期待の糞便性細菌入りの新薬が失敗に終わったようです。うんこ細菌入りの飲み薬なんか成功するわけがないと個人的には思うのですが、今回の失敗は驚きだったようです。他人の糞を直接腸へ移植する事で、病気を治す治療法が確立されているようなのですが、それを経口薬で達成しようという大胆な試みが行われていたみたいです。
もちろん人間の糞便が使われているわけですが、従来通りの直接腸へうんこを移植する方法をためらう人が多そうなので、心理的負担を軽減するためにも、経口薬の開発は期待されていたのかもしれませんが、期待が大きかっただけに失敗のショックも相当に大きいようです。
うんこが健康に良いという訳では決してないので、間違っても他人のうんこを食べないように注意して下さい。
うんこピル(うんこ薬)
Poop Pill’s Surprise Failure Shows That the Microbiome is Still a Mystery
Pills containing fecal bacteria looked like they could cure an infection that kills thousands of people every year in the U.S.
「糞便性バクテリアを含んだ錠剤(丸薬、薬、ピル)は、アメリカ国内で毎年多くの犠牲者を出している感染症を治癒できる可能性があるように見えました。」
うんこピルは、ある意味、夢の新薬だったようです。
The human microbiome remains a mystery. That is the hard lesson to take from Seres Therapeutics’ shocking announcement today that its experiment in using gut bacteria to treat a deadly infection has failed.
「ヒトマイクロビオームは依然としてミステリーなままです。それがセレス・セラピューティクスの、危険な感染症を治療するために腸内細菌を使う実験が失敗したという、今日のショッキングな発表から得るきつい教訓です。」
腸内細菌を含む人の体内や体外に宿る細菌類の謎はまだまだ相当に多いことは、鼻の穴に住んでいる細菌が新しい種類の抗生物質を生産している事実からでも明らかです。
SER-109
Seres’ drug, SER-109, is designed to treat patients with recurring C. difficile infections, which can be hard to treat. Antibiotics can sometimes worsen the condition by killing good bacteria and allowing C. difficile to thrive.
「セレスの薬、SER-109は、難治性の再発性クロストリジウム・ディフィシレ感染症患者を治療するためにデザインされています。抗生物質は、時として、善玉菌を破壊してクロストリジウム・ディフィシレを繁栄させてしまう事で、症状を悪化させる可能性があります。」
SER-109という糞ピル(糞錠剤、糞薬)が、根治性の感染症治療に有効性が認められていたらしいのですが、残念ながら、今回その希望が打ち砕かれてしまいました。
Here, spores from good bacterial species are isolated and encapsulated in pill form, while disease-spreading microbes like Listeria and Salmonella are eliminated.
「ここで、善良な細菌種の胞子が分離され、経口薬形状にカプセル化されまが、その一方で、リステリア菌やサルモネラ菌のような、病気を蔓延させる細菌は除去されています。」
SER-109はpoop pill(糞便ピル)と言うよりも、うんこから抽出された善玉菌をカプセル化した経口薬みたいな感じです。なのでうんこ入りピルというのは語弊があるかもしれませんが、しかし、うんこから取り出した善玉菌である事は確かなので、やはりうんこピルと言われても仕方がないのかもしれません。
糞便移植は糞便ピルに勝る
SER-109’s surprising flop is a humbling reminder of the microbiome’s complexity. But even if the treatment had been successful, its creators would’ve been hard-pressed to present a concrete reason why. Many microbiologists have called for a healthy dose of skepticism in microbiome studies. Its potential may be great, but for now it looks like the good old-fashioned fecal transplants still have the drugs beat out.
「SER-109の意外な失敗は、マイクロバイオームの複雑性について、謙虚さを思い出させるものです。しかし、たとえ治療法が成功していたとしても、その薬の作り主達は、何故そういう事が可能であるのかという明確な理由を提示するのに苦労していたでしょう。多くの微生物学者は、ミクロビオームの研究に十分な懐疑的な態度を求めています。それのポテンシャルは大きいのかもしれませんが、今のところは、有効な昔気質の糞便移植が、薬を打ち負かしています。」
薬が何故効くのかという明確な理由さえも分からないようなので、そもそも成功する要素がないような気もするのですが、それを言ったら、糞便移植も何故効果があるのか分かっていないらしいので、本当に微生物群ゲノムというのは複雑極まる、厄介な存在なのかもしれません。例え厄介な存在ではあっても、人間に有益な利点も相当数兼ね備えているので、今後のさらなる研究が期待されてもいます。