量子コンピュータ実現を可能にする原子トラップ

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原子、光子、他の量子粒子は、ほとんどの場合、気まぐれで気難しい性質を呈し、落ち着きがなく、同じ種類の別の粒子と頻繁に衝突しています。でももし、そんな粒子が、大量に、個々に捕捉して制御できれば、それらを、それの状態か位置が、今の半導体コンピュータチップとは比較にならない速度で計算を実行するのに使える情報の微小単位である、量子ビット、またはキュービットとして利用できるかもしれません。

ここ数年、科学者等は、個々の量子粒子を隔離して操作する方法を考え出していますが、そのような技術は、拡張性に乏しく、大量の原子を確実に制御する方法に欠けている事が、量子計算への深刻な障害になったままです。

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レーザーピンセット

Scientists set traps for atoms with single-particle precision

Now, scientists from Harvard and MIT have found a way around this challenge. In a paper published today in the journal Science, the researchers report on a new method that enables them to use lasers as optical “tweezers” to pick individual atoms out from a cloud and hold them in place. As the atoms are “trapped,” the scientists use a camera to create images of the atoms and their locations. Based on these images, they then manipulate the angle of the laser beams, to move individual atoms into any number of different configurations.

「現在、ハーバードとMITの科学者等が、この問題の回避策を見つけています。Science誌に掲載されている研究論文で、研究者達は、集団から原子を抜き出してそれらを適所に保持するための光学的ピンセットとして、彼等がレーザーを使うことを可能にする新しい方法を報告しています。原子が捕捉されている間、科学者は、原子とそれらの位置を画像化するためにカメラを使います。これらの画像に基づいて、彼等はその後、個々の原子をいくらでも違った配置へ移動させるために、レーザー光線の角度を利用します。」

自由自在に原子を個別に好きなところへ移動して配置することができるみたいです。ビーズの入った缶からピンセットを使って、ビーズを1個ずつつまんで、好きなところに並べるみたいな感じかもしれません。上手いやり方です。

The team has so far created arrays of 50 atoms and manipulated them into various defect-free patterns, with single-atom control. Vladan Vuletic, one of the paper’s authors and the Lester Wolfe Professor of Physics at MIT, likens the process to “building a small crystal of atoms, from the bottom, up.”

「チームは、これまでに50個の原子配列を作り出し、それらを、単一原子制御で、さまざまな無欠陥パターンへ変えています。論文の著者の一人と、MITの教授は、その過程を、ゼロから原子結晶を構築する事に例えています。」

原子を1個単位で制御可能にしているみたいです。凄いです。

“We have demonstrated a reconfigurable array of traps for single atoms, where we can prepare up to 50 individual atoms in separate traps deterministically, for future use in quantum information processing, quantum simulations, or precision measurements,” says Vuletic, who is also a member of MIT’s Research Laboratory of Electronics. “It’s like Legos of atoms that you build up, and you can decide where you want each block to be.”

「”我々は、量子情報処理、量子シミュレーション、または精密測定に将来利用するための、最大50個までの個々の原子を確定的に個別のトラップに用意できる、単一原子用の再構成可能なトラップアレイを実演しました。”と、MITの電子機器研究所のメンバーでもある、論文著者は言っています。”それは、あなたが構築する原子のレゴのようなもので、あなたは、各々のブロックをどこに置くかを決定できます。”」

レゴもゼロから構築していくわけですが、どこにブロックを置くかで、パターンが変わってしまいます。原子レゴも原子の配置方法を変えることで、さまざまなパターンを構築できるみたいです。パターンが違うと性質も違うと思われます。

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中性原子

The team designed its technique to manipulate neutral atoms, which carry no electrical charge. Most other quantum experiments have involved charged atoms, or ions, as their charge makes them more easily trappable. Scientists have also shown that ions, under certain conditions, can be made to perform quantum gates — logical operations between two quantum bits, similar to logic gates in classical circuits. However, because of their charged nature, ions repel each other and are difficult to assemble in dense arrays.

「チームは、電荷を持たない、中性原子を利用するための技術をデザインしました。ほとんどの他の量子実験は、それらの電荷がそれらをよりトラップ可能にしているので、帯電した原子かイオンを対象としています。科学者等は同様に、イオンが、一定の条件下で、古典回路における論理ゲートに似た、2つの量子ビット間の論理演算である、量子ゲートを演じるように作成可能であることを証明しています。しかし、それらの帯電性のために、イオンは、互いに反発し合い、高密度配列で集めるのが困難です。」

Neutral atoms, on the other hand, have no problem being in close proximity. The main obstacle to using neutral atoms as qubits has been that, unlike ions, they experience very weak forces and are not easily held in place.

“The trick is to trap them, and in particular, to trap many of them,” Vuletic says. “People have been able to trap many neutral atoms, but not in a way that you could form a regular structure with them. And for quantum computing, you need to be able to move specific atoms to specific locations, with individual control.”

「中性原子は、その反面、そばにいても問題がありません。中性原子をキュービットとして使う主な障害は、イオンと違い、それらが、とても弱い力を感じ、簡単に適所に固定されないことです。”トリックは、それらをトラップする、特に大量にそれらをトラップする事です。”と著者は言っています。”人々は、多くの中性原子をトラップできていますが、それらを使って正規構造を形成可能にするやり方ではありません。量子計算のためには、個別制御で、特定の原子を特定の場所に動かせる必要があります。”」

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罠を仕掛ける

To trap individual neutral atoms, the researchers first used a laser to cool a cloud of rubidium atoms to ultracold, near-absolute-zero temperatures, slowing the atoms down from their usual, high-speed trajectories. They then directed a second laser beam through an instrument that splits the laser beam into many smaller beams, the number and angle of which depend on the radio frequency applied to the deflector.

「個々の中性原子をトラップするために、研究者は、最初にルビジウム原子雲を、ほぼ絶対零度温度の超低温に冷却するためにレーザーを使い、普段は高速で動き回っている原子の動きを遅くしました。彼等はその後、偏向器に印加するラジオ周波数でその数と角度が決まる、レーザービームを多くの細かいビームに分割する機器を介して、2番目のレーザービームを照射しました。」

最初のレーザーは原子集団を冷やすためで、次のレーザーは、冷却原子集団の中の原子を個々にピックアップするためのレーザーみたいです。

The researchers focused the smaller laser beams through the cloud of ultracold atoms and found that each beam’s focus — the point at which the beam’s intensity was highest — attracted a single atom, essentially picking it out from the cloud and holding it in place.

“It’s similar to charging up a comb by rubbing it against something woolen, and using it to pick up small pieces of paper,” Vuletic says. “It’s a similar process with atoms, which are attracted to regions of high intensity of the light field.”

「研究者は極低温原子雲を通過する細かいレーザー光線に焦点を合わせ、それぞれのビームの焦点(ビームの強度が最大の点)が、単一原子を引き寄せ、事実上それを集団から摘み取り、適所に保持することを発見しました。”それは、クシを何かウール製品に擦り付ける事によって静電気を起こし、紙の小片を吸い付けるのにそれを使うことに似ています。”と著者は言う。”それは、光照射野の高強度の部位に引き寄せられた原子に似たプロセスです。”」

羊毛セーターなんかでプラスチック製の物を擦ると、静電気が発生して、それでほこりを取ることができます。静電気でホコリを取る商品も売られていますが、光が原子を吸い付けるとか面白い現象なのではないでしょうか。昔ルパン三世で、光で物を掴む斬新な光線銃がありましたが、それを思い出しました。

While the atoms are trapped, they emit light, which the scientists captured using a charge-coupled-device camera. By looking at their images, the researchers were able to discern which laser beams, or tweezers, were holding atoms and which were not. They could then change the radio frequency of each beam to “switch off” the tweezers without atoms, and rearrange those with atoms, to create arrays that were free of defects. The team ultimately created arrays of 50 atoms that were held in place for up to several seconds.

「原子がトラップされている間、光を発しているのを、科学者が、電荷結合素子カメラを使って捉えました。それらの画像を調べることで、研究者は、どのレーザービーム、あるいはピンセットが、原子を保持していて、どれがしていないかを見分ける事ができました。彼らはそれから、原子なしのピンセットを切るために、各々のビームのラジオ周波数を変え、欠陥無しのアレイを作るために、原子付きのものを再配置しました。チームは最後に、最大数秒間定位置に固定された50個の原子配列を作りました。」

原子がくっついてないレーザー光は切って、原子が付いたレーザを並び替え、これを繰り返して最終的に欠陥のない原子50個のアレイを構築したみたいです。何とも有り得ないような手法ですが、さすがMITとハーバードとしか言えません。

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量子演算

“The question is always, how many quantum operations can you perform in this time?” Vuletic says. “The typical timescale for neutral atoms is about 10 microseconds, so you could do about 100,000 operations in a second. We think for now this lifetime is fine.”

「”質問はいつも、今回は何回量子演算を行えますか?です”と著者は言う。”中性原子の一般的なタイムスケールは約10ミリ秒で、1秒間に約10万演算をこなせます。我々は、差し当たりこの寿命は問題ないと考えています。”」

Now, the team is investigating whether they can encourage neutral atoms to perform quantum gates — the most basic processing of information between two qubits. While others have demonstrated this between two neutral atoms, they have not been able to retain quantum gates in systems involving large numbers of atoms. If Vuletic and his colleagues can successfully induce quantum gates in their systems of 50 atoms or more, they will have taken a significant step toward realizing quantum computing.

「今は、チームは、彼らが、中性原子に、2個のキュービット間の最も基本的な情報処理の量子ゲートを演じさせられるかどうか調査しています。他の研究者等がこの事を2個の中性原子間で実演していますが、彼らは、多くの原子が絡む系で量子ゲートを維持することは出来ていません。もし、Vuleticと彼の同僚等が、50個かそれ以上の彼らのシステムで量子ゲートをうまく誘発できれば、彼らは、量子計算実現に向け重要な一歩を踏み出す事になります。」

“People would also like to do other experiments aside from quantum computing, such as simulating condensed matter physics, with a predetermined number of atoms, and now with this technique it should be possible,” Vuletic says. “It’s very exciting.”

「”人々は、量子計算に加えて、所定の原子数を用いて、凝縮系物理学をシミュレートするなどの別の実験もしたがっていて、今はこの技術を使えばそれが可能なはずです”と著者は語っています。”とってもワクワクします。”」

超低温原子雲を使っているので、凝縮系物理学にこの技術を応用することは可能なようには思えますが、量子計算が最優先なような気もします。1日も早く50キュービットを使った量子演算を可能にすべきです。とは言っても、室温量子コンピュータではないので、パーソナルな量子コンピュータへの道のりは遠そうです。

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