グラフェン中での人工原子(量子ドット)作成に成功!

graphene(グラフェン)の中にartificial atom(人工原子)を作り出すことに成功したそうです。最先端技術のグラフェンと人工原子である量子ドットを組み合わせることで、量子情報、量子コンピューター等の分野での応用が期待されているようです。

グラフェンが炭素なのは知っていますが、この物質がどういうものなのか、イマイチよく理解できていないので、東大のサイトで調べてみました。グラフェン

「グラフェン」は炭素原子が蜂の巣状(ハニカム状)に互いに強固に共有結合した単原子シートです(図1)。グラフェンが3次元的に積層した結晶がグラファイト(黒鉛)で、鉛筆の芯にも使われる身近な物質です。層間の結合は弱いファン・デル・ワールス力なので、グラファイトは劈開性に富み、鉛筆で線が描けるのはそのためです。

図1 グラフェンの結晶構造。

 グラファイトの物性研究は20世紀初めにさかのぼることができるほど長い歴史をもちますが、グラフェンの方はずっと理論研究のみにとどまってきました。それはグラフェンを実際に作り出すことができなかったからです。この状況は、2004年に英国マンチェスター大学のAndre Geimらが初めてグラファイトからグラフェンを分離することに成功したことで一変しました。その後は、実験、理論とも爆発的に研究が進み、有機化学から素粒子物理学に至る広い分野にわたる基礎研究、次世代エレクトロニクスや新素材への応用研究が世界規模で続いています。

グラフェンは2004年に初めて作り出されたで、比較的新しい物質のようです。

人工原子(量子ドット)

‘Artificial atom’ created in graphene

In semiconductor materials such as gallium arsenide, trapping electrons in tiny confinements has already been shown to be possible. These structures are often referred to as “quantum dots”. Just like in an atom, where the electrons can only circle the nucleus on certain orbits, electrons in these quantum dots are forced into discrete quantum states.

「ガリウムヒ素などの半導体物質において、電子を微小な境界に捕捉することが可能であることは、既に証明されています。これらの構造は、よく量子ドットと呼ばれます。電子が原子核の特定の軌道上だけしか回る事ができない原子中と同じように、量子ドット中の電子も、個別的な量子状態へ強いられます。」

グラフェンと量子ドット

Even more interesting possibilities are opened up by using graphene, a material consisting of a single layer of carbon atoms, which has attracted a lot of attention in the last few years. “In most materials, electrons may occupy two different quantum states at a given energy. The high symmetry of the graphene lattice allows for four different quantum states. This opens up new pathways for quantum information processing and storage”

「さらにもっと興味深い可能性が、過去数年間多くの注目を集めている、炭素原子の単層から成り立っている物質のグラフェンを使うことで切り開かれます。”ほとんどの物質で、電子は、与えられたエネルギーで、2つの異なる量子状態を専有する可能性があります。グラフェンの高対称性の格子構造が、4つの異なる量子状態を可能にしています。この事が、量子情報プロセシングと記憶のための新しい道を開きます。”」

量子ドットとグラフェンという最新技術を組み合わせることで、多くの新しい道を切り開く可能性があるようです。量子コンピューターのキュービットとして使えそうです。

グラフェン量子ドットの仕組み

With the tip of a scanning tunnelling microscope, an electric field can be applied locally. That way, a tiny region is created within the graphene surface, in which low energy electrons can be trapped. At the same time, the electrons are forced into tiny circular orbits by applying a magnetic field. “If we would only use an electric field, quantum effects allow the electrons to quickly leave the trap”

「走査型トンネル顕微鏡の先端で、局所的に電場を印加できます。そのようにして、低エネルギー電子を閉じ込める事ができる、微小な領域がグラフェン面内に作られました。同時に、電子は磁場を印加する事で、極めて小さな円軌道へと押し込められます。”もし我々が電場だけを使えば、量子効果が電子をすぐにトラップから解放します。”」

お馴染みの電場と磁場を組み合わせることで、電子をグラフェン面内に閉じ込められ、磁場発生装置をオフにする事で、電子を拘束から解放できる仕組みのようです。

量子コンピュータへの応用

“Four localized electron states with the same energy allow for switching between different quantum states to store information”

「同じエネルギーで4つの局在化電子状態を持てる事が、情報を記憶するための、異なる量子状態間の切り替えを可能にしています。」

The electrons can preserve arbitrary superpositions for a long time, ideal properties for quantum computers. In addition, the new method has the big advantage of scalability: it should be possible to fit many such artificial atoms on a small chip in order to use them for quantum information applications.

「電子は、量子コンピュータにとって理想的な特性である、長い間、任意の重ね合わせを保存できるようになります。さらに、その新しい手法は、量子情報応用にそれらを使うための小型回路上に、多くのそのような人工原子を取り付け可能にするはずなので、スケーラビリティに大きな強みを持っています。」

チップ上に好きなだけ人工原子を埋め込めるので、拡張性にも優れているようです。人工原子をキュービットとして使った場合、大規模拡張も可能になるのかもしれません。