人は逆境に耐えなければ成功の果実を手に入れることはできない

He that can heroically endure adversity will bear prosperity with equal greatness of soul; for the mind that cannot be dejected by the former is not likely to be transported by the latter.

逆境に耐え抜くことができる人は、強靭な精神に見合う成功を手にするが、逆境に打ちひしがれる者は成功の喜びに浸るのは難しい。

上記の英文は、picaresque novel(ピカレスク小説)Tom Jones(トム・ジョーンズ)で有名な、英国の劇作家で小説家のHenry Fielding (ヘンリー・フィールディング) の名言であるが、文中のformer(前者)はadversity(逆境)のことを指し、latter(後者)はprosperity(繁栄・成功)を指している。

transported byは、~によって運ばれる、連れて行かれる以外にも ~に夢中(有頂天)になる、うっとりするや歓喜するといった意味も有している。上記の場合は、直訳すれば、成功で我を忘れそうにないという意味合いになるが、成功の喜びを得るのは難しいといった程度に訳すのが無難だろう。オンライン版ロングマン現代英英辞典によると、transportを含むイディオムに以下のようなものがある。

in a transport of = in transports of = ~で我を忘れる, ~でいっぱいである

be in a transport of delight / joy = うれしさに我を忘れている, 喜びでいっぱいである

be transported with delight / joy = うれしくて我を忘れている, 喜びでいっぱいである

for the mindのmindは、greatness of soulのsoulに相反関係にある。つまり、逆境に耐えられる強靭な精神が成功を呼び込むのに対して、逆境に耐えられない弱い精神では成功しないということである。

昔、『何故か笑助』という漫画に、僻地に転勤させられた元エリートが、「逆境を経験した人間だけが人に優しくなれる」みたいな事を言っていたのが思い出されるが、これは、逆境を経験した全ての人間が他者に対して優しくなれるというわけではなく、逆境を経験しなければ人には優しくなれないと言っている。世の中には自分が遭った辛い思いを、他人にも経験させたいというサディスティックな人間も存在するからだ。

辛い運動は人の筋肉を強化し、辛い経験は人の精神を強化する。しかし、あまりにも過酷な運動が筋肉を破壊するのと一緒で、あまりにも過酷な経験は人の精神を破壊する。従って、どこまでの逆境が許容範囲なのかは、人によって変わってくるが、考慮されなければならない。例えば、子供の貧困は子供の心に一生消えない傷を残すと言われているように、若過ぎる頃の苦労は問題があるということになる。

逆境に耐えられる強靭な精神力があれば、人生で成功するのは当たり前と言えるが、成功の尺度も問題になってくる。この場合、平凡に生きられれば人生成功と言えるだろう。平凡な生活とは、仕事を持ち結婚して子供がいて、庭付き車庫付き一戸建てに住んで、年数回家族で海外旅行を楽しむことで、金融資産を億単位で保有することだけが成功とは限らない。今の日本は平凡に生きるのも難しくなっている。

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