半導体ナノネットワークが透明フレキシブルエレクトロニクスを可能に

研究者達は、今まで半導体材料にとって非常に実現し難い性質の組み合わせであった、卓越した電荷移動性、高い柔軟性、ほぼ100%の光透過性を同時に実現している、新しい2次元半導体ポリマー混合系ナノネットワーク材を作り出したことで、有機エレクトロニクスのスイートスポットを発見したかもしれません。研究者達によると、そのナノネットワークは、LEDと一体化している電界効果トランジスタの製造によって実証されているように、世界で最初の、真に無色で折り曲げられる半導体材料だということです。

Kwanghee Lee教授率いる研究者達は、その新材料に関する研究論文をProceedings of the National Academy of Sciences 誌に発表しています。

DPPT2T

Semiconducting nanonetwork could form the backbone of transparent, flexible electronics

今まで、優れた光透過性、高い電荷担体移動度、真の柔軟性を同時に併せ持った半導体材料は存在しませんでした。ZnO(酸化亜鉛)やIGZO (イグゾー)等の金属酸化物は、優れた透明度と高い移動度を持っていますが、脆く、高温(200℃より上)プロセスで処理されないと、低い移動度を示し、フレキシブル基板で加工するには好ましくありません。一般的な半導体ポリマーはフレキシブルではあるのですが、複雑な工程なしだと低い移動度を示し、それらの高い光吸収係数のせいであまり透明度は高くありません。

新しいポリマーブレンドは、不活性ポリスチレンマトリックスに組み込まれたDPP2Tと呼ばれている、約15%の半導体ポリマーで構成されています。その二種のポリマーは均一には混合されてはいませんが、その代わりに、DPP2T は不活性マトリックスを介してクモの巣状のナノネットワークを形成し、急速電荷輸送のための高秩序な連続的に結合した電荷経路を作り出しています。これまで透明度は、半導体ポリマーにおいては、それらの本質的に高い可視域での光吸収のために実現するのが特に困難でした。DPP2T は光吸収ピークが近赤外領域へ赤方偏移している、最新クラスの半導体ポリマーに属しているおかげで、可視域での光吸収がはるかに少なく、より高い光透過性を持つに至っています。

しかし、DPPT2Tだけだと緑がかった色合いをしています。DPPT2Tをポリスチレンマトリックスと混ぜ合わせることで初めて、研究者達は、可視域全域にわたってほぼ完全に透明な材料を作り出すことができました。

ポリマーブレンド

最終的な分析で、研究者達は、ポリマーブレンド中の各材料が、それ自身では全3つの求められる性質を実現することができず、混ぜ合わせた時だけ可能な事を証明しました。

実証目的で、研究者は、無色で折り曲げ可能な発光ダイオード上に、無色で折り曲げ可能な電界効果トランジスタの試作品を成形加工しました。その素子は、深刻な性能劣化をもたらすことなく、1000回の曲げサイクルに持ちこたえることができました。

ナノネットワーク半導体

ナノネットワーク半導体はとても簡単に作れ、溶液処理可能で、熱処理や他の複雑な処理が必要ありません。それは、次世代透明可変電子アプリ用の、非常に優れた特性を同時に実現しています。ナノネットワーク半導体の適用性は、試作FET/OLED集積素子の製造ドライブによって証明されています。論文の中で、研究者は、半導体ポリマーにおける容易な電荷輸送を実現するための新しいパラダイムを示し、その事が、ポリマーの結晶化度というよりはむしろ、ポリマー骨格沿いのクリアな電荷経路の重要性を強調しています。

研究者は、今回の研究成果が、次世代シースルーの屈曲可能なエレクトロニクスや皮膚に取付可能な医療機器などの多種多様なアプリの開発に道を開いてくれるはずです。

研究者達は現在、各種実験ツールとモデリングを使って、ナノネットワーク半導体の興味深い電荷輸送メカニズムを研究中です。加えて、彼等は、このナノネットワーク半導体を変形可能な透明エレクトロニクス用のプラットフォーム技術にすべく、さまざまな電子アプリケーションに対して適用しています。