HFT(高速取引、高頻度取引)のスピードが遂に限界に!?

HFT(High Frequency Trading、アルゴリズム取引)のスピードが、遂に限界に達する可能性があるようです。高頻度取引は、市場を撹乱するとか、個人投資家がカモにされるとか、市場の公平性を歪めるとか、さまざまな問題が指摘されています。

高速取引がどれだけ高速なのか、全く知らなかったのですが、実態を知って驚愕しました。とんでもない超高速っぷりです。光速取引と言った方がいいかもしれません。

HFT (光速取引)

High-Frequency Trading Is Nearing the Ultimate Speed Limit

A network switch made by the firm Metamoko allows a trade order to be placed in the time it takes a photon to travel about 90 feet.

「Metamoko製のネットワークスイッチは、フォトン(光子)が約90フィート(27.4m)進む間に取引オーダーを出すことを可能にします。」

光がチョロっとしか進むことができないほどの速度で、取引注文を発注することができるようです。まさに電光石火の光速っぷりです。HFTは光速アルゴ取引と言えるでしょう。

高速ネットワークスイッチ

Australian company Metamoko’s network switch is able to route incoming information through to trading servers in just four nanoseconds, and can lower the time it takes to execute a full trade—from the time it receives market information from a stock exchange to the time it sends out a “buy” or “sell” order—to just 85 nanoseconds, nearly three times faster than Cisco’s general-purpose networking switch.

「オーストラリア企業メタモコのネットワークスイッチは、たった4ナノ秒で入力情報を取引サーバーへ送ることが可能で、株式市場からマーケット情報を受け取ってから、買いか売り注文を出すまでのフルトレードを実行する時間を、実に85ナノ秒へ短縮可能で、シスコの汎用ネットワークスイッチのほぼ3倍の速度です。」

オーストラリアの企業のネットワークスイッチの性能がずば抜けているようです。マーケット情報を得てから発注完了までの時間が85ナノ秒で、アルゴ取引なので、個人投資家が太刀打ち出来るわけがありません。個人投資家ができる事は、事前に将来の情報を予測して、一か八かの賭けに出るしかありません。例えば、数分後に発表される情報を予想して、売買注文を出すのが精一杯です。光速取引だと情報を得た瞬間に取引が完了しているので、到底勝てるわけありません。運が恐ろしく良い人は、宝くじで10億とか稼げるので、株・FXで数十億、あるいは、数百億稼ぎ出すことも可能です。世の中全て運次第と言われるゆえんでもあります。

底辺への競争

The lightning-fast gear is just one link in the high-speed trading chain, of course. Servers have to parse incoming information, make a decision, and send the order back to the switch, before it heads along super-fast cables to an exchange. But Metamoko’s hardware highlights the lengths that traders are willing to go to lower the “latency” of every component in their setup. The company figures it sells about 100 units a month at around $20,000 a pop—according to the Wall Street Journal’s piece on the company, that’s pretty affordable compared to many of the components in a high-speed trading rig.

「前記の高速装置は、高速取引チェーンにおいては、もちろん、1つの鎖に過ぎません。サーバーは、情報が高速ケーブルに沿って取引所へ向かう前に、着信情報を分析し、決定し、スイッチへ注文を送信する必要があります。しかし、Metamokoのハードウェアは、トレーダーが、彼らのセットアップの全てのコンポーネントの待ち時間を減らす事を、どこまで厭わないのかという、その程度を浮き彫りにしています。ウォール・ストリート・ジャーナル誌の記事によると、その会社は、1個約2万ドルで月に約100ユニットを売っていると推定していて、それは、高速取引装置の多くのコンポーネントと比べても、かなり手頃な価格です。」

サーバーの性能が全てですが、ケーブルからスイッチまで含めた全ての周辺機器のレイテンシーを極限まで削ぎ落としたい場合、この2万ドルのネットワークスイッチが、トレーダーの本気度を示すバロメーターにもなり得るみたいな感じです。

This “race to the bottom” is getting pretty close to the limits of what is possible with known physics—light travels about one foot per nanosecond.

「この底辺への競争は、光が約1ナノ秒に1フット(30.48cm)進むという、既知の物理的性質を持ってして可能な事の限界にかなり近付きつつあります。」

1秒間の取引回数を少しでも増やして、利益を少しでも上げようというやり方は、まさに底辺への競争で、最終的に、光の速度以上の速度が出せない現実の壁にぶち当たります。

過去の取引を実行

Even relativity can’t get in the way of dreaming of making a fast buck, however. When in 2012 scientists briefly thought they’d detected neutrinos that could travel faster than light, for example, high-frequency traders pondered how they might build a system that would execute trades that would, theoretically, occur in the past.

「相対性理論でさえも、あぶく銭を稼ぐ夢の前に立ちはだかることができません。2012年に科学者が一時的に、光より速く進む可能性のあるニュートリノを発見した時、高頻度トレーダー達は、理論上は、過去に起こるだろうトレードを実行することになるシステムを、どうすれば構築可能かを思案しました。」

一時的に、ニュートリノが光速を越える事ができるとかなり話題になりましたが、今は否定されています。光速を超えられればタイムマシンが可能とか真剣に言っている人達もいたのですが、結局アインシュタインが正しい事が証明されただけで、ただの空騒ぎに終わっています。

過去の取引が可能になるかもしれない、そんな事まで真剣に考えられていたとか、今となっては理解不能ですが、過去に失敗した取引がやり直せれば、誰でも億万長者になれますし、未来を知って取引できるわけですから、そもそも取引に失敗することがありません。

スピード狂トレーダー

That kind of thinking tells you everything you need to know about just how speed-obsessed the industry has become. But high-frequency trading has also risen to dominate the world of stock trading— about half of all stock that changes hands in the U.S. is through high-speed trades, according to the Journal piece.

「そのような思惑が、とにかく、どれだけその業界がスピードの虜になっているかについて、あなたが知る必要がある全てを教えてくれています。しかし、高頻度取引は株取引の世界を席巻していて、アメリカ国内の全ての株式取引の約半分が高速取引によるものだと、Journal誌の記事が言っています。」

アルゴリズムトレーダーのスピード狂っぷりは相当なものみたいです。物理学的な限界に達しようとしている現状に彼らは何を思っているのでしょうか。

高速取引の是非

Whether or not that’s a good thing is a matter of opinion. Critics of the practice argue that it skews profits to those who can afford sophisticated setups. High-frequency traders are able to make pennies off of individual trades but execute them millions of times a day, while regular investors are left in the dust. And it could be a destabilizing force, where software gone haywire erases huge chunks of a company’s value in a matter of minutes. This has happened enough that it has a name: a flash crash.

「それが良いか悪いかは、意見の別れる問題です。その慣習の批評家は、高度に洗練された機器を買う余裕がある人達へ利益を歪曲していると反対論を唱えています。高頻度トレーダー達は、各々の取引から数円稼ぐ事が可能で、ただしそれらを1日に数百万回実行できる一方で、普通の投資家達は、後塵を拝しています。そしてそれは、ソフトウェアの異常で、ほんの数分で莫大な額の企業の時価総額を消し去る、撹乱的な力となる可能性があります。この事は、十分起こっているので、フラッシュ・クラッシュと名付けられています。」

Proponents, on the other hand, argue that reaching the physical speed limits of trading will make markets fairer. Once everyone trades at light speed, or near to it, there will be little advantage to be gained by going any faster.

Until, of course, someone figures out how to break the laws of physics.

「支持者は、それに反して、取引が物理的速度の限界に達する事が、市場を公正にするだろうと主張しています。いったん、全ての人が光速、あるいはそれに近い速度で取引し始めれば、そこからいくらか速度を上げる事で得られる利点はほとんど存在しないでしょう。もちろん、誰かが物理学的法則の破る方法を発見するまでの話ではあります。」

全ての投資家が光速で株やFX取引をする時が来れば、高頻度取引は公正になるみたいです。個人投資家のどれくらいがアルゴ取引をしているのかは知りませんが、超高速アルゴ取引をしている個人投資家がいるとは到底思えません。なので、そのような時代が本当に到来するのかはかなり疑わしいと言わざるを得ません。

光速を超越した取引が可能になれば、例えば、雇用統計の結果を知ってから、ドル円取引を過去に遡って出来るということになるので、負けることは絶対になくなります。とは言っても、全員が同じ方向で取引をする事になるので、取引自体が成立しないことになります。売りたくても買い手がいない世界が誕生してしまうからです。最もそんなシステムを持てるのはヘッジファンドや機関投資家ぐらいなので、結局個人投資家が100%カモにされる世界が誕生してしまう事になり、カモがいなくなって市場が消滅する可能性さえあります。