バレートロニクス:ブロッホ-シーゲルトシフトと光シュタルクシフト

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MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者たちによって発見された、2次元結晶フィルムの新しい電子エネルギー準位調整法を利用した、高速でより効率の良いデータ保存とコンピュータ論理システムが、もうすぐ誕生するかもしれません。今回の発見は、最終的には、バレーとして知られている、2つの均等なエネルギー状態の周りに集まる電子の性質を利用する、所謂”バレートロニクス”デバイスの開発のための道を開いてくれる可能性があります。

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バレートロニクス

New way to tune electronic energy levels may lead to valleytronic devices

エンジニア達は、ここしばらくの間、人類が、電子の電荷をベースにしている、従来型の電子トランジスタ小型化の限界に近付きつつあることを警告しています。

結果として、研究者達は、データ保存とデータ処理の目的で、スピンとして知られている電子の特性の実用性を調査しています。そういった技術はスピントロニクスと言われています。

But as well as their charge and spin, electrons in materials also have another “degree of freedom,” known as the valley index. This is so-called because plotting the energy of electrons relative to their momentum results in a graph consisting of a curve with two valleys, which are populated by electrons as they move through a material.

しかし、それらの電荷とスピン以外に、物質中の電子は、バレー指標として知られる、もうひとつの自由度を持っています。これは、それらの運動量に対する電子のエネルギーを座標で示すと、それらが物質中を移動する間、電子によって占有される2つのバレーを持った曲線から成るグラフが出来上がることからそう言われています。

この自由度を利用することで、2つのバレーを選択的に電子で埋めていくことで、一部の物質において、情報を記憶・処理することを可能にする可能性があります。

However, developing such valleytronic devices requires a system to selectively control the electrons within the two valleys, which has so far proven very difficult to achieve.

しかし、そういったバレートロニクスデバイスを開発することは、2つのバレー中の電子を選択的に制御するためのシステムが要求されていて、それは、今までのところ、実現するのが非常に困難であることが分かっています。

Now, in a paper published today in the journal Science, researchers led by Nuh Gedik, an associate professor of physics at MIT, describe a new way of using laser light to control the electrons in both valleys independently, within atomically thin crystals of tungsten disulfide.

しかしながら、今日Science誌に掲載された研究論文の中で、MIT物理学部ヌフ・ゲディック准教授を中心とした研究者達は、原子レベルで薄い二硫化タングステンの結晶内部で、両方のバレー中の電子を独立的に制御するためにレーザー光を使う新しい方法を説明しています。

”その二つのバレーは全く同じエネルギー準位で、その事は、アプリケーションにとっては必ずしも最良な事とは言えず、何故なら、電子が高エネルギー状態から低エネルギー状態へ移行するように、若干エネルギーを変えるためにそれらを調整できるようにしたいからです。”

この事は、磁場を印加することで達成可能なのですが、10テスラの磁力を持った非常に強力な研究室用磁石でさえも、約2meVしかバレーエネルギー準位をシフトする事ができません。

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光シュタルク効果

The researchers have previously shown that by directing an ultrafast laser pulse, tuned to a frequency very slightly below the resonance of the material, they were able to shift the energy of one of the valleys through an effect called the “optical Stark effect,” while leaving the other valley virtually unchanged. In this way they were able to achieve a shift in energy level of up to 20 meV.

研究者達は、材料の共振周波数よりほんの僅か低い周波数に調整された、超高速レーザーパルスを照射することで、彼らが、2つのバレーのうちの1つのエネルギーを、光シュタルク効果と呼ばれている効果を介して、もう1つのバレーを事実上変化させる事なく、シフトすることができることを過去に証明しています。このような方法を使うことで、彼らは、最大で20 meVのエネルギー準位におけるシフトを実現することに成功しています。

”材料内部の光と電子は、エネルギー準位をプッシュするための手助けをすることができる一種のハイブリッド状態を形成します。”と、ゲディック氏は言っています。

最新の実験において、研究者達は、レーザー周波数を、共振周波数よりもさらにもっと低く調整し、強度を増すことによって、彼らが、両方のバレーのエネルギー準位を同時にシフトできることを発見し、非常に珍しい物理現象を白日の下に晒しています。

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ブロッホ-シーゲルトシフト

While one valley still shifts as a result of the optical Stark shift as before, the other valley shifts through a different mechanism, known as the “Bloch-Siegert shift,” according to MIT physics PhD student Edbert Jarvis Sie, the paper’s lead author.

本研究論文の筆頭著者である、マサチューセッツ工科大学(MIT)物理学部博士課程学生エドバート・ジャービス・ジー氏によると、1つのバレーは、依然として、従来のように、光シュタルク効果の結果としてシフトしているのですが、もう一方のバレーは、ブロッホ-シーゲルトシフトとして知られている、異なるメカニズムを介してシフトしています。

Although the Bloch-Siegert shift was first predicted in 1940, and soon after helped inspire Willis Lamb to his 1955 Nobel Prize-winning discovery of the Lamb shift in hydrogen atoms, it has remained a considerable challenge to observe it experimentally in solids.

ブロッホ-シーゲルトシフトは、1940年に初めて予測され、その後間もなくして、ウィリス・ラム氏が、彼の1955年ノーベル賞受賞発見である、水素原子におけるラムシフトを思い付く手助けをしましたが、固体でそれを実験的に観測する事は、相当困難であり続けています。

実際のところ、所謂人工原子は別として、その新しいメカニズムは、結果として生じるシフトがあまりにも小さ過ぎるために、固体においては、今まで一度も観測されたことはありませんでした、とジー氏は言っています。ゲディックラボで行われた実験は、過去に観測されたものよりも1000倍巨大な、10meVのブロッホ-シーゲルトシフトを生み出しています。

さらに重要なのは、その二つの効果、ブロッホ-シーゲルトシフトと光シュタルクシフトが、過去においては、同じ光学遷移で起こる傾向にあり、研究者達が、その二つのメカニズムのもつれを解くことを難しいものにしていました、とジー氏は言いました。

“In our work we can disentangle the two mechanisms very naturally, because while one valley exhibits the optical Stark shift, the other valley exhibits the Bloch-Siegert shift,” Sie says. “This can work so nicely in this material because the two mechanisms have a similar relationship with the two valleys. They are related by what is called time-reversal symmetry.”

”研究の中で、我々は、1つのバレーが光シュタルクシフトを示す一方で、もう1つのバレーがブロッホ-シーゲルトシフトを示していたので、とても自然に、その二つのメカニズムのもつれをほどくことができています。この事は、その二つのメカニズムが、二つのバレーと似たような関係を持っていることから、この材料でうまく機能しています。それらは、いわゆる、時間反転対称性と呼ばれているものによって関係付けられています。”と、Sie氏は言いました。

この事が、2次元材料における、バレートロニクス特性のより一層のコントロールを可能にしてくれています、とNuh氏は言っています。”その事が、電子バレー調整における、より多くの自由度を与えてくれます。”と、氏は言っています。

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