歯周炎として知られているかなり重度の歯肉疾患が、Ⅱ型糖尿病の初期徴候の可能性があることが、BMJ Open Diabetes Research & Care誌でオンライン掲載された研究が明かしています。重症歯肉疾患の治療目的で歯科医を訪れた患者をスクリーニングする事は、長年の糖尿病関連合併症の試験・回避のために、実現可能で価値があると研究者達が提案しています。
歯周病と糖尿病の関係
Severe gum disease may be early sign of undiagnosed diabetes
彼等の発見は、大学付属歯科医院に通う313人の大部分が中高年の人達を対象にしています。109人は歯肉病がなく、126人は軽度から中程度の歯肉疾患を有し、78人が重度で、歯の支持組織に影響を及ぼしていました。重症歯肉病を患う人々は肥満傾向にあり、平均BMIは27以上ありました。しかし、高血圧、高コレステロール値を含む他の糖尿病危険因子は、3グループ全てで似通っていました。また、軽度から中程度の歯周病を患う人々は、歯肉疾患を全く持たない人達や重度の歯周病を患う人々に比べ、より多くの糖尿病を患う親類を持っていました。
歯周病なしの人達の3%未満だけが既にⅡ型糖尿病と診断され、軽度から中程度の歯肉疾患を持つ人々の4%、重度歯肉炎を患うほぼ8%の人々が、2型糖尿病と診断されています。
HbA1C値
HbA1C values, which measure the average level of blood sugar in the body over the past 2-3 months, were obtained by analysing dried blood spots, which had been sampled from each of the study participants, using a finger pin-prick test.
過去2~3ヶ月に渡る体内の平均血糖値を測定するHbA1C値は、フィンガーピンプリックテスト(指ピン刺し検査、指ピン痛覚検査)を利用して、各調査参加者達からサンプル化された乾血スポットを分析することで得られました。39-47 mmol/lのHbA1C値は、pre-diabetes(前糖尿病状態)を示唆し、一方、それを越える値は、糖尿病であることを示唆しています。
乾血スポットの分析が、HbA1C値は、最重症型歯周病患者で最も高い事を示しました。
軽度から中程度が43 mmol/l (6.1%)、歯周病なしが39 mmol/l (5.7%)と比べて、彼等の平均HbA1C値は45 mmol/l (6.3%)でした。糖尿病が疑われた人々(それぞれ23%と14%)と前糖尿病状態 (それぞれ47%と46%)は、重度と軽度から中程度歯周病患者の間で顕著でした。
歯周病なしの人達は、37%が糖尿病前症の一方で、10%が糖尿病を疑われました。かなり高めの数字ですが、2型糖尿病の診断に広く使われている閾値の7%ではなく、より低目の6.5%が使われていることで説明がつくかもしれません。過去に糖尿病の診断未確定ケースが、3グループ全てに見られました。歯周病なしの人達がが8.5%で、軽度から中程度歯周病患者がちょうど10%未満で、重症型歯周病を患う人々は、ほぼ5人に1人(18%)でした。
This is an observational study so no firm conclusions can be drawn about cause and effect, but the researchers nevertheless say: “This confirms the assumption that severe periodontitis could be an early sign of undiagnosed diabetes.”
これは、観察研究なので、因果関係については確固たる結論は下せませんが、それにもかかわらず、研究者達は、”この事が、重症型歯周炎が診断未確定の糖尿病の初期サインである可能性があるという仮定を裏付けている”と言い切っています。
彼等は、最も重症型の歯肉疾患を患う人々に焦点を当てることで、歯医者で未診断糖尿病をスクリーンするのは実現可能であると示唆しています。
Picking up diabetes and pre-diabetes early is essential if its associated complications are to be avoided, they add. “The early diagnosis and intervention of (pre) diabetes prevent the common micro vascular and macro vascular complications and are cost effective,” they write.
糖尿病と前糖尿病を早期に捕捉することは、もし付随する合併症が回避できるかどうか絶対不可欠ですと、彼等は付け加えています。”全糖尿病の早期診断と介入が、一般的な大小血管合併症を起こらないようにし、費用効率が高いです。”と、彼等は書いています。
40代以上の9割が歯周病を患い、糖尿病が国民病と言われている日本人には、確かに当てはまるかもしれません。重症歯肉疾患を抱える人は、糖尿病検査を受けた方がいいかもしれません。健康維持のためにも、何でも早期発見が大事で、それが公私共に医療費の節約にもなります。