ウクライナ軍は近日中にドンバスで大規模な反抗作戦を開始する

ウクライナ軍は、5月9日のロシアの対独戦勝記念日にドンバス戦線で大攻勢をかけてくると思われます。イジューム方面のロシア軍は、補給路確保に四苦八苦している最中で、ウクライナ軍の巧みな機動防御とヒットエンドラン戦法(一撃離脱戦法)に翻弄されて、大損害を出してるにもかかわらずほとんど前進できていない状態が数週間続いています。

ロシアはドローン不足

ウクライナ軍は、マンシュタインが提唱した後の先を踏襲して、機動防御と一撃離脱戦法を繰り返すことで、露軍の攻撃モメンタムを削ぐことに成功しています。ロシア軍には索敵という概念がないようで、ウクライナ軍に好きなように攻撃を許しています。ウクライナ軍が、アメリカから正確な露軍の位置情報を得ることで、ドローンと長距離砲を使った精密砲爆撃を次々と成功させている一方で、露軍はウクライナ軍のロジスティクス破壊はおろか、ドローン・砲兵部隊の正確な位置を全く把握できていない体たらくっぷりを露呈し、イジュームの最前線に視察に来ていたヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長が、宇軍の精密砲撃によりもう少しで戦死という大失態を演じています。(※ゲラシモフ参謀総長については、プーチン氏が粛清目的で最前線に送ったという説もあります)。イジューム上空は、宇軍が最新鋭のドローンで制空権を確保している状態で、ロシア軍が大苦戦を強いられているのも頷けます。ロシアは空軍がMIA状態な上に、明らかにドローン不足に陥っているので、戦況を挽回するのはかなり困難な状況になっています。中国がドローンや他の戦略物資をロシアに売却するのを渋り続け、西側が武器・弾薬をウクライナに送り続ける限り、ロシアが通常兵器だけでウクライナを屈服させることはほぼ絶望的で、ウクライナ領内から押し戻されるのも、それが今年なのか、数年後なのかは分かりませんが、時間の問題になりつつあります。

ウクライナ軍はイジューム戦域で攻勢に出る

イジューム戦線は一進一退の膠着状態が続いていますが、これは宇軍の機動防御が功を奏していることに起因しています。マンシュタインの後の先は、機動防御により敵の攻撃モメンタムを削いだ後で、敵後方の補給路を遮断して攻撃部隊を孤立させるという、非常にオーソドックスな戦法ですが、ロシア軍もこのことには気付いているようで、補給路を遮断されないように後方にかなりの部隊を展開させています。ロシアとしては、Valuyki-Kupiansk-Izyum(ヴァルイキ-クピャンスク-イジューム)ラインの死守は必須課題になっています。ここを遮断された場合、イジュームに展開している3万人の露軍は孤立し、最終的に宇軍に殲滅させられることは火を見るより明らかです。ウクライナ軍は、クピャンスクを砲撃できる位置まで前進できれば、ロシア軍の補給・増援部隊に対して、M982エクスカリバーGPS誘導砲弾の集中砲火を浴びせられるようになるので、ロシア軍はこの方面でもウクライナ軍の進撃にチェックを入れる必要があります。ウクライナ軍は、ドイツ、ポーランド、カナダ、イギリス等で、最新兵器の取り扱い教練を受けている最中なので、彼らが帰国した暁には、ロシア軍はますます大苦戦を強いられることになると思われます。

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