CRISPR-Cas(クリスパーキャス)という細菌の免疫系

CRISPR-Cas9という単語を最近やたらと見掛けます。クリスパーキャスナインと読むらしいのですが、クリスピーだとケンタのフライドチキンになってしまいます。これはバクテリアの免疫機構らしく、ウィルスは細菌まで攻撃するみたいです。ウィルスだけは本当に手が付けられない暴れん坊だとも言えます。

ウィルスなどの侵入因子の猛攻から身を守るために、細菌の免疫系は日々猛烈な勢いで進化を繰り返しているようです。それが抗生物質耐性菌の増加に拍車をかけているとも言われているので厄介な問題でもあります。

クリスパーキャス

Researchers probe secrets of bacterial immune system

Scientists from New Zealand’s University of Otago and the Netherlands are continuing to unlock the secrets of a surprisingly flexible bacterial immune system, called CRISPR-Cas.

「ニュージーランドのオタゴ大学とオランダの研究者達はクリスパーキャスと呼ばれる驚くほどフレキシブルな細菌免疫系の秘密を紐解き続けています。」

Just like humans, bacteria are constantly under attack by viruses that try to infect them by injecting viral DNA. This foreign DNA (together with other invading DNA, such as plasmids) has a major impact on the evolution of microorganisms. For example, the spread of antibiotic resistance and virulence factors are often introduced via invasion by foreign DNA.

「人間同様、バクテリアは絶え間なく、ウイルスのDNAを注入することによってそれらに感染を試みるウイルスによる攻撃を受けています。この外来DNA(プラスミドなど他の侵入DNAに加えて)は、微生物の進化に大きな影響を与えています。例えば、抗生物質に対する抵抗と毒性因子の拡大は、しばしば外来DNAによる侵入を介してもたらされます。」

クリスパーキャスシステム

CRISPR-Cas systems can remember and destroy invading DNA by storing short, invader-derived, pieces of DNA (called ‘spacers’) into their genetic memory banks. In an earlier study, the team discovered that viruses and plasmids, which can avoid recognition by mutating their DNA, will trigger the bacteria’s CRISPR-Cas system to respond by quickly acquiring new immunological memories from these mutated threats. This process is called ‘primed adaptation’.

「クリスパーキャスシステムは、短い、侵入者由来の、DNAの一片(スペーサーと呼ばれる)を細菌の遺伝記憶貯蔵所へ保管することで、侵入者情報を記憶に留めることができ、侵入DNAの破壊を可能にしています。初期の研究で、チームは、自身のDNAを突然変異することで認知されるのを避けることができるウイルスと核外遺伝子が、この突然変異の脅威から新しい免疫記憶を素早く入手することで細菌のクリスパーキャスシステムを応答させることを発見しました。このプロセスはプライム適応と呼ばれています。」

primed adaptationは、直訳すれば初回刺激を受けた適応です。プライム適応でいいかと思いますが、アマゾンのプライム適応と混同されやすいのが玉に瑕です。

プライム適応応答

In their latest study, which appears this week in the prestigious journal Nature Communications, Associate Professor Peter Fineran’s team sought to understand how these were selected during the primed adaptation response.

「今週、高名なNature Communications誌に出てる彼等の最近の研究で、Peter Fineran助教授のチームは、どのようにして、この新しい記憶がプライム適応応答時に選択されているのかを理解しようとしました。」

“We infected the bacteria with plasmids not previously encountered, or with mutated plasmids triggering the primed adaptation response. By making use of the advances in next generation sequencing through New Zealand Genomics Ltd, we analysed more than 20 million newly acquired spacers.”

「”我々は、初対面のプラスミド、あるいは、プライム適応応答をトリガーさせる突然変異したプラスミドで細菌を感染させました。ニュージランドゲノミクス社を通じて、次世代配列決定の進歩を利用することで、2000万の新たに獲得されたスペーサーを分析しました。”」

not previously encounteredは、未知との遭遇というか、初対面でいいかと思います。もっとうまい訳があると思いますが、日本語力に著しく欠けている自分はこれが限界です。英文和訳は日本語力勝負なのが良く分かります。

The team discovered that the acquisition of memories from plasmids not previously encountered was very inefficient in comparison to the mutated plasmids. By studying the order in which these new memories were acquired, the researchers developed a new model for primed adaptation.

「そのチームは、初対面のプラスミド由来の記憶の獲得が、突然変異プラスミドと比較して非常に非効率であることを発見しました。これらの新たな記憶が獲得された順序を調査することで、研究者はプライム適応の新しいモデルを構築しました。」

The data indicated that acquisition of new immunological memory occurs not only during primed adaptation but also as a consequence of direct defence against invading genetic elements that have not mutated to evade recognition by the CRISPR-Cas system.

「そのデータは、新しい免疫記憶の獲得がプライム適応の間だけ起こるのではなく、クリスパーキャスシステムによる認識をうまく逃れるために変異していない侵入遺伝要素に対する直接防衛の結果としても起こることを示唆していました。」

immunological memory = 免疫学的な記憶、免疫学的記憶

“We propose that during CRISPR-Cas mediated defence, new immunity is generated as part of a positive feedback loop. This further reduces the risk of plasmids or viruses evading the bacteria’s CRISPR-Cas defences through genetic mutations,” says Dr Raymond Staals, the first author on the study.

「”我々は、クリスパーキャスを介した防衛、新しい免疫が、正のフィードバック・ループの一部として生じたことを提議します。このことがさらに、核外遺伝子かウイルスが遺伝子変異によって細菌のクリスパーキャス防衛をくぐり抜けるリスクを減少させます。”と、その研究の筆頭著者であるレイモンド博士は言っています。」

genetic mutation = 遺伝子突然変異

細菌は、最終防衛ラインを突破されないように、物凄い速度でウイルスに対する免疫を構築できてしまうみたいです。最前線で防衛兵器を作るみたいな感じなのかもしれませんが、耐性菌の存在を考えると感心している場合ではありません。

この細菌の驚異的な免疫系を利用した、クリスパーキャス9がここ数年脚光を浴びているのですが、ちょっと調べてみましたが、かなり高度な内容なので、もう少し勉強しないとワケワカメ状態です。遺伝子工学は、細菌の免疫系であるクリスパーキャス同様、猛烈な勢いで進化しているので、今後が楽しみな分野でもあります。

クリスパーキャスはキャスパーと間違えやすいです。キャスパーは白いオバケですが、かなりややこしい言葉ではあります。クリキャスでいいかもしれません。