イタリアの国内第三位の老舗銀行モンテ・デイ・パッシの破綻が懸念されていますが、それ以上に深刻なのがドイツ銀行のようです。さすがにドイツ銀行がリーマンブラザーズの二の舞になるとは誰も考えてはいませんが(ドイツ政府もECBもドイツ銀行を破綻させるわけがない)、安心感はありますが、それでも問題がドイツ銀行ではないだけに、連鎖破綻の危険性がある事も確かで、本当にこの先どうなってしまうんだろうかと言った感じみたいです。
ドイツ銀行破綻ならEU版リーマンショックに!英ポンド/円は史上最安値を更新する!?
ドイツ銀行は「リーマンブラザーズの二の舞」?
実際、先週日曜日(6月26日)に予想した問題が、今週(6月27日~)に入って次々と鮮明化してきた。まず、ドイツ銀行の問題だ。ソロス氏が空売りを仕掛けていたとされるこの銀行、株価がどんどん下がっていき、にわか「リーマンショック前夜」の様相を呈している。
ジョージ・ソロスはかつて英ポンド空売りで、イギリス(欧州)に大打撃を与えたのですが(How did George Soros “break the Bank of England”?)、1997年にもタイバーツを空売りして、アジア通貨危機を引き起こし、日本を含むアジアに多大な打撃を与えたと、猛烈な批判を受けました(Soros cancels visit to Thailand)。欧州難民危機を引き起こしたのもソロスという噂さえ有ります(How George Soros Singlehandedly Created The European Refugee Crisis – And Why)。またソロスによって未曾有の経済危機が引き起こされる事になるかもしれないと一部の間では危惧されています。とは言っても、アジア通貨危機と欧州難民危機については、あくまでも噂レベルなので、conspiracy theory(陰謀説)程度に聞いておいた方がいいかもしれません。個人的には、ソロスが裏で一枚噛んでいると思っています。
ドイツ銀行は本当に破綻するのか?
Charting The Epic Collapse Of The World’s Most Systemically Dangerous Bank
It’s been almost 10 years in the making, but the fate of one of Europe’s most important financial institutions appears to be sealed.
「そうなるまで10年かかりましたが、欧州で最も重要な金融機関の1つの運命が、決定付けられたように見えます。」
遂にドイツ銀行の命運が尽きたっぽいです。破綻は時間の問題のようです。ECBが何とかすると思うのですが、TBTF(Too Big Too Fail、大き過ぎて潰せない)理論だとドイツ銀行は潰せない銀行のはずだからです。ドイツ銀行破綻は絶対に有り得ないと思いますが、不測の事態も考えられるので、決して楽観視はできません。
ドイツ銀行の株価
2007年5月には$152.28だった株価が、7月7日には$12.60まで下がりました。やば過ぎますね。ピーク時の8%しかありません。1万円だった株価が800円まで下がるようなものです。ソニーの場合はもっと酷かったような気もしますが、ソニーも破綻すると言われ続けましたが、結局は破綻していないので、ドイツ銀行も破綻の可能性は限りなくゼロに近いでしょう。
ソニーの株価が気になったので調べてみたら、2000年3月に記録した16950円の上場来高値から、2012年11月には772円まで下がり、ピーク時の4.5%まで株価が下落していました。なので、ドイツ銀行はまだまだ安泰と言えます。株価が5ドルを割りこむようだと危険水域かもしれませんが、そこまで下がることは永久にないでしょう。
ドイツ銀行が破綻してしまった場合
とは言っても、世の中何が起こるか分からないので常なので、万が一にもドイツ銀行が破綻してしまった場合はどういう事が起こるのでしょうか?
Now the real question: what happens to Deutsche Bank’s derivative book, which has a notional value of €52 trillion, if the bank is insolvent?
「さて、本当の問題は、もしドイツ銀行が破綻した場合、5770兆円の想定元本を抱えている、その銀行のデリバティブ帳簿はどうなってしまうん?という事です。」
リーマン・ショックの時もデリバティブ取り引き関連で連鎖破綻が懸念されましたが、FRBの介入で事無きを得ているので、今回も仮にドイツ銀行が破綻したとしても、ECB, BOE, BOJ, FRB, PBOCの協調介入で何も起こらないのではないでしょうか。
ドイツ銀行の破綻はまず起こり得ないし、仮に不測の事態で起こってしまったとしても、各国の中央銀行の介入で連鎖破綻のような事にはならないので、心配するだけ馬鹿らしいかもしれません。ドイツ銀行の破綻よりも、8年以内に確実に起こるだろう、日本の経済破綻を心配した方がいいかもしれません。
とは言え、欧州銀行危機が深刻化していけば、やはり円高圧力がかかるので、1ドル100円割れも視野に入ってくるし、政府・日銀がどこまで介入を我慢できるのかにかかっています。介入にどれだけ効果があるかは今のところ未知数ですが、アメリカやEUからの反発は必至なので、非常に限定的なような気がします。