燃料電池の燃料の水素をいかにして安価で安定供給するかが、燃料電池普及のための最大の課題だと言われています。実際に燃料電池車は走り出しているのですが、水素スタンドの不足、水素燃料が高価過ぎることから、普及の目処が全く立っていません。車両本体価格自体が高額すぎるので話になりません。
燃料の水素が安くならないと普及どころの話ではありません。色々な技術が開発されているようですが、実用化される気配が全くありません。基礎研究はあくまでも基礎研究で、それを実用化させるのはもっと難しいという事なんでしょうね。インベンションよりもイノベーションの方が遥かに価値があると言われる所以でもあります。
水素と酢酸メチルを生成
Making nail polish while powering fuel cells
Although water is the typical source, other substances could also fit the bill. By selecting the right initial ingredient and catalyst, they reasoned that they could make many organic-based molecules for use in consumer products.
「水が代表的な供給源ですが、他の物質もまた目的に叶っています。最初に正しい材料と触媒を選ぶことで、研究者は、消費財として使うための多くの有機系分子を作り出すことが可能であると結論づけました。」
To be as “green” as possible, the researchers designed a catalyst that contained an earth-abundant element (cobalt) and oxygen. When they ran the water-splitting reaction with ethanol and their cobalt oxide catalyst, they produced H2 gas and ethyl acetate, a chemical used to make nail polish, clean circuit boards and decaffeinate coffee and tea.
「可能な限りグリーンであるために、研究者は、地球上に豊富に存在する元素(コバルト)と酸素を含んだ触媒をデザインしました。彼等が、エタノールと酸化コバルト触媒を使って水分解反応を実行した時、それらは水素ガスと、マニキュア液を作ったり、回路基板を洗浄したり、コーヒーと紅茶のカフェインを抜くのに使われる、酢酸エチルを生産しました。」
エタノールからわざわざ水素を取り出すくらいなら、日産のバイオエタノールを燃料にした燃料電池車がより先進的なような気もします。日産自動車、バイオエタノールから発電した電気で走行する 新しい燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」の技術を発表
「e-Bio Fuel-Cell」は、エタノールの他にも天然ガス等の多様な燃料と酸素との反応を利用して高効率に発電する固体酸化物形燃料電池(SOFC)を発電装置としたシステムで、今回が自動車の動力源として世界で初めて車両に搭載する試みとなります。
最もエタノールを電気分解して、酢酸エチルを生成することが主目的だとすれば、行き掛けの駄賃で水素を得ることができる事になるので、それはそれで価値があるのかもしれません。
純粋な酢酸エチルを生成
Furthermore, ethyl acetate was the only product of the reaction aside from H2. Thus, manufacturers would be able to obtain pure ethyl acetate without energy-consuming purification processes.
「さらに、酢酸エチルは水素を別にすれば、その反応の唯一の生成物でした。従って、製造業者は、エネルギーを消費する精製工程無しで、純粋な酢酸エチルを獲得することが可能になります。」
酢酸エチル生成が主目的とも言えるので、価値ある研究なような気もします。バイオエタノールで走る車が主流になれば、水素が不要になってしまうような気もしますが、それはそれで他に使いみちがあるのでしょう。
酢酸エチル以外に応用可能
The authors say this advance could pave the way for completely green systems that generate H2, as well as a wide range of organic chemicals at room temperature from renewable electrical sources.
「著者達は、この進歩が、水素のほかに、幅広い有機化合物を、再生可能な電気の供給源から室温で作り出す、完全にグリーンなシステムのための下地を作る事ができるのではないだろうかと述べています。」
酢酸エチル以外の有機化学薬品を生産可能らしいので、有機化合物を生成する片手間に、燃料電池の燃料である水素を生産するような感じなのかもしれません。何れにしても、エタノールから水素を取り出さずに、エタノールを燃料として使うのがベストな選択である事に変わりはなく、日産のやり方が正しいのではないでしょうか。