超伝導キュービット(量子ビット)で作った量子マクスウェルの悪魔

先駆的な研究が、物理学における有名な思考実験である、Maxwell’s Demon (マクスウェルの悪魔) の心の内部の仕組みについて、非常に興味深い見解を提供しています。エクセター大学のDr Janet Anders(ジャネット・アンダース博士)を含む、国際的な研究チームは、超伝導回路を使って、その悪魔に命を吹き込んでいます。

スポンサーリンク

マクスウェルの悪魔

Physicists read Maxwell’s Demon’s mind

The demon, first proposed by James Clerk Maxwell in 1867, is a hypothetical being that can gain more useful energy from a thermodynamic system than one of the most fundamental laws of physics — the second law of thermodynamics — should allow.

1867年に、ジェイムズ・クラーク・マクスウェルが、最初に提唱したその悪魔は、最も基本的な物理法則の1つ、熱力学の第二法則が許容する以上の利用可能なエネルギーを、熱力学系から獲得できる仮説上の存在です。

重要なのは、本研究チームが、利得エネルギーを、初めて直に観測しただけではなく、マクスウェルの悪魔の記憶中に、情報が保存される仕組みを追跡探知していることです。

本研究は、著名な科学雑誌、Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)誌に掲載されています。

最初の思考実験は、150年前に、歴史上最も影響力の大きい科学者の1人である、数学物理学者のマクスウェルによって、初めて提議されています。

悪魔の働き

He hypothesised that gas particles in two adjacent boxes could be filtered by a ‘demon’ operating a tiny door, that allowed only fast energy particles to pass in one direction and low energy particles the opposite way.

マクスウェルは、2つの隣接する箱の中の気体粒子が、高速エネルギー粒子だけを一方向に通過させて、低エネルギー粒子を反対方向に通過させる、小さなドアを操作している悪魔によってフィルターにかけることができることを仮説立てています。

As a result, one box gains a higher average energy than the other, which creates a pressure difference. This non-equilibrium situation can be used to gain energy, not unlike the energy obtained when water stored behind a dam is released.

結果として、1つの箱は、他の箱よりも、大きな平均エネルギーを獲得して、圧力差を作り出します。この非平衡状態は、ダムに貯水された水を放出する時に得られるエネルギーと非常によく似たエネルギーを得るのに利用できます。

So although the gas was initially in equilibrium, the demon can create a non-equilibrium situation and extract energy, bypassing the second law of thermodynamics.

このようにして、気体は、当初、平衡状態にあるにもかかわらず、その悪魔は、非平衡状態を作り出して、熱力学の第2法則を無視して、エネルギーを抽出することが可能です。

パラドックスの解消

Dr Anders, a leading theoretical physicist from the University of Exeter’s physics department adds: “In the 1980s it was discovered that this is not the full story. The information about the particles’ properties remains stored in the memory of the demon. This information leads to an energetic cost which then reduces the demon’s energy gain to null, resolving the paradox.”

エクセター大学物理学部のトップ理論物理学者アンダース博士は、”1980年代に、この仮説には続きがあることが発見されました。粒子の性質に関する情報は、悪魔の記憶に保存され続けます。この情報は、その後、悪魔のエネルギー利得をゼロに減らす、エネルギー的なコストを作り出して、このパラドックスを解決しています。”と、付け加えています。

量子マクスウェルの悪魔

In this research, the team created a quantum Maxwell demon, manifested as a microwave cavity, that draws energy from a superconducting qubit. The team was able to fully map out the memory of the demon after its intervention, unveiling the stored information about the qubit state.

今回の研究の中で、研究チームは、超伝導キュービット(量子ビット)からエネルギーを引き出している、マイクロ波キャビティ(マイクロ波空洞)の形で、量子マクスウェルの悪魔を作り出しています。チームは、悪魔の介入後のメモリを、完璧・緻密にマップ化し、記憶されているキュービットの状態(量子ビット状態)に関する情報を暴露する事に成功しています。

Dr Anders adds: “The fact that the system behaves quantum mechanically means that the particle can have a high and low energy at the same time, not only either of these choices as considered by Maxwell.”

アンダーズ博士は、”その系が量子力学的に振る舞っているという事実が、粒子が、同時に高エネルギーと低エネルギーの状態にいることができ、マクスウェルが考えたような、こうした選択肢のうちのどちらかだけではない事を意味しています。”と、付言しています。

This ground-breaking experiment gives a fascinating peek into the interplay between quantum information and thermodynamics, and is an important step in the current development of a theory for nanoscale thermodynamic processes.

今回の革新的な実験は、量子情報と熱力学間の、非常に興味深い相互作用を垣間見、現在行われているナノ規模熱力学的過程の理論の構築において、重要な一歩になっています。

‘Observing a Quantum Maxwell demon at Work’ is published in PNAS.

「仕事中の量子マクスウェルの悪魔を観察」は、PNASに掲載されています。

スポンサーリンク

フォローする