英語学習者にとって、collective nouns (集合名詞)が単数扱いになるのか、複数扱いになるのか、は非常に迷う問題でもあります。collective singular (集合単数)、collective plural (集合複数)の選択ルールを知らないと、とんでもない間違いを犯しかねません。受験英語でもこの辺の違いを突いてくる問題があるからです。日本の英語教育は基本的にアメリカ英語らしいので、アメリカ英語の用法に重点を置いたほうが良いのですが、行き掛けの駄賃程度にイギリス英語の用法を覚えておいても損はないかと思います(得も特にないかもしれませんが)。集合名詞 (group nouns)については、Oxford dictionaryのサイトHow to use collective nounsでかなり詳細かつ簡潔に説明されているので、非常に参考になります。集合名詞の詳細なリストが必要な人はこのサイトが参考になるかと思います。
familyは複数?単数?
人が二人集まるとfamilyになるみたいです。つまり、一人世帯はfamilyではないという事です。若い人はfamilyを持った方が良いと言われる所以になっているのは、Old Testament (旧約聖書)のGenesis (創世記)に、”It is not good that the man should be alone”(人が一人でいるのは良くない)と書いてあるからみたいです。話が脱線しましたが、集合名詞のファミリーが単数なのか複数なのかは、使用状況に左右されるみたいです。家族を一つのユニットとして扱う場合は、単数扱いになるのですが、個人個人の集合体として捉える場合は、複数扱いになるらしいです。これはアメリカ英語の考え方らしいのですが、イギリス英語は基本的に集合名詞は複数でも単数でもどっちでもいいみたいですが、イギリス英語のネイティブにとっては、ファミリーは当然複数という考え方が定着しているみたいです。これは個人主義の進んでいるイギリス的な考え方なのかもしれません(アメリカ英語のネイティブ達も、個々に着目した場合は複数扱いすると言っています)。EU離脱(Brexit)はその象徴なのかもしれません。昔歴史の授業で、1902年の日英同盟締結前のイギリスは、栄光ある孤立状態だったと習ったことを覚えています。
policeは複数?単数?
Collective nouns – the family <has, have> …? ← このサイトに
The police are determined to bring back the missing boy when his family _____ almost given up all hope.
という問題が載っていて、The policeが複数扱いなので、イギリス英語を扱った問題のように思われるというposterに対し、アメリカ英語のネイティブが”I beg to differ with you.”(君には賛成しかねる)とそれに異議を唱えています。そのネイティブ曰く、アメリカ英語でもthe policeは複数扱いする、みたいです。ちなみに問題の正解はhaveのようです。全ての家族が一致して希望を失っているとは限らないので、複数扱いをするのが無難なのでしょう。イギリス英語でもアメリカ英語でもthe policeは複数扱いと覚えておきましょう。ただ最近の風潮として、the policeに単数動詞を使うケースも徐々に見かけるようになってきているみたいなので、そのうちどっちを使ってもOKということになるかもしれないみたいです。
staff, committeeは複数?単数?
これはイギリス英語とアメリカ英語で意見が真っ二つに分かれるみたいです。イギリス英語では複数扱いが基本みたいなのですが、アメリカ英語の場合は、基本は単数扱いで、個々のメンバーについて言及する場合のみ複数扱いになるみたいです。アメリカ英語の場合、The staff is friendly and they make you feel comfortable. のように、staffを単数扱いしているのに、平気でtheyを使います。なら最初からイギリス英語のように複数扱いにしろよ!と言いたくなるのですが、ここら辺の感覚はよく分かりません。そのアメリカ英語も、The staff complain about their treatment. のような場合は、staffは複数扱いになります。ネイティブ(AE)によっては、staff members are, members of staff areとすべきという意見もあります。staffsは使えないのか?と思うかもしれませんが、staffsは基本的に2つ以上の異なる組織や団体から集まったstaffに使うことは出来ても、一部の政治的や軍事的なstaffに対する例外を除いて、それ以外には使えない決まりになっています。例えば、staff vs. staffs ← このサイトを見れば分かるように、’The staffs at the two schools were very different.’とは言えても、’The staffs at the school are very efficient.’とは言えません。前者のケースでもstaffを使った方が良いとまで言っています。なので、staffsは使わない方が無難と言えます。個人的には使うことはないと思います。一方のcommittee の方はどうなのかというと、アメリカ英語もイギリス英語も、committee内で意見がまとまっている場合は単数扱い、意見がバラバラな場合は複数扱いのようです。committeeが複数ならthey/their/themを使いますが、単数ならit/itsを使うことに注意が必要です。
委員会は成功の見込みのない政策を引き続き継続
The committee are divided in their opinions.
委員達の意見がまとまっていない。
参考サイトCollective nouns – The staff <is, are> …
team, enemy は複数?単数?
teamは単数扱い、teamsは複数扱いということは別にして、アメリカ英語ではteamは絶対に単数扱いというネイティブもいれば、使用状況によるという穏健派もいます、イギリス英語は複数扱いすべきというネイティブもいれば、内容によっては単数扱いも可能と言った感じです。特にイギリス英語のネイティブにとっては、The team is doing very well and they are in a good mood. のような英文は受け入れ難いみたいです。The team are doing very well and they are in a good mood. の方がより文法的のようです。ただアメリカ英語のネイティブにとっては、それは受け入れられないみたいです。だからと言って、The team is doing very well and it (he) is in a good mood. のようにtheyの代わりにitやheを使うことも受け入れられないみたいです。teamは人の集団だからitやheを使うのはおかしいらしいのですが、なら複数扱いにしろよと言いたくなります。そもそもcollective nounを単数扱いするのは論理破綻しているような気さえします。個人的には、itやhe(he or she)を使っても不自然で無い時は単数扱いで、それ以外のケースは複数扱いすべきだと思います。
enemyは、基本単数扱いでいいかと思います。The enemy of enemy is my friend. The enemy of my enemy is my friend. (敵の敵は味方)のように単数扱いをするのが無難なようです。複数形にする時は、The Enemies of my enemies are my friends. のようにenemiesを使った方がいいみたいです。そうは言っても、The enemy were defeated. と書くことも可能なので、他の集合名詞同様、文脈によっては複数扱いもできるみたいです。ちなみに、The enemies were defeated. と書いても問題ありません。ネイティブ(AE)はその使い方を極端に嫌いますが、他のネイティブ(BrE)なら無問題のようです。グーグルで検索した結果、敵が近づいている場面では、敵が一丸となって近付いている感が強いので、enemyは単数扱いされますが、敵が敗走するケースでは、個々に我先に逃げ出す感が強いので、enemyの複数扱いも許されるという事が分かりました。
The enemy is approaching. | 41,200 件 |
The enemy are approaching. | 41 件 |
The enemy was routed. | 14,700 件 |
The enemy were routed. | 11,600 件 |
The enemies were routed | 25 件 |
The enemy are approaching. と The enemies were routed. は使わない方が無難な気がします。アメリカ英語の場合、集合名詞は単数扱いが基本で、文脈次第で複数扱いも許される。イギリス英語の場合、集合名詞は多くの単語で複数扱いが基本で、文脈次第で単数扱いもOKと覚えておけばいいのではないでしょうか。policeのように複数扱いが原則という集合名詞も存在するので、case by case であることは確かなのかもしれません。どのネイティブも口を揃えて、特に明確なルールのようなものは存在しないと言っているので、そこが一番のネックになっているとも言えます。
参考サイト Subject and Verb Agreement with Collective Nouns