ナノスケール計算機が遂に完成間近!?

その買うを、もっとハッピーに。|ハピタス

ナノスケールコンピュータが可能になれば、ナノロボットがプログラマブルになって、簡単な動作をさせる事が可能になります。例えば、原子1個分のトランジスタをナノサイズロボットのCPUとして使えば、数千から数万のトランジスタが集積可能になります。モトローラ社製の有名な68000CPUのトランジスタ数が7万程度だった事を考えると、トランジスタが数千~数万あれば十分なことが分かります。ちなみにファミコンで使われたCPUのベースだったモステクノロジー社製の6502は、トランジスタ数が6000~8000程度と推測されています。ライバルだったザイログ社のZ80が8200個、インテル社の8080が6000個程度だったと言われています。1万個あれば事が足ります。

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超微粒子ナノ世界

A tiny machine: Engineers design an infinitesimal computing device

In 1959 renowned physicist Richard Feynman, in his talk “Plenty of Room at the Bottom,” spoke of a future in which tiny machines could perform huge feats. Like many forward-looking concepts, his molecule and atom-sized world remained for years in the realm of science fiction.

And then, scientists and other creative thinkers began to realize Feynman’s nanotechnological visions.

「1959年、名高い物理学者だったリチャード・ファインマンが、彼の講演の中で、”底の方には空きがある”と言い、微小機械が大きな芸当をこなせるようになるかもしれないといった将来の話をしています。多くの先見の明がある考えのように、彼の分子と原子サイズの世界は、長年に渡り、空想科学小説の世界に存在していました。その後、科学者や他の創造的な思想家達が、ファインマンのナノテクビジョンに気付き始めました。」

Plenty of Room at the Bottomは、直訳すれば、底には空きが多いという意味で、例えば、上を巨視的で中間を微視的とすれば、底は超微視的になり、意訳すれば、ナノ的なことはまだ多くの可能性が残されているという意味になるようです。

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ナノスケール3次元回路

In the spirit of Feynman’s insight, and in response to the challenges he issued as a way to inspire scientific and engineering creativity, electrical and computer engineers at UC Santa Barbara have developed a design for a functional nanoscale computing device. The concept involves a dense, three-dimensional circuit operating on an unconventional type of logic that could, theoretically, be packed into a block no bigger than 50 nanometers on any side.

「ファインマンの洞察の精神、彼が科学的独創力や工学創造性を刺激する手段として発表した挑戦に応えて、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の電気・計算技術者は、使用可能なナノスケール計算装置のためのひな形を開発しました。その設計概念は、どの側面も50ナノメートル程の大きさの区画内に、理論的に詰め込み可能な従来にないタイプのロジック上で動作する、高密度3次元回路が関わっています。」

“Novel computing paradigms are needed to keep up with the demand for faster, smaller and more energy-efficient devices,” said Gina Adam, postdoctoral researcher at UCSB’s Department of Computer Science and lead author of the paper “Optimized stateful material implication logic for three dimensional data manipulation,” published in the journal Nano Research. “In a regular computer, data processing and memory storage are separated, which slows down computation. Processing data directly inside a three-dimensional memory structure would allow more data to be stored and processed much faster.”

「”高速でより小さいもっと省エネな装置に対する需要に応じるために、新しい計算パラダイムが必要とされています。”と、UCSB計算科学部ポスドク研究者で、Nano Research誌に掲載された研究論文、”3次元データ操作のための最適化されたステートフルな実質含意論理”の筆頭著者でもあるジーナ・アダムは語った。”標準のコンピュータでは、データ処理とメモリ保存は分離されていて、計算速度を落としています。3次元メモリ構造内で直にデーターを処理する事で、より多くのデータ保存と処理を可能にします。”」

3Dレンダリングなんかも、GPUカード上のメモリ内で行われると、高速処理が可能ですが、解像度やエフェクト(影やアンチエイリアス等)によっては、8G~16GのGDDR5RAMを必要とします。4k+フルエフェクトのゲームをストレス無しでプレイする場合、最新最高級グラボが2枚必要になるのはそのためです。

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8ビットナノCPU

While efforts to shrink computing devices have been ongoing for decades—in fact, Feynman’s challenges as he presented them in his 1959 talk have been met—scientists and engineers continue to carve out room at the bottom for even more advanced nanotechnology. A nanoscale 8-bit adder operating in 50-by-50-by-50 nanometer dimension, put forth as part of the current Feynman Grand Prize challenge by the Foresight Institute, has not yet been achieved. However, the continuing development and fabrication of progressively smaller components is bringing this virus-sized computing device closer to reality,

「計算装置を縮小する試みは数十年継続中(実際、1959年の講演で提示されたファインマンの挑戦は満たしています)ですが、科学者と技術者は、より高度な超微小技術を求めて底部で空間を開拓中です。フォアサイト研究所による最近のファインマングランプリチャレンジの一環として始まった、50×50×50ナノメートル規模で動作するナノ規模8ビット加算器は、まだ達成されていません。しかし、継続中の革新的に小さな部品の開発と加工が、このウイルスサイズの計算装置を実現に近付けています。」

加算器はCPUを構成する演算回路の1つですが、ALU(arithmetic and logic unit、論理演算ユニット)の中心でもある非常に重要な回路です。これが完成すればCPUはできたも同然と言えるので、ナノスケールCPUの開発は時間の問題のようです。

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メモリスタと実質含意論理

“Our contribution is that we improved the specific features of that logic and designed it so it could be built in three dimensions,” he said.

Key to this development is the use of a logic system called material implication logic combined with memristors—circuit elements whose resistance depends on the most recent charges and the directions of those currents that have flowed through them.

「”我々の貢献は、そのロジックの特定の機能を向上させて、それが3次元で構築可能なように設計したことです。”と彼は言った。この開発の鍵は、実質含意論理と呼ばれる論理システムを、抵抗が、自身を通過するその電流の最新の電荷と方向によって決まる回路素子であるメモリスタと組み合わせて用いることです。」

material implication logic = 実質的含意論理、質料含意論理

Unlike the conventional computing logic and circuitry found in our present computers and other devices, in this form of computing, logic operation and information storage happen simultaneously and locally. This greatly reduces the need for components and space typically used to perform logic operations and to move data back and forth between operation and memory storage. The result of the computation is immediately stored in a memory element, which prevents data loss in the event of power outages—a critical function in autonomous systems such as robotics.

「現在のコンピューターに見られる、従来型の計算論理と構成回路と違い、この形態の演算と論理演算と情報記憶は、同時かつ局所的に起こります。この事が、一般的に論理演算、演算と記憶装置の間を往復させるのに使われる、部品と空間の必要性を大幅に減らします。演算処理の結果は、すぐにメモリ素子に記憶され、ロボット工学などの自律システムには重大な機能である、停電時のデータ損失を防止します。」

memory storage = 記憶装置、外部記憶装置(DVD、HDD、SSD等)からデータをメインメモリに読み込んで、それをCPUやGPUが処理するわけですが、通常メインメモリは揮発性なので電源供給がストップするとデータは全て失われます。処理データをリアルタイムで不揮発性メモリに記憶させる事ができれば、揮発性メモリとのやり取りが減る分、部品が減って、スペースが空くのかもしれませんが、よく分かりません。

In addition, the researchers reconfigured the traditionally two-dimensional architecture of the memristor into a three-dimensional block, which could then be stacked and packed into the space required to meet the Feynman Grand Prize Challenge.

「それに加えて、研究者たちは、その後それをファインマングランプリチャレンジを満たすのに要求される空間中に積層して詰め込めるように、従来の2次元構造のメモリスタを3次元ブロックに再構成しました。」

“Previous groups show that individual blocks can be scaled to very small dimensions, let’s say 10-by-10 nanometers,” said Strukov, who worked at technology company Hewlett-Packard’s labs when they ramped up development of memristors and material implication logic. By applying those results to his group’s developments, he said, the challenge could easily be met.

「”過去のグループは、個々のブロックを、非常に小さな規模、例えば10×10ナノメートルまで縮小できることを証明しています。”と、彼等がメモリスターと質料含意ロジックの開発に着手した時に、ヒューレット・パッカード社の研究室で働いていたStrukovは語った。それらの結果を、彼のグループの開発に適用することで、そのチャレンジを満たすことは簡単だろうと彼は言いました。」

The tiny memristors are being heavily researched in academia and in industry for their promising uses in memory storage and neuromorphic computing. While implementations of material implication logic are rather exotic and not yet mainstream, uses for it could pop up any time, particularly in energy scarce systems such as robotics and medical implants.

「微小メモリスタは、記憶装置と神経形態学的計算分野での利用が見込まれているので、大学研究機関や産業界で重点的に研究されています。実質的含意論理の実装がかなり新奇でまだ主流ではないのですが、特に、ロボット工学や医療移植などのエネルギー不足システムで、それが突然利用され始める可能性はあります。」

人体内で使う場合は、ロボットやコンピュータを動かすエネルギー不足が問題になるので、このロジックを使えば省エネになるようです。

“Since this technology is still new, more research is needed to increase its reliability and lifetime and to demonstrate large scale three-dimensional circuits tightly packed in tens or hundreds of layers,”

「この技術はまだ新しいので、信頼性と耐久性向上や、数十か数百層に詰め込んだ大規模3次元回路を実証するためにさらなる研究が必要です。」

数十ナノメートル四方に数百層に積層された3次元回路ということは、原子数個のトランジスタを数万個詰め込めるという事になるのかもしれません。数十層だとしても、数千個のトランジスタを詰め込めるので、8ビットCPUを作るには十分なように思えますが、門外漢なので、適当に言っているだけです。何れにしても、ナノスケールの8ビット、16ビットCPUが開発されれば、ファームウェアで動くナノロボットが作れるので、色々な用途に利用できるようになるではないでしょうか。

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