周囲の人々を豊かにする人間が本当に豊かな人間である

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He is the rich man in whom the people are rich, and he is the poor man in whom the people are poor; and how to give access to the masterpieces of art and nature is the problem of civilisation. – Emerson

Ralph Waldo Emerson (ラルフ・ワルド・エマーソン)のこの名言は、人を豊かにする人間が、本当に豊かな人間であるということを言っています。in whom the people are rich = the people are rich in himで、人々はその人にあって豊かだ、つまり、人々を豊かにする人が豊かな人間と言っています。逆に、人々を貧しくする人間は貧しい人間だと言っています。

nothing worth doing ever isはどういう意味なのか?
But nothing worth doing ever is.は、中学生レベルの英単語の羅列ですが、瞬間的には訳せませんでした。何度か読み直して、やっと意味が分かったのですが、こういう英文は、丸ごと暗記してしまうのが一番です。そうすれば、Nothing worth fighting for ever is.のような英文にも即対応できます。下記のニュース記事の中に、問題の英文が出てきました。
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これは物質論ではなく精神論を唱えています。周囲の人々を搾取しまくって巨万の富を築くことの愚かさを諭してくれています。そして、いかにして、経済力に関係なく、全ての人々に平等に、人や自然の最高傑作に接する機会を与えるかが、現代社会が抱える問題だと訴えています。珠玉の芸術作品は、人の創作意欲を掻き立てることができるし、美しい自然の風景は、芸術的感性を鼓舞することができます。しかしながら、そういった、人々を感動させてくれる物に接するには、経済的な余裕が無いとできません。例えば、高価な天体望遠鏡が買えなければ、星の観察はできないように。

エマーソンの時代は、War of 1812が終わり、アメリカの成長期にあって、貧富の差、つまり、持つ者と持たざる者の差が拡大していました。持たざる者の中には奴隷が含まれる時代でもありました。エマーソン氏は、金持ちには周囲の人々を豊かにするという義務があり、富を蓄積して周りに撒かない人間は、精神的貧困者であると糾弾しています。周囲が貧困化していく過程で、1人だけが富を蓄積していけば、それは成功とは言わず、搾取と言うべきで、本来なら、そういう人間は、社会全体から徹底的に糾弾されるべきなのです。社会的成功の尺度は、個人の財ではなく、その人間を取り巻く人々の豊かさで測られるべきなのです。例えば、社長だけが非常に豊かで、社員が貧乏な会社は、社長が社員を搾取していると言え、その社長は、物質的には豊かであっても精神的には貧しい可哀想な人間だということです。

ソクラテスの名言:he is idle who might be better employed
He is not only idle who does nothing, but he is idle who might be better employed. Socrates このソクラテスの名言はどう訳すべきなのか?彼は、単に何もしない怠け者というだけではなく、働いた方がいい怠け者であると訳す人もいるかもしれませんが、実際の訳は、何もしない人間だけが怠惰なのではなく、向上心のない人間も怠惰であるとなります。

経済が悪化するのは、一部の人間達が金を溜め込みすぎるからで、それは、金という血液の循環が阻害されることにより、周囲の細胞が破壊されることに似ています。政府・中央銀行の役目は、血液の流れを阻害している血栓を取り除くことで、輸血することではありません。つまり、富の強制再配分が必要だということです。お金の生きた使い方を知らない強欲な守銭奴に代わって、政府が、生きたお金の使い方をすることが本来あるべき姿だったのですが、今は、その真逆に、貧しい人々から強制的に徴収したお金を、一部の貪欲な人間たちにばら撒くという、全くの本末転倒なことをしています。

かつての日本は、物質的には非常に貧しかったのですが、精神的には非常に豊かでした。そのことが、日本を短期間の内に世界第二位の経済大国に押し上げたのだと思っています。しかし、現在は、日本の富裕層の多くは、物質的には世界屈指の豊かさを謳歌していますが、精神的には貧困の極地にあると言えます。人類の過去において、この精神的貧困が招いた数多の悲劇を再び繰り返さないためにも、我々は決してそのことを忘れてはいけないのです。

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