事前にプログラム可能な電子特性を持った有機無機ヘテロ構造

弱いファンデルワールス力によって結合されている、グラフェンや窒化ホウ素などの異なる2次元結晶の垂直積層は、一般に、ファンデルワールスヘテロ構造と呼ばれています。そういった精巧な積層構造は、ナノ規模でさまざまな現象を研究するための多目的なプラットフォームとして利用可能です。特に、2次元結晶のメカニカル(力学的、機械的)な重ね合わせは、特殊な物理学的・化学的特性をシステムに付与する、2次元周期ポテンシャルを作り出します。

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超分子アプローチ

Organic-inorganic heterostructures with programmable electronic properties

Here a team of European researchers applied a supramolecular approach to form self-assembled organic molecular lattices with a controlled geometry and atomic precision on top of graphene, inducing 1D periodic potentials in the resulting organic-inorganic hybrid heterostructures. For that purpose, molecular building blocks were carefully designed and synthesized. Those are equipped with (i) a long aliphatic tail, directing the self-assembly and the periodicity of the potential, and (ii) a photoreactive diazirine head group, whose dipole moment modulates the surface potential of the underlying graphene sheet. Upon irradiation with ultraviolet (UV) light before deposition on graphene, the diazirine moiety is cleaved and a reactive carbene species is formed. The latter is prone to react with solvent molecules, leading to a mixture of new compounds bearing different functionalities.

今回、欧州研究チームは、グラフェン上に、制御された幾何学配列と原子精度を持つ自己集合有機分子格子を形成して、結果として生じる有機・無機ハイブリッドヘテロ構造に、1次元周期ポテンシャルを誘導するするために、超分子アプローチを利用していて、その目的を達成するために、分子の構成ブロックを、非常に注意深く念入りにデザイン・合成しています。それらは、(i)自己集合とポテンシャルの周期性を誘導する長い脂肪族末端、(ii)それ自身のダイポールモーメント (双極子モーメント) が、下層のグラフェンシートの表面ポテンシャルを調節する、光反応性ジアジリン頭部基を備えています。グラフェン上に成膜する前の紫外線照射により、ジアジリン部分は開裂され、反応性カルベン種が形成されます。後者は、溶剤分子と反応しやすく、種々の機能性を持った新しい化合物の混合体を作り出すことができます。

周期ポテンシャル

走査型トンネル顕微鏡イメージングが、誘導電位の周期性と幾何学性を決定する、グラファイト・グラフェン表面に形成された超分子格子のナノスケール配列を位置付けするために使われています。その後、種々の自己集合有機層が、2次元材料の電気的特性に及ぼす影響を評価するための、電気的解析が、グラフェンベースの電界効果デバイス上で実行されています。コンピューターシミュレーションが、分子集合体とグラフェンとの相互作用を明らかにし、理論解析が、ドーピング効果の起源が、頭部基の電気的双極子の配向性に完全に起因され得るという確証をさらに強めています。最後に、同じジオメトリを有する一方で、異なる強度を持った周期ポテンシャルが、異なる溶剤において、分子ビルディングブロックの紫外線照射の後で用意された超分子格子から作成することが可能です。

多層ファンデルワールスヘテロ構造

In this way, the researchers managed to demonstrate that organic supramolecular lattices are suitable to create controllable 1D periodic potentials on the surface of graphene. Interestingly, the periodicity, amplitude and sign of the induced potentials can be pre-programmed and adjusted by careful molecular design. This bottom-up supramolecular approach can be extended and applied to other inorganic 2D materials such as transition metal dichalcogenides, paving the way to more complex multilayer van der Waals heterostructures. These findings are of great importance for the realization of organic-inorganic hybrid materials with controllable structural and electronic properties featuring unprecedented electrical, magnetic, piezoelectric and optical functionalities.

このようにして、研究者達は、有機超分子格子が、制御可能な一次元周期的電位を、グラフェン表面に作り出すのに適していることをうまく証明しています。面白いことに、誘導電位の周期性、振幅、サインは、入念な分子デザインによって前もってプログラムしたり調整したりできます。このボトルアップ超分子アプローチは、遷移金属ジカルコゲナイドのような、他の無機2次元材料にも拡張・応用可能で、もっと複雑な多層ファンデルワールスヘテロ構造への道を開いています。こういった発見は、今までに例のない、電気的・磁気的・圧電的・光学的機能性をを盛り込んだ、制御可能な構造と電子特性を持った、有機・無機ハイブリッド材料の実現のために非常に重要です。

積層ヘテロ構造は、今後エレクトロニクス、スピントロニクス、バレートロニクス分野で、革命的な進歩をもたらすと期待されています。さらに、量子コンピュータ分野での応用にもかなりの期待がされていて、その将来性は非常に高く、個人的にも楽しみな技術の1つです。

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