ヒノキチオールが鉄輸送障害を修正して貧血を治癒してくれる

血液がやたらと鉄臭プンプンなことは、人間なら誰もが知っていることですが、それだけ人間にとっては鉄は重要だということになります。鉄と言えば、ほうれん草を連想する人が多いと思いますが、ほうれん草と言えば、ポパイが定番で、ほうれん草を食べると、貧弱なポパイが筋肉隆々のマッチョに変身することで、鉄分を摂取すると強くなると、世界中の多くの子供達が信じ、ほうれん草を食べる子供が増えたとか増えなかったとか言われていますが、ほうれん草に大量の鉄分が含まれるというのは誤りで、実際は、ほうれん草には、体が鉄分を吸収することを阻害するシュウ酸が含まれているので、何と9割の鉄分が、結局は、体内に吸収されないみたいです。なので、ほうれん草で鉄分補給は、完全なるmyth(俗説)のようです。

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ヒノキチオール

Compound corrects iron-delivery defects | EurekAlert! Science News

Iron is an essential element for life. Red blood cells rely on iron to create heme and hemoglobin, the protein required to transport oxygen in our body. Iron is transported and shuttled to the right places in the body through an elaborate series of reactions and processes — but when iron transportation goes wrong, the result can be too little or too much iron, resulting in diseases such as iron deficiency anemia (too little), hemochromatosis (too much) or sideroblastic anemia (too much in the wrong organelle). In a paper published May 12 in Science, investigators from Brigham and Women’s Hospital, in collaboration with colleagues at University of Illinois Champaign-Urbana, describe a compound known as Hinokitiol which can correct iron-delivery defects in preclinical models. Their study lays the groundwork for investigating Hinkitiol’s full potential beyond cellular and model organisms.

鉄は、生命の必須元素です。赤血球は、体内で、酸素を輸送するのに必要な蛋白質のヘムとヘモグロビンを作り出すのに鉄に頼っています。鉄は、複雑な一連の反応と過程を介し、体内の適所に輸送・シャトルされていますが、鉄輸送がうまくいかないと、その結果は、鉄不足か鉄過剰で、鉄欠乏性貧血(鉄不足)、ヘモクロマトーシス(鉄過剰)、鉄芽球性貧血(不適切な細胞小器官に大量の鉄)等の疾患の原因になります。5月12日発売のサイエンス誌に掲載された論文の中で、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究者達は、イリノイ大学アーバナ・シャンペイン校の同僚たちと共同で、ヒノキチオールとして知られる化合物が、前臨床モデルで、鉄輸送障害を修正できることを説明しています。彼らの研究は、細胞性生物とモデル生物の域を越えた、ヒノキチオールの持つ最大可能性を調査するための基礎を築いてくれています。

鉄輸送体

“The long-term therapeutic implications of our work with Hinokitiol points to potentially using this chemical to correct anemias caused by genetic deficiencies of iron transporters required for normal red cell formation,” said co-corresponding author Barry Paw, MD, PhD, of BWH’s Division of Hematology. “At the same time, Hinokitiol has the potential to correct iron-overload syndromes, such as hemochromatosis. More extensive clinical trials are necessary to work out the full potential of Hinokitiol and to identify potential toxicities that we have not identified using preclinical models.”

”ヒノキチオールに関する我々の研究の長期的な治療に対する意義は、正常な赤血球形成に要求される鉄輸送体の遺伝的欠損によって引き起こされる貧血を修正する目的で、この化学物質の使用可能性を示唆しています。”と、共同責任著者でBWH血液科のバリー・パウ博士は言っています。”加えて、ヒノキチオールは、血色素症などの、鉄過剰症候群を修正する可能性を秘めています。ヒノキチオールの可能性を最大限に引き出して、前臨床モデルでは同定できなかった潜在的な毒性を同定するための、より大規模な臨床試験が必要です。”

Hinokitiol is a natural product found in the wood of trees. Originally isolated from the Taiwanese hinoki tree, this small molecule is also found in cedar wood.

ヒノキチオールは、木材に含まれる天然生成物質です。もともと台湾檜から分離され、この小分子は、シダー材にも含まれています。

酵母やネズミを使った研究

研究チームは、当初、進化過程で保存されている、鉄輸送等の生物過程研究用の、古典的モデル生物である、酵母中のヒノキチオールの性質を研究していました。イリノイ大学の研究協力者達が、その化合物が、主要な鉄取り込み輸送体が欠損した変異酵母の酵母細胞膜に鉄を輸送可能であることを発見しています。BWHの研究者達は、両方共に鉄輸送能が欠損した、ゼブラフィッシュの突然変異体とネズミのerythroid(赤血球)を提供しています。チームが、これらのモデルとげっ歯類モデルにヒノキチオールを投与した時、細胞表面や細胞内小器官でブロックされた鉄を修復して、細胞レベルで貧血を治癒しています。

“We found that Hinokitiol can restore iron transport within cells, out of cells or both,” said Paw. “It can also promote iron gut absorption and the creation of hemoglobin in some of our models. These findings suggest that small molecules like Hinkitiol that can mimic the biological function of a missing protein may have potential for treating human diseases.”

”我々は、ヒノキチオールが、細胞内部、細胞表面、あるいはその両方で、鉄輸送を復元できることを見い出しています。それは、我々のモデルの一部で、鉄腸管吸収とヘモグロビンの形成を促してもいます。こういった発見が、不足蛋白質の生物学的機能を摸倣可能なヒノキチオールのような小分子が、疾患の治療用に使える可能性があることを示唆しています。”

酵母やネズミを使った前臨床研究なので、人の病気の治療に使えるかは、今後の人を使った臨床試験の結果待ちのような気もします。ヒノキチオールの人体への毒性等も評価される必要があるみたいなので、安全性もまだ確保されてはいません。この物質が貧血治療の切り札になる可能性を秘めていることだけは確からしいので、貧血は女性特有の健康障害と言っても過言ではないので、女性の健康を守ると言った観点からも、今後の研究が期待されるところです。

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