量子コンピューターは、quantum bit = qubit (キュービット、量子ビット)を用いたコンピューターで、DNAコンピューターと共に次世代コンピューターの双璧を成しています。トランジスターを用いた現在のbinary digit (bit = ビット)が0か1の2つのステートをスイッチのオン・オフによりコントロールしているのに対し、qubitは同時に0と1の2つのステートになることもできるので、1度に2つの計算を同時に実行することができるのです。2個のキュービットで一度に4つの計算をこなし、3個なら8計算、4個なら16計算を一度に実行することができるそうです。将来的に40個以上のキュービットを使った量子コンピューターが可能になるらしいので、仮に40個の量子ビットを使った量子コンピューターが完成したとすれば、240の1.0995116e+12というとてつもない数の計算を同時に実行することができるようになるようです。私は学生時代卒論に量子コンピューターについて書いたのですが、勉強したことを全て完璧に忘れてしまっています。キュービットについてはかなり詳しく学んだのですが、何とも情けない限りです。
原子の位置を正確に示す
World-first pinpointing of atoms at work for quantum computers
Scientists can now identify the exact location of a single atom in a silicon crystal, a discovery that is key for greater accuracy in tomorrow’s silicon based quantum computers.
「科学者は今、将来のシリコンベースの量子コンピューター分野で、高精度の鍵である発見、シリコン結晶内の単一原子の正確な位置を特定することができます。」
It’s now possible to track and see individual phosphorus atoms in a silicon crystal allowing confirmation of quantum computing capability, but which also has use in nano detection devices.
「シリコン結晶内の個々のリン原子を探知して見ることが今現在可能となり、量子計算の将来性に確証を与えるだけでなく、ナノ探知デバイス分野での利用をも可能にします。」
今現在の量子コンピューターの一番のbottleneckがerror proneということなので、今回の発見で精度が飛躍的に向上しエラーを減らせれば、本格的な実用化に向けた第一歩を踏み出すことができるようになるかもしれません。
グーグルが量子コンピューターを開発中
Google moves closer to a universal quantum computer
Combining the best of analog and digital approaches could yield a full-scale multipurpose quantum computer.
「アナログとデジタルの良いとこ取りアプローチが、本格的な多目的量子コンピューターを産み出すかもしれません。」
digital方式はerror correctionが可能な反面、scale upが困難な一方で、analog方式はerror correctionが不可能な反面、scale upが容易という、それぞれの良いとこ取りで、error correctionが可能でscale upが容易な量子コンピューターをグーグルが開発中らしいのです。
But the new Google device can also handle so-called ‘non-stoquastic’ problems, which classical computers cannot. These include simulations of the interactions between many electrons, which are needed for accurate computer simulations in chemistry. The ability to simulate molecules and materials at the quantum level could be one of the most valuable applications of quantum computing.
「しかし、新しいグーグルデバイスは、伝統的なコンピューターができない’non-stoquastic’と呼ばれている問題を扱うこともできます。これらは、化学分野の正確なコンピューターシミュレーションに必須な多数の電子間の相互作用のシミュレーションも含みます。分子と物質を量子単位でシミュレートする能力は量子コンピューターの最も価値のある用途の1つになりえるのです。」
non-stoquastic が良く分からないので調べてみました。
Adiabatic quantum algorithms for optimization problems typically use “stoquastic” Hamiltonians, which do not suffer from the sign problem. Such algorithms are sometimes referred to as quantum annealing. Adiabatic quantum computation with non-stoquastic Hamiltonians is as powerful as the quantum circuit model.
Quantum Algorithm ZooA comprehensive list of quantum algorithms.
「最適化問題のための断熱量子アルゴリズムは典型的に、符号問題を患わない “stoquastic” ハミルトニアンを用います。そのようなアルゴリズムは量子アニーリングと呼ばれることもあります。non-stoquastic ハミルトニアンを用いた断熱的量子計算は、量子回路モデルと同じくらいパワフルです。」
stoquastic ハミルトニアンは符号問題を回避する目的で使われているみたいです。stoquastic ハミルトニアンを用いたアルゴリズムを量子アニーリングと呼ぶみたいです。量子アニーリングについてはこの量子アニーリングサイトが参考になります。non-stoquastic については、このサイトが参考になります。このサイトによると、
Non-stoquastic (both signs in off-diagonal)
Difficult to efficiently simulate classically.
「Non-stoquastic (両サイン、+と-が非対角)、従来のコンピューターでは効率的にシミュレートするのが難しい。」
参考サイト Engineers at the search engine giant combine the two major quantum computing techniques.超極細超伝導ナノワイヤー
日本の大学も頑張っているようです。世界最小クラスの超極細超伝導ナノワイヤーを実現 慶応義塾大学ほか
今回の研究では、超伝導デバイスで実用化されている窒化ニオブ超伝導体でナノワイヤーの作製に成功したことや、シリコンチップ上で電子デバイス化にも成功していることから、量子ビットや超高感度光検出器といった新たな超伝導量子デバイス応用が期待される。
超極細超伝導ナノワイヤーを用いたキュービットが開発されれば、量子コンピューターの性能向上が見込めるんじゃないでしょうか。今後5年間でこの分野は飛躍的な発展を遂げるかもしれません。宇宙の神秘の解明は、もはや時間の問題になったと言えるのではないでしょうか。