道路沿いに家を建てる人間は衆人環視の下にいるのも同然だ

He that builds by the wayside has many masters.

直訳すれば、道路沿いに何かを建てる人間は多くの教師を持つであるが、この格言の趣旨は、目立つところに家やビルなどを建てたり、何か目立つことをしたり、人目を引きやすい物事は、周囲からいらぬ関心を集めて、人々からあれやこれやと言われるものだということを言っている。この名言にはさまざまなバリエーションがあり、教師の部分が、批評家、鑑定士、監視者、忠告者に変わっている。

He who builds by the roadside has many masters.

He who builds by the wayside has many masters,

He who builds along the road has many masters.

He that builds by the wayside has many advisers.

Whoever builds along the road has many masters.

He who builds by the wayside will have many critics.

The man who builds by the wayside has many judges,

He who builds by the road has many surveyors.

He who builds by the wayside will have many critics.

He who builds on the roadside has many critics.

街道沿いに建っている家があって、そこから植物の枝が歩道にはみ出せば、通行人から苦情を入れられる可能性もあるし、常に通行人の目を気にする必要があるだろう。さらに、車は煩いし、大型車が通る度に家が揺れるだろうし、排気ガスや道路の粉塵は身体に悪いし、交通事故の危険もあるし、治安的にもかなりの問題がある。街道沿いに住むことは、交通の便が良い以外には何のメリットもないと言えるだろう。高層マンション住まいなら、道路沿いに住んでも、周囲を気にせずに済むだろう。

Martin Luther(マルチン・ルター)がこのドイツの格言を使っているので引用しておく。

I know quite well how much skill, hard work, sense and brains are needed for a good translation. They know it even less than the miller’s donkey, for they have never tried it. It is said, “He who builds along the road has many masters.” That is how it is with me also. Those who have never been able to speak properly (to say nothing of translating) have all at once become my masters and I must be their pupil. If I were to have asked them how to turn into German the first two words of Matthew, Liber Generationis, not one of them would have been able to say Quack! And now they judge my whole work!

Martin Luther and the “Papal Asses”

私は、どのくらいのスキル、労力、判断力、知力が、良質の翻訳のために必要とされるのかをよく理解しています。彼らは、そのことを、粉屋のロバよりも知りません。何故なら、彼らは、一度も翻訳などしたことがないからです。”人目を引くことをするとうるさいのが寄ってくる”と言われているが、それがまさに今の私のことでもある。(翻訳は言うまでもなく)まともに話すことさえままならない連中が、いっせいに私の先生になり、私は彼らの生徒であることを求められる。もし、私が、彼らに、マタイによる福音書の最初の二文字、Liber Generationisをドイツ語に訳すよう尋ねたとしても、1人としてクワーと言うことさえできなかったことだろう。今や、そんな彼らが、私の全翻訳を審査している!

この文脈、ラテン語の聖書をドイツ語に訳したことで、周囲の目を引いたルターが、自称ラテン語とドイツ語の専門家かつ翻訳のプロ達から、自身の翻訳に対しあれこれ難癖をつけられたことに対する怒りをぶちまけていることを鑑みた場合、上記のような訳がいいかもしれない。

Liber Generationisはラテン語で、The genealogy of Jesus Christ(イエス・キリストの系図)を意味する。

say Quackのくだりは、難しすぎて何の(クワという)言葉も出ないということを言っている。アヒルの鳴き声がクワックワッなのか、グワッグワッなのか、ガーガーなのかは分からないが、少なくとも、あのねのねの歌の中では、カエルもアヒルもガーガーガーと言っている。ぐうの音も出ないと思えば良い。

確かに英文和訳は難しい。プロでも誤訳をするのに、ド素人がしないわけがない。しかし、ド素人がプロにドヤ顔で教師面するのもどうかとは思う。人の翻訳を批評するなら、それなりの資格が必要だろうということを、1530年に書かれたルターの“Open Letter on Translation” (Sendbrief vom Dolmetschen)が声高に訴えてくれている。自分が絶対に正しいと思うなよっていうことである。

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