多くの民主党寄りのアメリカ人が、トランプ氏があたかも悪魔でもあるかのように忌避していますが、トランプ氏は間違いなく悪ではないです。善か悪かと問われれば、善でも悪でもなく、ほとんどの人間がそうであるように、人間である、としか答えようがありません。人間は善と悪のどちらにもなれますが、特に悪になりやすいです。
普段のトランプ氏は善人だとしても、ちょっとした事で切れると、たちまち悪に豹変するのは事実です。氏の女性蔑視の態度をevil的と指摘する人が多いですが。女性蔑視と言うよりは、醜い女性や太っている女性に偏見を持っていると言った方が正しいかもしれません。ほとんどの男がそういう傾向があるので、トランプ氏だけの問題ではありません。男が美人に弱く、醜女に容赦がないのは本能とも言われています。
心理的な側面から言えば、トランプ氏は、ナルシシストでエゴマニアックであるとよく言われますが、ほとんどの人間が、ナルシシストでエゴマニアックなので、トランプ氏は極めて人間的であるという意見もあります。
悪の問題
Donald Trump and the Problem of Evil
Ever since I read that New York Times headline, “Trump Triumphs,” things have seemed surreal, even trippy. The psychedelic visionary Terence McKenna keeps coming to mind.
McKenna sought to answer what theologians call the problem of evil: If we were created by a loving, all-powerful God, why is life often so painful and unfair? Why do bad things happen to good people, and vice versa?
「ニューヨーク・タイムズ紙の見出し、トランプ氏勝利を収める、を読んで以来、あらゆる事が非現実的、幻覚体験のようにさえ思われます。サイケデリックな空想家、テレンス・マッケナ氏のことを頭に思い浮かべ続けています。マッケナ氏は、神学者が悪の問題と呼んでいた物の答えを模索しました。もし、人間が、愛に満ちた全能の神によって作られたのなら、何故、人生は、ほとんどの場合、あまりに辛く不公平なのか?何故、善人に悪いことが起こって、悪人に良いことが起こるのか?」
これは、たぶん、Edmund Burke(エドマンド・バーク)の、”The only thing necessary for the triumph of evil is for good men to do nothing.”をもじっているのかなと思われますが、世の中に善人なんてほとんど存在しません。善人ぶった偽善者とか、私のように自分が善人だと思い込んでいる勘違い野郎は多いですが、本物の善人は絶滅危惧種です。
悪い奴ほど良く眠るとか、悪人にストレスは無いと言われています。何故なら彼らは自分の欲望のままに生きているからです。いじめられっ子はいじめが気になって眠れませんが、いじめる側は、どうやっていじめようかワクワクしながら眠りにつきます。これが人生、人間社会の非情な部分でもあるのですが、この世に悪が蔓延るのは、人間が本質的に悪だからとも言われています。いわゆる性悪説ですが、キリスト教的には原罪があるので性悪説です。個人的には人間は生まれた時はただの野生動物の一種で、人間らしく教育されることで、何とか人間らしくなると思っています。遺伝的な問題で、教育しても人間らしくなれない人間もいますが、基本的に、人間は、法律、警察、軍隊による力による束縛によって、人間らしく振る舞うことを強制されています。なので、法の支配が及ばない所では、例えば、平気でスピード違反を犯したり、やりたい放題し始めるどうしょうもない生き物ですが、全ての人間が救いようがないわけではなく、素晴らしい人間もいるので希望は持てます。
McKenna explained his worldview to me in 1999, a year before he succumbed to brain cancer, in a Manhattan hotel. Reality, he said, “has a strange artfulness to it that betrays the hand of a kind of director, or author, or some kind of intelligence which is shaping this supposedly chaotic and random thing.”
「マッケナ氏は、彼が脳腫瘍で他界する前の年の1999年に、マンハッタンホテルで、私に彼の世界観を説明してくれました。彼はこう言いました、”現実は、この無秩序でランダムと言われている物を形作っている、一種の指導者、あるいは、創造者、はたまた、ある種の知的存在の支配力に背く、不思議な狡猾さを持っています。”」
The ultimate purpose of the “director,” or God, according to McKenna, is not the salvation of our souls, or the attainment of paradise, but the generation of “novelty.” McKenna saw evidence for his worldview in modern science and technology, which are generating novelty at an accelerating rate.
「指導者、あるいは、神の終局の目的は、マッケナ氏によると、我々の魂の救い、または、至福の地の獲得ではなく、新規性の創出です。マッケナ氏は、加速的に新規性を創出している近代科学や技術分野に、彼の世界観に対する証拠を見出しました。」
McKenna acknowledged that novel events–from the Black Plague and Nazi Germany to thermonuclear weapons—can produce enormous devastation and suffering, at least in the short term. But out of destruction new possibilities emerge.
「マッケナ氏は、ペストやナチス・ドイツから熱核反応兵器に至る、新規性イベントが、少なくとも短期的に、甚大な荒廃と苦難をもたらすことを認識していました。しかし、破壊の中から新たな可能性が誕生します。」
ヨーゼフ・シュンペーターの創造的破壊がまさにそれで、経済の足を引っ張る過去の遺物(特権階級)を破壊しなくては、新しいものはまず生まれません。未曾有の悲劇の後に、人類は大きく飛躍しているので、トランプ氏が未曾有の悲劇(人類最大の破壊)を引き起こして、新しい創造が起きると言っているのかもしれません。しかし、我々がその新しい創造を見ることはありません。何故なら我々もその破壊の一部だからです。
McKenna’s theology, which values drama and excitement over peace and harmony, resembles an idea floated by physicist Freeman Dyson in his 1988 book Infinite In All Directions. Pondering why life is so difficult, Dyson suggested that reality might be ruled by “the principle of maximum diversity.”
「平和と調和よりもドラマと刺激を重視するマッケナ氏の神学は、物理学者フリーマン・ダイソン氏の1988年の著書、多様化世界の中で提案された考えに似ています。何故そんなに生き難いかを熟考することで、ダイソン氏は、現実は、最大多様性の原理によって支配されている可能性がある事を示唆しました。」
This principle operates at both the physical and the mental level. It says that the laws of nature and the initial conditions are such as to make the universe as interesting as possible. As a result, life is possible but not too easy. Always when things are dull, something turns up to challenge us and to stop us from settling into a rut. Examples of things which made life difficult are all around us: comet impacts, ice ages, weapons, plagues, nuclear fission, computers, sex, sin, and death. Not all challenges can be overcome, and so we have tragedy. Maximum diversity often leads to maximum stress. In the end we survive, but only by the skin of our teeth.
「この原理は、肉体的精神的レベルの両方に作用しています。それは、自然の法則と初期条件が、宇宙を可能な限り興味深くしているものと言っています。結果として、生命を可能にしていますが、そんなに簡単ではありません。退屈な時は決まって我々の意欲をかき立ててマンネリ化を防ぐ何かがやって来ます。人生を難しくしている物事の例は、我々の周りに蔓延しています。それは、彗星衝突、氷河期、兵器、疫病、核分裂、コンピュータ等、枚挙に暇がありません。全てのチャレンジが克服可能ではないので、我々は、悲劇を経験します。最大多様性は、しばしば、最大ストレスをもたらします。最終的に我々は生き残っていますが、ほんの紙一重のところでです。」
人間は誰でもストレスを極力感じること無く、のほほんと自由に気楽に簡単に生きていきたいと考えています。池のカモのように、あるいは、生活保護受給者のように働くこと無く、人間が提供してくれる食料を食べてのんびり生きていけたとしたら、それは大変幸せな事です。現実は人間は働いて金を稼がないと生きて行けず、胃に穴を開けながらボロボロになるまで働き、細やかな幸せにしがみついて生きています。ほとんどの人間が、下を見て、俺は少なくともあいつよりはましだと自分に言い聞かせながら、ちっぽけでつまらない人生を満喫している本当に下らない生き物だと痛感させられるといった意見を度々ネット上で見かけますが、賢い人間が科学を進歩させてくれているので、常に目新しい技術を拝め、生活は楽になり、好奇心を刺激する新発見を拝読する度にワクワクさせられます。
But let’s get real. I recently derided ideas like this, which place humans at the center of things, as neo-geocentrism. And the idea that God gave us Trump to shake things up is, well, it’s like something Trump might say. No, God didn’t create this mess, we did, all by ourselves, and only we can fix it.
「でも、現実に目を向けましょう。私は、最近、新地球中心主義として、人間を物事の中心に置くこのような考えを馬鹿にしていました。そして、神が、我々を目覚めさせるために、トランプを与えたという考えは、なるほど、トランプが言いそうな事かもしれません。いいえ、神はこのゴタゴタは作り出してはいないし、我々が全て自分達で作り出したので、我々だけが、それを元の状態に戻すことができます。」
neo-geocentrism = ネオ天動説(新地球中心説)
トランプ大統領誕生をmess(混乱)と言っていますが、アメリカ社会を見たら、今がカオス状態で、トランプ氏はそれを元のアメリカに戻すために大統領として選ばれたと言っている人もいます。新天動説はトランプ氏を熱狂的に支持した福音主義者の事を揶揄していて、こういったリベラルアカデミアのクリスチャンや他のトランプ支持者を馬鹿にした(見下した)態度が、トランプ大統領を生み出した原因の一つになっているという事に気付くべきです。保守派キリスト教徒が、行き過ぎた新自由主義にノーを突き付け、バーニー・サンダース支持者達が、クリントン氏にnot liberal enoughという理由でノーを突き付けた、保守派とリベラルの逆ベクトルのイデオロギーシナジーによってトランプ大統領は誕生しました。
トランプ大統領が悪で、アメリカ社会に混乱を与えているというとち狂ったリベラル思考は置いておくとして、福音主義者の終末論者の中には、トランプ氏がこの世の終わりをもたらしてくれると信じている人もいますが、そんな事はまずないので、ないと思いますが、少なくともトランプ氏が悪でなければ、それはないはずです。ないと思いたいです。