トランプ大統領の突然の豹変の背後には、氏が最も渇望している、イスラエルとパレスチナ間の和平協定樹立があったらしいです。この和平交渉を担当しているのが、トランプ氏の愛娘イヴァンカさんの夫、氏の義理の息子に当たる、ジャレッド・クシュナー氏で、トランプ大統領は、クシュナー氏の顔を潰さないためにも、絶対にイスラエルとパレスチナ間の和平協定を樹立させる必要があるようです。今まで多くの大統領が失敗してきているだけに、この大偉業を達成することは、アメリカ大統領にとっては、最大のレガシーになると言われています。
パレスチナ問題
パレスチナ問題の解決には、二国共存しかないと言われていますが、それを達成するには、シリアとイランに親イスラエル政権を樹立するしかありません。つまり、両国の政権を転覆させる必要があるということです。トランプ政権は、既に、アサド政権の排除を決めています。シリアに親イスラエル政権を樹立させた後、しばらくして、イランでの政権転覆が始まるだろうと予想されています。当然、レバノンのテロ組織ヒズボラの壊滅も意味し、イランに親イスラエル政権が誕生した暁には、パレスチナのテロを支援する存在が消滅することになります。
シリアとイランの政権転覆・民主化とヒズボラ壊滅は、ネオコン達の悲願でもあり、このことに加えて、ウクライナからロシア軍を排除し、プーチン政権を崩壊させることが、ネオコンの最終目標だと言われています。トランプ大統領は、パレスチナ問題を解決するために、ネオコンと手を組んだと言われていますが、あくまでも噂の範疇なので、真偽の程は分かりません。
ロシアとの全面戦争の危険性
ネオコン達の言い分はこうです。ロシアと戦争になっても、全面核戦争にはならず、弱体化したロシア軍は、所詮は、圧倒的世界最強アメリカ軍の敵ではないので、戦争はプーチン政権の崩壊を以て、短期で終わるだろう、というもので、あまりにも楽観視し過ぎている感が強いですが、マケイン氏などは、ロシアはアメリカの敵ではないと言い切っています。もし、トランプ大統領が、こういったネオコン達の楽観論を真に受けて、ロシアとの全面対決を決心したとしたら、日本にとっては、国家存亡にかかわる、非常に重大な事態になるかもしれません。
まぁ、もちろん、ロシアとの全面戦争は有り得ないという意見が、今のところ、アメリカの世論なので、一応安心ではあります。ただ、シリアのアサド政権排除を決めた以上は、シリア領内からロシア軍を叩き出す必要があり、そこのところが気掛かりでもあり、かなり不安です。
イラク侵攻の二の舞い
ネオコン達は、シリアのアサド政権を打倒すれば、シリアは民主化されると、イラク侵攻前に言っていた事と全く同じことを言っています。イラクと違い、今度は、日本やドイツで行ったのと同じように、国家再建に一から関わると言っていて、イラクの二の舞いには絶対にならないと嘯いています。アメリカが支援している、Free Syrian Armyはイスラム穏健派で、かなり信用できるらしいので、シリアの民主化は可能なようですが、あまりにも胡散臭過ぎます。
リンジー・グラハム氏は、アサドを打倒すれば、ISISも自動消滅するみたいな言い方をしていますが、つまり、氏は、ISISはアサド政権が作り出した傭兵部隊なもので、アサド政権が崩壊すれば、後ろ盾を失って自然消滅するみたいに言っています。政府軍とロシア軍は、ISISを攻撃しないで、アメリカが支援するmoderate rebels(反政府軍穏健派)を攻撃していると、氏は訴えています。しかし、ISISとアサド政権を支援しているヒズボラが死闘を演じているのは確たる事実で(How complicated is Syria? Trump just helped ISIS)、アサド大統領が、ISISを支援しているということは、まず有り得ないでしょう。さらに、穏健派の政府反逆者がいるとは到底思えません。穏健な人間が、そもそも、政府に反逆するわけがないからです。
アメリカの話はデタラメ過ぎる
アメリカの言い分はあまりにもデタラメが多過ぎます。アサド政権に対する攻撃の前は、アメリカにとっての当面の最大の敵はISISだったのが、今では、シリア政府、イラン、ロシアに変わっています。ロシア軍機を撃墜しろ!という声まで聞こえ、かなりきな臭くなっています。さらに、トランプ大統領は、北朝鮮もさっさと攻撃すべきと言い出す輩まで出始めています。一部の識者達は、北朝鮮とシリアの指導者の住むパレスを爆撃しろと息巻いています。もっと酷いのは、アサド大統領はアメリカの敵ではないという意見に対し、アメリカの敵の、ロシアとイランに支援されているから敵だと言い、アサド大統領がISISを使ってアメリカでテロを行っているとか、とんども論を唱える人達さえいます。トランプ政権は、アサド政府軍による化学兵器使用にロシアが絡んでいると言い出し、さらに、イランも絡んでいる可能性があると言っている識者もいます。シリア、ロシア、イラン、北朝鮮との戦争は、避けられないのかもしれませんが、ネオコン曰く、束になってもアメリカの敵ではないとのことです。
トランプ大統領の真の目的は、パレスチナ問題の解決にあるのは確かかもしれません。トランプ大統領自身は、恐らく、ロシアとの戦争は考えていないと思われますが、今回も、ロシア軍に被害が出ないように、事前に攻撃目標と時間を伝えているらしいし、さらに、来週、国務長官のティラーソン氏がモスクワを訪問するので(Russia says Moscow visit by U.S.’ Tillerson scheduled for next week: Interfax)、シリアのアサド政権を支援するのを止めるように、ロシアのプーチン大統領を説得すると思われていて、非常に重要な役割を担っています。