ミトコンドリアCa2+単輸送体の活性酸素種センシング

ミトコンドリア、細胞のエネルギー発電所は、酸化ストレスと細胞内カルシウム調節の場でもあります。この2つの機能は、機構的に結び付いているのではないかと疑われていて、テンプル大学ルイス・カッツ医学部の新しい研究が、共通接続を使って、ミトコンドリアCa2+単輸送体(MCU)として知られている蛋白質複合体を軸とする仕組みを正確に明らかにしています。

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ミトコンドリアCa2+単輸送体

Temple team: Moonlighting function for mitochondrial-calcium influx machinery MCU complex

“MCU had been known for its part in driving mitochondrial calcium uptake for cellular energy production, which protects cells from bioenergetic crisis, and for its role in eliciting calcium overload-induced cell death,” explained senior investigator on the study, Muniswamy Madesh, PhD, Professor in the Department of Medical Genetics and Molecular Biochemistry and Center for Translational Medicine at LKSOM. “Now, we show that MCU has a functional role in both calcium regulation and the sensing of levels of reactive oxygen species (ROS) within mitochondria.”

“MCUは、細胞を生体エネルギー危機から保護する、細胞内エネルギー生産のためのミトコンドリアカルシウム取り込みを駆動する役目と、カルシウム過負荷誘導細胞破壊引き起こす役割で知られてきました。”と、本研究の主任研究員で、臨床遺伝学・分子生化学とトランスレーショナル医療センター教授Muniswamy Madesh博士が説明しています。”現在我々は、MCUが、ミトコンドリア内部のカルシウム調節と活性酸素種(ROS)濃度検知の双方において、機能的役割を果たしていることを明らかにしています。”

3月2日にMolecular Cell誌にオンライン掲載された本研究は、ミトコンドリアのROSセンシングにおけるMCUの直接的な役割を世界で初めて確認しています。

ミトコンドリアカルシウム取り込み

In previous work, Dr. Madesh and colleagues were the first to show how the MCU protein complex comes together to effect mitochondrial calcium uptake. “We know from that work, and from existing work in the field, that as calcium accumulates in mitochondria, the organelles generate increasing amounts of ROS,” Dr. Madesh said. “Mitochondria have a way of dealing with that ROS surge, and because of the relationship between mitochondrial calcium uptake and ROS production, we suspected ROS-targeting of MCU was involved in that process.”

先行研究において、マデシ博士と同僚等は、MCUタンパク質複合体が、ミトコンドリアカルシウム取り込みを達成するために協力する仕組みを初めて明らかにしています。”我々は、その研究とこの分野の既存研究から、ミトコンドリアにカルシウムが蓄積されると、その細胞小器官がどんどんROSを発生させることが分かっています。”と、博士は言いました。”ミトコンドリアは、ROSが急増することに対処する術を持っていて、ミトコンドリアカルシウム取り込みとROS生産の相関関係の理由から、我々は、MCUのROSターゲッティングが、そのプロセスに対して何らかの関わりを持っているのではないかと疑っています。”

S-グルタチオン化

In the new study, Dr. Madesh and colleagues employed advanced biochemical, cell biological, and superresolution imaging to examine MCU oxidation in the mitochondrion. Critically, they discovered that MCU contains several cysteine molecules in its amino acid structure, only one of which, Cys-97, is capable of undergoing an oxidation-induced reaction known as S-glutathionylation.

今回の新しい研究の中で、博士と同僚等は、ミトコンドリアにおけるMCU酸化を詳しく調べるために、最先端の生化学、細胞生物学、超解像イメージングを駆使しています。決定的だったのは、彼等が、MCUが、自身のアミノ酸構造において、いくつかのシステイン分子を含んでいて、そのうち1つだけ(Cys-97)が、S-グルタチオン化として知られている酸化誘導反応に耐える事ができる事を発見したことでした。

Cys-97酸化誘導S-グルタチオン化

Structural analyses showed that oxidation-induced S-glutathionylation of Cys-97 triggers conformational changes within MCU. Those changes in turn regulate MCU activity during inflammation, hypoxia, and cardiac stimulation. They also appear to be relevant to cell survival – elimination of ROS-sensing via Cys-97 mutation resulted in persistent MCU channel activity and an increased rate of calcium-uptake, with cells eventually dying from calcium overload.

構造解析が、Cys-97の酸化誘導S-グルタチオン化が、MCU内部の立体構造変化を引き起こすことを明らかにしました。そういった変化が、その後、炎症、低酸素症、心刺激の間、MCU活性を規制しています。それらは、Cys-97突然変異によるROSセンシングの除去が、持続的MCUチャネル活性と、カルシウム過負荷により最終的に細胞が破壊される事を伴う、カルシウム取り込みの速度増大をもたらしましたので、細胞生存にも関係しているように見えました。

重要なのは、博士と同僚等が、Cys-97のS-グルタチオン化が可逆的である事を発見したということです。”可逆的酸化は、タンパク質機能の規制に対して絶対不可欠です。”と、博士は説明しています。酸化によってスイッチが入ると、Cys-97は、細胞破壊を永続化させるMCUチャンネル活性を増大させます。酸化は、脅威が去ると反転します(スイッチオフ)。

The findings could have implications for the understanding of metabolic disorders and neurological and cardiovascular diseases. “Abnormalities in ion homeostasis are a central feature of metabolic disease,” Dr. Madesh said. “We plan next to explore the functional significance of ROS and MCU activity in a mouse model using genome editing technology, which should help us answer fundamental questions about MCU’s biological functions in mitochondrial ROS-sensing.”

今回の発見は、代謝異常や神経疾患、心血管疾患の理解に影響を及ぼす可能性があります。イオン恒常性における異常性は、代謝病の主要な特徴でもあります。”我々は、次に、ゲノム編集技術を使ったマウスモデルを使ってROSとMCU活性の機能的重要性を研究する予定で、その事が、我々が、ミトコンドリアROSセンシングにおけるMCUの生物学的機能についての基本的な疑問に答える手助けをしてくれるはずです。”

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