起された磁化歳差運動)は、有効磁場が、超高速レーザーパルス励起によって瞬時に変えられると、磁化の時間変化を示し、微視的にスピンダイナミクスに関しての情報を与えてくれます。

TR-MOKE(time-resolved magneto-optical Kerr effect) = 時間分解光磁気カー効果

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ビスマスフェライト・ランタンマンガナイト

When ultrafast laser pulse meets magnetic materials

Recently, extensive attentions have been paid to the BiFeO3 (BFO) and Sr-doped LaMnO3 heterostructure, for a series of novel physical properties that originate from the antiferromagnetic (AFM) and ferromagnetic (FM) exchange interaction across the heterointerface. In an article recently published in SCIENCE CHINA Physics, Mechanics & Astronomy, researchers at the Institute of Physics, Chinese Academy of Sciences, reported their investigation on the ultrafast laser-excited magnetization dynamics of ferromagnetic (FM) La0.67Sr0.33MnO3 (LSMO) thin films with epitaxial grown BiFeO3 (BFO) coating layers.

現在、BiFeO3 (ビスマスフェライト:BFO)と、ストロンチウムをドープしたLaMnO3(ランタンマンガナイト)ヘテロ構造が、ヘテロ界面に渡る、反強磁性(AFM)と強磁性(FM)の交換相互作用に由来する、今までにない一連の物理的特性に対して、大きな注目が払われています。現在 SCIENCE CHINA Physics, Mechanics & Astronomy誌に掲載されている論文において、中国科学院、物理学研究所の研究者達が、エピタキシャル成長したBFO被膜層強磁性体LSMO (ランタン・ストロンチウム・マンガン酸化物)薄膜の超高速レーザー励起磁化ダイナミクスに関する彼等の研究を報告しています。

時間分解光磁気カー効果

As they designed, 10-nm-thick LSMO thin films were deposited on (001) SrTiO3 (STO) single crystal substrates, and 3- or 20-nm-thick BFO films were coated onto the LSMO films. X-ray diffraction was carried out for structural characterization. With the ultrafast time-resolved magneto-optical Kerr effect (TR-MOKE) measurement system they built, the researchers measured the temporal response of the samples they prepared within the time scale of ~500 ps by pump-probe technique.

この研究者達は、レーザー分子線エピタキシャル成長法を使って、BFO/LSMOヘテロ構造を作り上げました。彼等がデザインした、10nm厚LSMO薄膜は、チタン酸ストロンチウム(STO)単結晶基板上に被着され、3nmか20nm厚のBFO薄膜は、LSMO薄膜の上に被膜され、X線回折が構造評価のために実施されました。彼等が構築した超高速時間分解光磁気カー効果(TR-MOKE)測定システムを使い、研究者達は、自分達がポンプ−プローブ法によって、~500 psのタイムスケール範囲内で準備したサンプルの時間的変化を測定しました。

光励起磁化歳差運動/光励起磁化才差運動

2つの独特な振動が、ポンプパルスがサンプルを励起した後で発射されました。~103 GHの高周波振動は、外部磁界から独立した、ポンプパルス照射によってSTO基板に生成されたコヒーレントな音響型フォノンだとされています。もう1つの振動モードは、低周波振動(10-30 GHz)で発生し、外部磁場に対し正の依存性を示しました。この関係が、その振動挙動が、超高速TR-MOKE測定によって過去に磁気媒体において広範囲に渡って観測されている、光学的に引き起こされた磁化の歳差運動であることを立証しています。

興味深いことに、同じ外部磁場下に置かれた別々のサンプルの光学的に励起された歳差運動(光励起歳差運動)挙動を比較することで、歳差運動の振動周期は、BFO被覆LSMO膜で拡大しているように見え、20nm厚BFOで被覆したサンプルは、3nm厚BFOで被覆されたサンプルに比べより長い振動周期を見せました。Fourier transforms(フーリエ変換)は、同一外部磁場に対する各々のケースにおける歳差運動周波数ピーク位置の異なるシフトを示し、従って、磁化歳差運動のfrequency modulation(周波数変調)を裏付けています。

研究者達は、LSMOフィルムの有効磁場を分析し、歳差運動周波数の低減が、BFO被覆層による異方性の抑制に起因していると考えました。さらに、彼等は、そういった挙動が、BFO/LSMO 界面にわたる交換相互作用によって誘導されていると仮定しています。

磁性酸化物におけるoptically excited magnetization precession(光励起磁化歳差運動)を調査する事が、スピントロニクス用デバイスの応用可能性に光明を投じる可能性があると、研究者達は書いています。我々の研究成果が、構造設計を通して、磁性酸化物薄膜におけるスピン挙動をコントロールするための効果的なアプローチを提供するかもしれません。

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