日銀の異常な金融緩和が、2%のインフレ目標の錦の御旗のもとに、継続されている事は周知の事実ですが、なかなかその目標を実現できません。
今は物価上昇というよりも、株価上昇の方に重点が置かれているようですが、要は、超円安誘導により、株価と企業収益を上昇させ、それにより賃金上昇を誘発、結果として物価上昇が起きるという、トリクルダウンエコノミーを目指しています。
しかし、トリクルダウンは、富裕層、中間層、低所得者層の比率が重要で、中間層が崩壊して、1億総貧困化に向かっている今の日本には起こり得ません。2割の相対的富裕層が富を積み上げて行く一方で、8割の国民は食料品と生活必需品の猛烈なインフレで家計は逼迫、格差だけが凄まじい勢いで広がっています。
日本の人口構成(超々高齢化、超々少子化)と人口減少、超未婚社会(若年層の貧困が原因)、出生数今年は100万人割れ確実(貧困が原因)、若者の深刻な貧困化(貧困女子、子供の貧困(貧困児童))、超々格差社会、給与所得者の4割は使い捨て非正規雇用(若年層の深刻な未婚化と貧困化の元凶)、食品と生活必需品の猛烈なインフレ(2012年当時と比べ、推計50%~100%価格上昇、8割の庶民が貧困化していっている元凶)、こんな状況で日銀目標の年率2%のインフレ達成は無理ゲー過ぎます。
日本経済は今バケツの底に小さい穴が空いてしまっている状態で、日銀が円を刷りまくっても、政府がその穴を塞がない限り、2%の物価上昇も、自律的な景気回復も不可能なのです。その穴が大きくならないように、早急な対応が待ち望まれています。
インフレが起きない理由
Morgan Stanley Explains One Big Reason Why Central Planners Can’t Generate Any Inflation
As China continues to weaken the Yuan, it’s important to note the impact that it has on the inflation expectations of other economies, namely the US, Japan, and Europe. As central planners aggressively try to boost inflation, and in the meantime have created a stunning $11.7 trillion in negative yielding debt, China could be hindering that effort quite a bit.
「中国が元を切り下げ続けているので、他の経済圏、すなわち、US、日本、欧州のインフレ期待の上に伸し掛かるインパクトに留意するのは重要な事です。中央銀行の政策担当者は、力技でインフレを誘発しようと試みているのですが、その間、1200兆円という驚くべき額のマイナス金利負債を作り出し、中国がその努力を水泡に帰す可能性があるのです。」
中国がデフレを輸出しているとよく言われていますが、逆に言えば、中国のおかげで、先進国の低所得者層は人並みの生活が遅れているとも言えます。
安い中国製がなければ、世界の貧困はもっと酷いことになっていただろうし、世界の工場から世界の市場になった中国は、今や先進国の命綱とも言え、中国経済がコケれば世界大恐慌は待った無しの状況になっています。
As Morgan Stanley points out, CNY has weakened over the last year or so versus the Euro, Yen, and Dollar and is helping to explain the continued undershoot of inflation in Japan and Europe – and we would add in the US.
「モルガン・スタンレーは、元が過去1年かそこいら、ユーロ、円、ドルに対して安くなっていて、日本と欧州、(我々はUSも付け加えます)のインフレ率未達が続いている説明になっていると指摘しています。」
元安で先進国の低インフレ率の説明が付くらしいです。例えば、日本の場合、超円安の恩恵による訪日客の大幅増加や海外からの投資の活発化で、一部の地域で不動産価格等が上昇していますが、その一方で、昨今の円高により爆買いは減っているようです。
元安(円高)が日本経済に与える影響は相当大きいと言えますが、物価が下がる事は庶民にはいい事なので、8割の下層民は喜ぶべきなのです。円高・株安は8割の庶民には朗報だという事です。物価上昇で喜ぶ人間達の事を、庶民の敵と言い切ってしまっている人達が案外多いので、日本では確実に2極化が進んでしまっている証拠なのかもしれません。