ダブルダイヤモンド構造の光バンドギャップ材料製光トランジスタ

ペンシルベニア大学工学・応用科学部化学・生物分子工学科教授、ジョン・クロッカー氏が院生だった時、彼のアドバイザーは、その分野の新しい難題に挑戦状を叩き付けるために、彼の研究室の全員を招集しました。誰かが、もし、ダイヤモンド構造の炭素原子と同じ構造を持つコロイド結晶を成長できれば、フォトニクスに革命を起こせる特殊な光学的性質を持つ事になるだろうと予測しました。光バンドギャップ物質、あるいは、PBMと呼ばれているこの種の物質においては、光は、電子が半導体内を動く仕組みと数学的に似たような振る舞いをします。

光トランジスタ

Penn engineers overcome a hurdle in growing a revolutionary optical metamaterial

”その技術的意味合いは、そういった物質は、特定の場所に光を閉じ込めることが可能で、光の超小型回路、より高効率のLED、レーザーの構築を可能にする、光のトランジスタの製造を可能にさせるということです。”と、クロッカー教授は言いました。

その時点で、クロッカー氏は自身の研究課題を追い、PBM研究を他者に委ねました。

20年後、クロッカー氏自身の院生が、別の課題に取り組んでいる最中に、思いがけずこの作成困難なダイヤモンド構造を作り出しています。この事が、粒子を自己集合に誘導するための渇望されているものである、PBM実現への道に彼等を導いてくれると、クロッカー氏は語る。

“It’s a classic story of serendipity in scientific discovery. You can’t anticipate these things. You just get lucky sometimes and something amazing comes out.”

”それは、偶然の科学的発見のよくある話です。こういった事は全くの想定外です。人は時たま超ラッキーで、何か予期せぬ幸運な事が起こったりするものです。”

本研究はクロッカー教授、ワン氏、ハーバード大学工学応用科学部タリド・シノ教授、院生イアン・ジェンキンス氏が主導し、Nature Communications誌に掲載されています。

光バンドギャップ材料

PBMになるには、物質は、原子スケールだけでなく、光波長の長さスケールでも結晶様構造を有する必要があります。”言い換えれば、ある透明材をある特定の対称性を持つ球形アレイに形を変えるかアレンジする必要があり、その球か孔は、数百nm規模である必要があります。”

1990年代に遡ると、科学者達は、半導体結晶が成長されるやり方と似ている、コロイド結晶を使って球形をアレンジして、必要な構造を成長させるためのさまざまな実行性のある方法が存在すると考えていた、とクロッカー氏は語った。こういったコロイド球は、自発的に自身をさまざまな結晶格子にアレンジすることができます。

オパールはこの自然の一例です。それらは、地下水中のシリカが、地下で結晶化した後で、固体に化石化する、微視的な球状を形成する時に作り出されています。

オパールは、PBMになるために必要な適切な対称性を持ってはいないのですが、彼等の玉虫色の外見は、それらの光の波長に相当する規模の周期的な結晶構造に起因しています。

PBMを形成するための最終ゴールは、透明な微視的球をダイヤモンド格子の炭素原子の原子配列を模倣した3次元パターンに配列することです。この構造は、他の結晶とは違い、光が普通に振る舞う他の結晶特有の対称方向に欠けているので、ダイヤモンド構造が、PBM効果を維持するのを可能にしています。科学者達は、自分達が、PBMを作るために種々の材料を使って異なる構造を持つ合成オパールを作り出せると考えましたが、この事が、彼等が考えていた以上に困難である事が分かり、20年経っても、それは未だに達成されていません。

こういったダイヤモンド格子を遂に作り出すのに、ペンシルベニア大学の研究者達は、2種類の若干大きさの違うDNAで覆われたmicrospheres(マイクロスフェア)を用いました。

二重ダイヤモンド構造

”これらは、適度な温度で培養されると、DNAが粒子間に橋を形成することにより、自発的にコロイド結晶を形成します。”と、クロッカー氏は語る。”一定の条件の下で、その結晶は、2つの互いに貫通し合うダイヤモンド格子である、二重ダイヤモンド構造を持ち、各々が、1つのサイズ、あるいは、粒子の特色によって作り上げられています。”

彼等は、その後、こういった結晶を、固体になるように交差結合しています。

クロッカー氏は、今回の偉業を幸運と言っています。研究者達は、このダイヤモンド構造を作るつもりは毛頭ありませんでした。彼等は、混ぜて後は天任せの実験をしていました。ワン氏は、parameter space(パラメータ空間)を調査するために5種類の材料を調合していました。今日まで、この事が11種類の結晶を産み出し、うち1つが二重ダイヤ構造だった訳です。

”たいてい、何か予期せぬ事が起きると、その事が、新たな技術的アプローチへの扉をこじ開けてくれます。”と、Sinno教授は語った。”世の中には、古臭い陳腐な教科書的物理学とは根本的に対称的な、全く新しい物理学が存在している可能性があるのです。”

今や彼等が、PBMを作り出すための道に立ちはだかる重大な障害を取り除いているので、研究者達は、high index particles(高屈折率粒子)用に、その材料を切り替える方法と、それらをコロイド状ミクロスフェアの1つの自己集合性ダイヤモンド格子にするために、別の格子を選択的に取り除く方法を考え出す必要があります。

high index particlesは、恐らく、high refractive index particleの略だと思われます。

高屈折率材料

もし、PBMをうまく作り出せれば、その物質は、光にとっての半導体のようなもので、どんな天然素材中にも存在しない異常な光学的性質を持つことになります。通常の透過材は、1.3から2.5の屈折率を持っています。こういったPBMは、非常に高い屈折率、事によると、光を逆方向に屈折させる、マイナスの屈折率さえ持つことができるのです。

そういった材料は、より高性能のレンズ、カメラ、顕微鏡を作るのに利用でき、さらに、中心コンパートメント周りの全光線の方向性変えることで、そこにある物体を不可視化させる固体である、透明マントさえも作り出せる可能性があります。

研究者達は、これを実験的に何十回も再現させていますが、研究者達は、シミュレーションを使ってこの研究結果を再現させることができないでいます。それだけが、ワン氏が作り出した11種類の結晶の中で、シミュレーションで複製することができません。

シミュレーションで再現できない

“This is the one structure we’ve found so far that we can’t explain which is probably not unrelated to the fact that nobody predicted that you could form it with this system,” Sinno said. “There are several other papers we have had in the past that really show how powerful our approaches are in explaining everything. In a way, the fact that none of this worked adds evidence that something fundamentally different is taking place here.”

”これが、私達がこれまでに発見した、私達が説明できない1つの構造で、恐らく、この系でそれを作り出せるとは誰も予想していなかった事実と無関係とは言えないでしょう。過去のいくつかの論文が存在し、このことが何一つうまくいかなかったという事実が全てを説明してくれていて、我々のアプローチがいかにパワフルかを見事に証明し、何か根本的に違うことが、ここで起こっていることの証拠を付け加えています。

The researchers currently think that a different, unknown crystal grows and then transforms into the double diamond crystals, but this idea has proven difficult to confirm.

研究者達は、現在、別の未知の結晶を成長させた後で、二重ダイヤモンド構造に変換させることを考え中ですが、このアイデアは、裏付けが困難である事が証明されています。

”人は何かを理解した時に論文を書くものなので、我々はジレンマを持ちました。通常、私たちは、研究対象を見つけると、シミュレーションを行ってから、全て辻褄が合うと、その結果を詳細に書き上げます。今回の場合、我々は、全てを三重にチェックしなければならず、それから、これがエキサイティングな発見であると言うための判定を下し、我々より勝った人々もこの事に取り組んで考えてくれることで、我々がこの謎を解くのを助けることができます。

実験では再現できても、シミュレーションできないというのは確かに謎ですが、シミュはできても実験では再現できないより全然マシなので、何も問題がないようにも思えます。