日銀が4月に続いてまたやっちゃいました。選挙前に株価を上げる為にも追加緩和は必要!Brexit対策としても追加緩和は必須!と思われていましたが、追加緩和なしです。4月のような酷いドル円の暴落には至りませんでしたが、このレベルまで円高が進むと、さすがに政府・日銀による為替市場介入が意識されてくるので、それが歯止めにもなっています。1ドル100円が限界ラインとも言われているので、そこまで行かなくても、市場介入が断行される可能性は十分あります。Brexitで急激な円高になった場合、ほぼ100%市場介入が行われるはずです。最も事前の市場予想では、今回は緩和なしというのが多数意見でもあったので、逆サプライズ感はかなり薄いことも確かですが、Brexitリスクを考えた場合、予防線を張る意味でも、追加緩和があると思った人も多いはずです。これで来月は確実に追加緩和が実施されるだろうと思われ、参院選で自民が圧勝すれば、相当規模の大きな追加緩和が期待できるのではないでしょうか。
ドル円、日経平均株価急落、日銀失望売り
USDJPY, Nikkei Plunge As BoJ Disappoints With “No Change”
While only 5 of 40 economists expected a rate cut and only 7 of 39 any additional easing, hopes were rife for some additional ETF buying or hints at further stock purchasing by The Bank of Japan… but no. USDJPY immediately plunged to a 104 handle and Nikkei 225 crashed 300 points.
「経済学者40人中たった5人が利下げを、39人中たった7人が追加緩和を予想していた一方で、日銀による追加ETF購入やさらなる株購入の期待が飛び交っていましたが、全くの期待外れでした。ドル円は即座に104円台へ急落、株価は300円も下落しました。」
確かに利下げや追加量的緩和は、事前にほとんど期待されてはいませんでした。マイナス金利拡大は選挙にマイナス効果があるし、さらなる国債買入れ枠拡大は物理的に難しいとも言われています。コラム:消費増税先送り後、4つの経済シナリオ
円高回避のための金融緩和と並ぶもう1つの日銀の 役割は、追加財政のファイナンスをスムーズとするための金融環境作りである。ただ、ネットで年率80兆円という大量の長期国債の購入目標は、品薄によって早ければ今年後半にも札割れが頻発し、未達となることが懸念されていた。現実には、消費増税の先送りや追加財政に伴う国債発行増が、日銀の目標達成のサポートとなり得る。
日銀による地方債購入も指摘されているし、財政ファイナンスの声まで上がっているので、日銀に限界は無いのかもしれません。最終的にはヘリコプターマネーで生活の苦しい世帯に月々10万円をばら撒く手もあるでしょう。むしろこういった思い切った金融政策の方が、景気刺激になり、GDPを底上げする可能性が非常に高くなります。
利下げや追加量的緩和が全く期待されていなかった言っても、ETF購入枠の大幅拡大はかなり期待されていました。参院選前で株価を上げる必要があるからで、今回ETF購入枠拡大がなかった失望感は相当大きいかもしれません。理由ははっきりしませんが、今の株価水準ではETF購入枠拡大の必要がないと見たのかもしれません。株価が下がったところで買った方が日銀の利益になるのも確かです。日銀失望売りによりドル円は1円以上も下落してしまい、一時、104.518円と、2014年9月2日以来の安値まで下げ幅を広げる場面もありました。2014年のエボラショックを超える円高が進んでいます。さらに下げ幅を広げる可能性もあるので余談を許しません。ドル円以上に深刻なのがユーロ円です。ユーロ円に至っては、2013年1月24日以来の安値となる117.841円まで下げ幅を広げる場面もあり、Brexitなら100円割れの可能性もあるのではないでしょうか(さすがにそこまで売り込まれる前に政府・日銀による市場介入が行われるでしょうけど)。そうこう言っている間に為替市場では円高がさらに進行中で、ドル円は104.38円台、ユーロ円は117.65円台まで下落しています。今日中のドル円104円割れはあるのでしょうか?それが問題です。Brexitなら100円割れは必至で、日銀による市場介入の可能性が増々高まってきました。失望売りでもここまで売り込まれるとは思ってもいませんでしたが、そろそろ麻生財務相の口先介入が入ってもおかしくないような気もします。