antioxidant(抗酸化作用のある)サプリの過剰摂取には注意が必要なようです。oxidative stress(酸化ストレス)が、がん、心臓血管疾患、脳疾患、糖尿病などの重大な病気の原因になる可能性がある事は非常に良く知られているというか、今ではすっかり常識になっていますが、その忌まわしい酸化ストレスの原因である活性酸素を除去してくれる抗酸化サプリが、実は体に良くないかもしれないという事らしいのです。
活性酸素は悪である
Beware of antioxidants, warns scientific review
The lay press and thousands of nutritional products warn of oxygen radicals or oxidative stress and suggest taking so-called antioxidants to prevent or cure disease.
「一般誌と幾千もの栄養製品が、活性酸素や酸化ストレスを警告して病気予防や病気治療に、いわゆる、抗酸化物質を摂取するように促しています。」
抗酸化という言葉には、今や魔法の呪文のような響きがあります。抗酸化と抗老化がある意味オーバーラップしている感もあるので、抗酸化で若返りのような謳い文句もチラホラ目にします。活性酸素が老化を早めるらしいので、まぁ、そうなんでしょうね。
The result is a clear warning: do not take these supplements unless a clear deficiency is diagnosed by a healthcare professional.
「その研究結果は、はっきりとした欠乏症が医療専門家によって診断されていない限り、これらのサプリメント(健康補助食品)を摂取するなという、明確な警告です。」
サプリはあくまで補助食品なので、不足した栄養を補うのが目的で、闇雲に飲んではいけないみたいです。医師に処方されでもしない限り、手を出さない方がいいみたいな言い方をしていますが、あくまでも抗酸化剤の話なので、抗酸化剤の摂り過ぎには気を付けましょう。
活性酸素は悪ではない?
Humans depend on oxygen to produce energy, but oxygen also has the potential to generate so-called oxygen radicals, which may cause oxidative stress and disease. Markers of oxidative stress have been correlated with cardiovascular disease, cancer, diabetes, and other conditions. Because of these associations, antioxidant supplements are taken by millions of people; however, none of the antioxidants tested in randomized clinical trials have demonstrated any benefit. On the contrary, some of them may cause harm. This is because oxygen radicals not only trigger disease but also perform many important functions in the body, such as for immune defense and hormone synthesis. Thus anti-oxidants will interfere with both healthy and disease-triggering oxygen molecules.
「人間はエネルギー生産に酸素を当てにしますが、酸素はまた酸化ストレスと病気の原因になるかもしれない、いわゆる、活性酸素を発生させる可能性があります。酸化ストレスマーカーは、心疾患、癌、糖尿病やその他の病状に相関性があります。これらの関連性のせいで、抗酸化作用のあるサプリメントは、途方も無い数の人々によって摂取されています。しかし、任意抽出された臨床試験での抗酸化作用テストは、何の効果も実証していません。それどころか、それらのいくつかは、害悪をもたらすかもしれません。これは活性酸素が、病気を誘発するだけでなく、体内で免疫防御やホルモン合成などの多くの重要な働きをしているためです。従って、抗酸化物質は健康的な酸素分子と病気誘因酸素分子の両方に干渉してしまうのです。」
活性酸素は病気の原因になる一方で、逆に病気を防いだり、ホルモン合成等の非常に役割を演じているようです。これでは活性酸素の除去が害になると言われても仕方ありません。
悪い活性酸素だけを除去
“It can be targeted in a totally different manner, with drugs targeted only at those sources of oxygen molecules that are triggers of disease and leave the healthy ones alone,”
「病気を誘発する酸素分子のソースだけを標的にして、健康的な酸素分子はそのままにしておく薬を使うという、全く違ったやり方で、活性酸素を狙い撃ちできます。」
善玉活性酸素は残して、悪玉活性酸素だけを除去する薬を使えばいいみたいです。こんな事が実際に可能ならば、そのうちそういうサプリが出てくるのではないでしょうか。
10年以上前から言われていた?
ググッて見ると、2006年2月の記事で、今回と似たような事が指摘されていました。
酸化ストレスが低いのに抗酸化ビタミンを長期間摂取すると心血管系に有害
高用量の抗酸化ビタミンを正常なブタに長期間投与すると、心筋血流と内皮機能が損なわれること、この過程には、動脈壁での酸化ストレスの上昇とNOSダイマー形成の阻害が関与する可能性が示された。酸化ストレスが上昇していない状態で過剰な抗酸化ビタミンを投与すると、体内の酸化還元平衡の不均衡が生じて、健康だった心血管系に悪影響が及ぶと考えられた。
ブタを使った実験で、健康な人間が抗酸化物質を過剰摂取するのは危険と警鐘を鳴らしていました。この時期のブログなんかもこの事を扱っていますが、その後も抗酸化サプリは世界的に売れまくっているので、誰も気にはしていなかったみたいです。
研究者の言う事を全て鵜呑みには出来ないし、その研究が誰によってファイナンスされているのかというのも非常に重要な問題で、色々な研究はが色々な研究をしていて、同じ研究でも全く違う研究結果が出る事もあるわけで、研究結果は参考程度に聞いておくのがベストなのかもしれません。バターは体に悪いというのも冤罪だったと言われているし、将来的にバターはやっぱり体に悪かったとなるかもしれないし、人によってはバターは体に良くないと言っている人間もいるので、こういう問題は明確な答えがありません。牛乳も体に良い、悪いの論争が延々と続いていますが、ほとんどの人間は気にせず飲み続けています。
junk science(ジャンクサイエンス)なんていう言葉もあるように、確たる証拠がない限りは、人を説得するのは難しいし、一々メディアの言う事を鵜呑みにして行動する人間もそんなに多くありません。健康サプリが健康に重大な影響を与えるといったニュースでもない限り、健康サプリは今後もバカ売れを続けると思われます。