非道徳的な行為を非道徳的な方法で罰することは道徳的な行為ではない

多くの人達は、自分のことを道徳的で正直者だと思っている一方で、最も善良だと思われる市民であっても、特定の状況下においては、平気で嘘をついたり、不正行為をに走ったり、盗みを働くことをも厭わなくなってしまうことが、Journal of Consumer Psychologyに掲載された新しい研究が明らかにしています。

ブラック企業には制裁を!

When brands tempt us to lie, cheat and steal

If consumers believe that a company is harmful in some way–to the environment or to people — then they feel justified participating in illegal activities, such as shoplifting, piracy or hacking, according to findings in the study.

消費者が、企業が、人や環境に何らかの害を与えていると思った場合、万引き、著作権侵害やハッキング等の違法行為が正当化されると感じていることを本研究結果が示しています。

ブラック企業に私的制裁を加えることが許されるのかという問題ですが、本来、国が率先してやるべきことを、国が放置し続けた場合、誰がその企業を罰するのかと言えば、それは消費者の仕事になるわけですが、違法行為ではなく、不買運動に訴えるべきです。違法行為に違法行為で対抗しても、それが正しいことにはならないからです。ブラック企業の製品やサービスは一切買わない使わないことが、ブラック企業を社会的に淘汰する唯一の方法です。

社会正義に立ち上がる

“People are much more willing to do something that risks their own integrity if they believe a company is unethical,” says Jeffrey Rotman, a professor in the business school at Deakin University in Australia. “And this desire to punish a harmful brand occurs even when the consumer has not personally had a bad experience with the company.”

”人というものは、自分が倫理にもとる企業だと思えば、自身の信用をリスクにさらすことでも平気でやれるようになります。”と、オーストラリアにあるディーキン大学経営学大学院教授のジェフリー・ロットマン氏は言います。”また、有害ブランドに天誅を加えるこの願望は、消費者がその企業と個人的に何の悪い経験をしていなくても湧き起こります。”

社会正義のために立ち上がるんでしょうけど、自分も非倫理的なことをやれば、ブラック企業のことは責められないわけで、結局は、同じ穴の狢になってしまいます。アメリカだと、地元の下院・上院議員の事務所に電話やメールをしまくるとか、メディアに圧力を加えたり、合法的な方法で、問題企業や問題人物に対処する傾向が強いように思えます。

米国の製薬会社が、自社製品の価格を不当に釣り上げた時、政治家が動きましたが、人の生死に関わる問題は、やはり政治が動かないとダメでしょう。政治家を動かせるのは有権者しかいないので、国民一人一人が声を上げることで、政治を動かすしかありません。

企業の自浄努力が要求されている

“There is growing distrust among the public of certain aspects of business and government, and these findings suggest that if people perceive these entities as harmful, they might feel justified in being unethical,” Rotman says. “My hope is that organizations will make it a priority to build a reputation that allows consumers and businesses to be on the same side.”

”一部の企業や政府に対する世間の不信が高まっている中で、これらの研究結果は、人が、企業や政府が有害だと思えば、自分も不道徳になることが正当化されると感じる可能性があることを示唆しています。私の願いは、企業が、消費者から信頼されるように、評判を築くことに全力を尽くすことです。”

企業は、自らの行いを正して、消費者の信頼を勝ち取る必要があり、消費者は、企業に自浄努力を促すために、経済的な圧力を掛ける必要があります。あるいは、政治的な圧力を加える必要もあります。企業や他者が悪いことをやっているからといって、自分までもが、そういう人間たちと同じレベルに成り下がってはいけません。世の中は損得だけではないし、損して得取れという諺がありますが、損をしてでも徳を取れと言いたいです。人生は、如何にお金を残したかではなく、どれだけ人を助けたかの方がはるかに大事なのは、映画シンドラーのリストを見れば一目瞭然です。全ての企業は、守銭奴になるのではなく、お金よりも人間が大事だということに気付くべきです。人を感動させる企業(人間)であってもらいたいものです。