室温超伝導(高温超電導)包囲網がさらに狭まる!

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ライス大学、イリノイ大学シカゴ校、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者達の新しい発見が、凝縮物質物理学者が、非従来型超伝導体と高温超伝導体の双方において、磁気揺らぎがどのようにして起こるのかを考え直す必要があることを示唆しています。

常温超伝導達成へ向けて、世界中で着々と研究が進んでいます。2050年までには確実に室温超伝導体が発見されているでしょう。その頃までに、量子コンピュータ、人間を遥かに凌駕する人工知能が開発されているだろうし、人類の科学が飛躍的に進歩することは必至です。江戸時代から平成へタイムスリップするような大変革が起きようとしています。

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磁気の揺らぎ

Neutron-scattering experiments explore origins of high-temp superconductivity

“Our results challenge the present understanding of magnetic fluctuations in high-temperature superconductors,”

「我々の研究成果は、高温超伝導における磁気揺らぎの現在の理解に挑戦しています。」

“Specifically, our findings suggest that magnetic fluctuations similar to those found in magnetically ordered compounds may, in fact, be common to many unconventional superconductors.

「特に我々の発見は、磁気的に秩序化した複合物に見られるものに似た磁気揺らぎが、実際に、多くの非従来型超伝導体に共通している可能性があることを示唆しています。」

磁気揺らぎがイミフなので調べました。

重元素系固体物理研究グループ – 先端基礎研究センター

“磁気揺らぎ”とは、一般に、電子の磁気双極子の揺らぎを意味している。磁気双極子は、磁石が互いをくっ付けたり遠ざけたりする、巨視的な磁性の起源である。一方、スピン-軌道相互作用の存在によって、物質中には双極子より高次の電子の多極子自由度も存在する。四極子や八極子といったものがそれである。そのような高次の多極子も、場合によっては物質の性質そのものを決定しうる重要な物理量となることが最近強く認識されるようになってきている。特に局在したf電子を持つ化合物ではその傾向は顕著であり、ネプツニウム酸化物(NpO2)で出現する磁気八極子秩序はその代表例である。高次の多極子が双極子と同等に重要であるならば、当然その揺らぎを利用した超伝導も考えられる。実際、そのような新しい超伝導の可能性がPr1-2-20系という物質において提案され、研究が進められている。

磁気揺らぎを利用した超電導も考えれるらしいです。

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超伝導臨界温度

Superconductors are materials that lose electrical resistance at a critical temperature. For conventional superconductors, these critical temperatures are impractically low, but high-temperature superconductors tantalize engineers and scientists because their critical behavior comes about at temperatures that are obtainable with relatively affordable industrial processes. In the three decades since high-temperature superconductors were discovered, physicists have found dozens of them but have yet to explain their electronic workings.

「超伝導体は、臨界温度で電気抵抗が無くなる物質です。従来型超伝導体に関しては、この臨界温度は非実用的に低いのですが、高温超電導体は、それらの臨界挙動が相対的に安価な工業工程によって得られる温度で起こるので、技術者と科学者を焦らしています。高温超電導体が発見されて以来30年の間、物理学者達は、それらを多数発見していますが、それらの電子の仕組みはまだ明らかにしていません。」

超伝導臨界温度はうなぎ登りに上昇を続けていますが、その電子的メカニズムは未だ解明されていません。これが解き明かされれば、夢の室温超電導が可能になるのですが、しかし、その謎が徐々に明らかになりつつあります。

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重フェルミオン

All high-temperature superconductors are composite materials. Some contain copper and others have iron. A third class of layered composites called “heavy fermions,” which are made of exotic elements like cerium and ytterbium, exhibits the same sort of unconventional superconductivity as high-temperature superconductors, albeit at far colder temperatures.

「全ての高温超電導は複合材料です。一部は銅を含み、他は鉄を含んでいます。セリウムやイッテルビウムのような風変わりな元素でできている重フェルミオンと呼ばれる第三クラスの積層複合体が、(臨界温度は)はるかに低温ではあるのですが、高温超電導体みたいな非従来型の超伝導性を示しています。」

heavy fermion = 重フェルミ粒子、重いフェルミオンは、重い電子のことみたいです。

Most of these unconventional superconductors convey little to no electricity at room temperature, and they continue to be poor conductors until they are cooled to their critical temperature, at which point superconductivity comes about suddenly.

「この非従来型超伝導体のほとんどが、室温では皆無かそれに近い電気しか流さず、突然超電導化する臨界温度へ冷却されるまで不良導体でい続けます。」

常温では使い物にならないので、実用性は実質ゼロですが、莫大な冷却費用をかけることで、無理くり超電導化して使っているのが現状です。

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スピン共鳴

One electronic behavior that’s been observed in all classes of unconventional superconductors is neutron spin resonance, a collective magnetic excitation that arises slightly below the critical temperature.

「全クラスの非従来型超伝導体に見られる一つの電子挙動が、スピン共鳴、臨界温度よりやや低い温度で起こる集団磁気励起です。」

電子スピン共鳴について調べました。ESR(電子スピン共鳴)

電子スピンも核スピンと同様に、電子スピンに磁場をかけると、その磁場のまわりをコマのように歳差運動(首ふり運動)します。
その歳差運動と同じ周波数の電磁波を歳差運動している電子スピンに与えると、それに共鳴して首ふり運動の角度が変化し、電磁波を吸収、放出します。このような現象をESR(電子スピン共鳴)現象と呼びます。

さらに調べてみました。

電子スピン共鳴測定装置、半導体装置、及び電子スピン共鳴の測定方法

電子スピン共鳴とは、分子中や磁性体材料などに所定の周波数(エネルギー)を有する磁界を印加した際に、分子中や磁性体材料に含まれる不対電子がより高いエネルギー準位に励起される現象である。

スピン共鳴だけで調べてみました。スピン共鳴

磁場中でゼーマン効果によって分離した電子スピンまたは核スピンのエネルギー準位の間の磁気共鳴をさす。共鳴吸収される電磁波の周波数は,ラーモア周波数である。強磁性体,フェリ磁性体では,内部磁場による場合は赤外線になり,外部磁場が重要な場合,電子スピンでは共鳴はマイクロ波領域で起り,常磁性共鳴,強磁性共鳴,反強磁性共鳴などに分けられる。

こういうのはちゃんとある程度勉強しないとダメかもしれません。科学技術は日進月歩なので次から次へと新たな発見があり付いていくのが大変ですが、基礎はある程度できていないと、ワケワカメ状態になってしまいます。

In the new experiments, Song, Rice physicist Pengcheng Dai and colleagues worked for two years to observe resonance behavior in three unconventional superconductors, one made of cerium, cobalt and indium and two others in which ytterbium was substituted for portions of cerium. All three compounds are heavy fermions, so-named because of the tendency of their electrons to behave as if they are far more massive than normal electrons.

「新しい実験で、Songとライス大学物理学者Daiと共働者は、一つはセリウム、コバルト、インジウム、他の2つはイッテルビウムがゼリウムの一部を置き換えている、3種の非従来型超伝導体において共振挙動を観測するために2年間研究を続けました。全3種の複合物が、それらの電子があたかも普通の電子より遥かに重いかのように振る舞う傾向にあることから名付けられている、重いフェルミ粒子です。」

“Spin resonance modes are found in both copper- and iron-based high-temperature superconductors, and our results on both doped and undoped cerium-cobalt-indium—prototypical heavy fermions—provide new insights,” Song said. “Importantly, superconductivity in all these compounds is believed to be mediated in similar ways by magnetic fluctuations, including those we observe in spin resonance modes, and while it’s generally accepted that spin resonance is a signature of unconventional superconductivity, there is no consensus on what causes it to happen.”

「”スピン共鳴モードは銅ベースと鉄ベース双方の非従来型超伝導体に見られ、ドープおよび未ドープのセリウムーコバルトーインジウム原形型重フェルミオン双方に対する我々の調査結果が新たな見解を提供しています。”とSongは言った”需要なのは、全てのこれら複合物における超電導特性が、われわれがスピン共鳴モードで観測したものを含む、磁気揺らぎと似た方法で仲介されていると信じられていて、スピン共鳴が非従来型超電導のサインであると一般的に受け入れられている一方で、何がそれを発生させているのかについては、何のコンセンサスも得られていないという事なのです。”」

スピン共鳴が発生すると非従来型超電導現象が起こるみたいですが、何故スピン共鳴が発生するのかは分かっていないようです。

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非弾性中性子散乱

Song, Dai and colleagues used a technique known as inelastic neutron scattering to examine the resonance behavior of cerium-cobalt-indium and “doped” compounds in which either 5 percent or 30 percent of the cerium was replaced with ytterbium. The experiments were conducted in 2014 at the Heinz Maier-Leibnitz Zentrum at the Technical University of Munich and in 2015 at the National Institute of Standards and Technology’s Center for Neutron Research in Gaithersburg, Md.

「Song, Daiと同僚達は、セリウムーコバルトーインジウムと5%か30%のセリウムがイッテルビウムに置き換えられたドープ化合物の共鳴挙動を調べるために非弾性中性子散乱として知られている技術を使いました。その実験は、2014年にミュンヘン工科大学にあるハインツ・マイヤー・ライプニッツ中性子研究所(MLZ)、2015年にメリーランド州ゲイザスバーグにある米国標準技術局(NIST)の中性子研究センターで行われました。」

All samples were created by UCSD physicist Brian Maple and colleagues, and Song spent hours painstakingly aligning hundreds of the tiny samples and gluing them onto aluminum substrates for testing. By cooling the samples to critical temperatures and examining how neutrons scattered from the samples throughout the cooling, Song, Dai and colleagues were able to show how the magnetic resonance of the materials developed and behaved at the critical point where superconductivity arose.

「全ての試料は、UCSDの物理学者Brian Mapleと研究仲間達によって作られ、Songが実験用に慎重に何百もの微小な試料を並べてアルミニウム基質の上にそれらを糊付けするのに何時間も費やしました。その試料を臨界温度まで冷却して、冷却の間中、中性子がその試料からどのように散乱したかを調査することで、SongとDaiと共働者達は、材料の磁気共鳴が超電導が生じる臨界点で、どのように発生し振る舞うのかを明らかにすることができました。」

spent hours painstakingly ~ = 苦労して(丹念に)~に何時間も費やす、~するのに何時間も苦心した、みたいな感じの訳になります。

“People have known for years that magnetic order—the alternating alignment of spins that is characteristic of magnetism—actually competes with and suppresses superconductivity,” said Dai, professor of physics and astronomy at Rice and the lead scientist on the project. “Intriguingly, magnetic fluctuations in magnetically disordered compounds—fluctuations that resemble what we see in magnetically ordered compounds—appear to be essential for superconductivity.”

「”人々は、磁気秩序(磁性の特徴であるスピンの交互配列)が、実際は超伝導性と競合して抑圧することを何年もの間知っています。”とDaiは言った。”面白いのは、磁気的に無秩序な化合物における磁気揺らぎ(磁気的に秩序化した化合物に見られるものに似た揺らぎ)が、超伝導現象には必須であるように見えることです。”」

磁石はスピンの方向(上か下)が一様に揃った状態で、逆に上と下が交互に並んでいる場合は反磁性体になるみたいです。

In one key finding, the behavior of the resonance in both the doped and undoped samples appeared the same; this discovery directly conflicted with behavior that would be expected based on Landau’s classical theory governing the electronic behavior of metals. Co-author and theoretical physicist Dirk Morr of the University of Illinois at Chicago said this observation shed new light on a longstanding debate between two theoretical camps that attempts to explain the nature of resonance modes.

「一つな鍵となる発見において、ドープ系及び非ドープ系試料双方における共鳴の振る舞いは同じように見えます。この発見は、金属の電子挙動を規定しているランダウの古典論を基にして予測されていた挙動と直接的に矛盾していました。Dirk Morrは、この観測結果が共鳴モードの性質を説明しようと試みている2つの理論陣営の間の長年にわたる論争に新たな光を当てています。」

Landau’s classical theoryは、Landau’s Classical Theory of Fields(ランダウの場の古典論)の事だと思いますが、良く分かりません。theoretical campは、ある仮説に基づく理論を組み立てる人達の集合体で、自分達の仮説が正しいと常に主張します。theoretical campsは、同じ問題を解くための、そういった仮説を立てる集団の集合体で、自分達の仮説が正しいと主張し合う事で論争を引き起こします。なので、仮説(理論)好きの集まり、仮説陣営と訳しておけば問題はないはずです。

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スピン励起子かパラマグノンか

“One camp stands for the spin-exciton interpretation, and the other argues that the resonance is a paramagnon, a remnant of the magnetic order,” Morr said. “The spin-exciton picture seems to work better for some compounds while the paramagnon interpretation seems to work better for others. Our results fall more within the paramagnon interpretation, and though no theory can unify the two opposing views, these results hint at the possibility that they are, in fact, two ends of a continuum.”

「”一つの陣営はスピン励起子の解釈を支持していて、他の陣営は共鳴は、磁気秩序の名残のパラマグノンであると主張しています。”とMorrは言った。”スピン励起子理解はいくつかの化合物にとって都合が良いように見えますが、パラマグノン解釈は他の化合物にとってより効果的なように見えます。我々の研究成果はパラマグノン解釈の範囲内に落ち着いているのと、2つの相反する見解を統合できる仮説はありませんが、その研究成果が、それらが本当は1つの連続体の両端である可能性を示唆しているかもしれません。”」

パラマグノンなんていうと、ウルトラシリーズに出てくる怪獣の名前のように聞こえます。パラマグノンはスピン揺らぎのことみたいです。

two ends of a continuumは、two sides of the same coin = 表裏一体みたいなもんです。例えば政治で考えた場合、右端が右派、左端が左派の一本の棒があったとしたら、一見相反する両極端な政治思想も、見方を変えれば一緒ということです。右派から左派を見れば過激思想に見えますが、逆もまた真です。しかし真ん中の中道から見れば、どちらも過激思想であることには変わりはありません。つまり、2つの仮説を統合できる中道が必ず存在しているという事を意味しています。今回の研究結果が、パラマグノン説が有力っぽいですが、スピン励起子説を否定は出来ないみたいなので、どっかでこの2つの仮説に折り合いをつけられるラインが存在するはずです。

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