何のことだから良く分かりませんが、ヒューストン大学の研究者等が、非超電導物質中に超伝導現象を起こす新しい方法を発表、数十年前に提唱されその後実証できていなかったコンセプトを実証しています。その技術は、既存の超電導体の効率性を高めることも可能で、超伝導の商業化を促進するための新しい方法を示唆しています。
超電導体はMRIなどに利用されていますが、冷却装置等の莫大な維持費が必要なので、実用には不向きで、室温超電導体の発見が待ち望まれています。
カルシウム・鉄・ヒ化物
Physicists induce superconductivity in non-superconducting materials
The research, demonstrating a new method to take advantage of assembled interfaces to induce superconductivity in the non-superconducting compound calcium iron arsenide, offers a new approach to finding superconductors that work at higher temperatures.
「その研究は、カルシウム・鉄・ヒ化物の非超電導化合物中に超伝導性を誘発するために作られたインターフェースを巧く利用する新しい方法を実証していて、高温で機能する超電導体を発見するための新しい手法を提供しています。」
Superconducting materials conduct electric current without resistance, while traditional transmission materials lose as much as 10 percent of energy between the generating source and the end user. That means superconductors could allow utility companies to provide more electricity without increasing the amount of fuel used to generate electricity.
「超電導材は、従来の伝導材が、発電所と消費者の間で、最大で10%のエネルギーを損失する一方で、抵抗無しで電流を伝導します。それは、超電導体が電力会社が発電に使う燃料量を増やさずにより多くの電気を供給できる事を意味します。」
臨界温度、転移温度
“One way that has long been proposed to achieve enhanced Tcs (critical temperature, or the temperature at which a material becomes superconducting) is to take advantage of artificially or naturally assembled interfaces,” the researchers wrote. “The present work clearly demonstrates that high Tc superconductivity in the well-known non-superconducting compound CaFe2As2 (calcium iron arsenide) can be induced by antiferromagnetic/metallic layer stacking and provides the most direct evidence to date for the interface-enhanced Tc in this compound.”
「”高いTcs(臨界温度、あるいは、物質が超伝導になる温度)を達成するために長い間提唱されている1つの方法が、人工的、または、自然に組み立てられるインターフェースを活用することです。”と研究者は書いています。”本論文は、有名な非超伝導化合物である、カルシウム・鉄・ヒ化物における高転移温度超電導が、反強磁性/金属層を積層することで誘発できる事を明確に実証し、この化合物におけるインターフェースで高められた転移温度のための、現在までで最も直接的な証拠を提供しています。”」
カルシウム・鉄・ヒ化物は、鉄系超伝導体112型
2物質の界面
The concept that superconductivity could be induced or enhanced at the point where two different materials come together – the interface – was first proposed in the 1970s but had never been conclusively demonstrated, Chu said. Some previous experiments showing enhanced superconducting critical temperature could not exclude other effects due to stress or chemical doping, which prevented verification, he said.
「超伝導性が、2つの異なる物質が接触する部分(インターフェース、界面)で、誘導可能、あるいは、機能強化可能という考えは、1970年代に初めて提唱されましたが、決定的には実証されていませんでした。とチューは言った。強化された超伝導臨界温度を示すいくつかの過去の実験は、ストレスか化学ドーピングのせいで他の影響を排除できずに、それが立証を妨げていました、と彼は言った。」
2相共存
To validate the concept, researchers working in ambient pressure exposed the undoped calcium iron arsenide compound to heat – 350 degrees Centigrade, considered relatively low temperature for this procedure – in a process known as annealing. The compound formed two distinct phases, with one phase increasingly converted to the other the longer the sample was annealed. Chu said neither of the two phases was superconducting, but researchers were able to detect superconductivity at the point when the two phases coexist.
「その考えを立証するために、研究者は、環境気圧で作業し、非ドープのカルシウム・鉄・ヒ化物化合物を摂氏350度の熱にさらしました。アニーリング(焼きなまし)として知られる工程で、この処置としては比較的低温と見られています。その化合物は、その試料がより長くアニールされると、1つの相が次第に他の相へ変換されるにつれ、2つのはっきりと区別できる相を形成しました。チューは、2つの相はどちらも超伝導ではなかったが、研究者が2つの相の共存時に超電導性を検出できたと語った。」
超伝導性を示さない2つの相が共存している部分が、超伝導性を示すようになるのは、非常に興味深い現象と言えるのではないでしょうか。2物質の界面というよりは、2相の共存時に超伝導現象が現れるみたいな感じです。
Although the superconducting critical temperature of the sample produced through the process was still relatively low, Chu said the method used to prove the concept offers a new direction in the search for more efficient, less expensive superconducting materials.
「その過程を通して生成されたサンプルの超伝導臨界温度はまだ比較的低いのですが、チューは、そのコンセプトを証明するのに使われた方法が、もっと高効率で安価な超電導素材を探し出す新しい方向を提供していると語った。」
非超電導体で超電導体を誘発するには、2つの異なるフェーズが共存することで可能になるみたいですが、それでもまだまだ低温でないと超伝導にはならないみたいなので、実用性はありません。新しい超電導探求法としては使えるようです。