スーパーコンピューターなんて必要なかったんや

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かつてジオンのシャア・アズナブルは、「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差でないことを教えてやる」と言っている。物凄い名言ではないでしょうか。これと同じようなことがコンピューティングの世界でも言えてしまうらしいのです。コンピューターの性能の違いが、研究力の決定的差ではない、と言ったような言い分のようです。しかしそうは言っても、さすがにスパコンとパソコンの間の性能の違いは如何ともし難いように思われるのですが、今回のニュース記事によると、スパコンが常にパソコンの上を行くとは限らないらしいのです。あまりにも眉唾モンの話ではあるのですがが、とても気になった内容なので読んでみることにしました。

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スパコンの数百倍!?

No need in supercomputers

Russian scientists suggest a PC to solve complex problems tens of times faster than with massive supercomputers

「ロシアの科学者は、PCで巨大なスーパーコンピューターを使うよりも数十倍の速度で複雑な問題を解くことを提唱しています。」

スパコンの数十倍!?そんな馬鹿な、と言った感じですが、どうなんでしょうか。果たしてそんな夢みたいな事が現実に有り得るのでしょうか。10ペタフロップスの化物に対して、せいぜい数テラフロップスのPCが太刀打ち出来るとは到底思えません。

personal computer does the job much faster: in 15 minutes it is doing the work requiring normally 2-3 days of the supercomputer time.

「パソコンは遥かに高速にその計算を解きます。例えば、スーパーコンピュータで普通2~3日かかる計算を15分以内でやっちゃいます。」

スパコンで3日(4320分)かかる計算を15分なら288倍の計算速度になります。さすがにそれはないんではないでしょうか。

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5万円程度のGPUがスパコンの代用

The equations in question were formulated in the 60s by the Russian mathematician Ludwig Faddeev. The equations describe the scattering of a few quantum particles, i.e., represent a quantum mechanical analog of the Newtonian theory of the three body systems. As the result, the whole field of quantum mechanics called “physics of few-body systems” appeared soon after this.

「問題になっている方程式は、60年代にロシアの数学者L.D.ファデーエフによって考え出されました。その方程式は少数の量子粒子の分散を表しています。例えば、三体系のニュートン学説の量子力学との類似系を表すとか。その結果として、少数体系の物理学と呼ばれる量子力学の領域がこの後すぐに現れました。」

全く分かりませんが、ニュートン力学から量子力学への転換が行われる式のようです。この複雑な方程式を4~5万円程度の最新NvidiaのGPUを使って解いてしまおうというわけです。この手の複雑の方程式の計算は、今まではスパコンでしか出来なかったみたいです。

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最適化とプログラミング技術

The main problem in solving the scattering equations of multiple quantum particles was the calculation of the integral kernel — a huge two-dimensional table, consisting of tens or hundreds of thousands of rows and columns, with each element of such a huge matrix being the result of extremely complex calculations. But this table appeared to look like a monitor screen with tens of billions of pixels, and with a good GPU it was quite possible to calculate all of these. Using the software developed in Nvidia and having written their own programs, the researchers split their calculations on the many thousands of streams and were able to solve the problem brilliantly.

「複数の量子粒子の分散方程式を解く主要な問題は、途方も無い複雑な計算に帰すそのような巨大なマトリクスの各々の要素を伴う、数百万の行と列から成る巨大な2次元テーブルの積分核の計算にありました。しかし、この表は、無数のピクセルで表される液晶スクリーンのように見え、高性能のGPUを用いて、これら全てを計算することが全く可能でした。Nvidiaで開発されたソフトを使い、自分達でプログラムを書くことで、研究者は何千ものストリームに計算を分割し、見事にその問題をと解くことが出来たのです。」

鍵はNvidiaが提供しているGPUに特化した開発ツールにあるようです。やはりハードに特化した、そのハードを極限まで最適化できる独自の開発ツールがないと今回の快挙は不可能だったように思われます。NvidiaのGPUの性能もさることながら、彼等の提供している開発ツールのポテンシャルの高さもあるんだと思います。この開発ツールを使って、研究者は今回の方程式を解くためにギリギリまで最適化されたプログラムを組むことができ、それによってスパコン以上の速度で問題を解くことができたようです。今後もこの手法が研究されて、もっと洗練されていけば、色々な分野でスパコン無しに、スパコン以上の研究結果を出すことができるようになるかもしれません。スパコンも使えない、予算も限られているラボや個人研究家には相当な朗報なのではないでしょうか。個人的にもかなり興味があります。

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