今週、Proceedings of the National Academy of Sciences に、オンライン掲載された 研究論文によると、タフツ大学の工学者達が、負荷で色が変化したり、薬を運んだり、光に反応する機械部品などの、生物学的、化学的、光学的機能を持った事前にプログラム可能な、絹タンパク質で作られている固体の新しいフォーマットを作り出しました。
3次元バルク材
Engineers create programmable silk-based materials with embedded, pre-designed functions
Using a water-based fabrication method based on protein self-assembly, the researchers generated three-dimensional bulk materials out of silk fibroin, the protein that gives silk its durability. Then they manipulated the bulk materials with water-soluble molecules to create multiple solid forms, from the nano- to the micro-scale, that have embedded, pre-designed functions.
「タンパク質自己組織化に基づく水性製造法を使い、研究者は、シルクに耐久性を与えている蛋白質、絹フィブロインから3次元バルク材を生成しました。それから彼等は、内蔵された事前設定された機能を持つ、ナノからマイクロスケールに至る多固形を作り出すために、水溶性分子を使ってそのバルク材を処理しました。」
壊れる前に色が変わる
例えば、研究者は、機械的限界に近付いてまさに壊れようとしている間、色が変わる手術用ピン、赤外線に応答してオンデマンドで熱くなる機能的スクリュー、酵素などの生物活性剤の徐放を可能にする生体適合性コンポーネントを作り出しました。
さらなる研究が必要ではあるのですが、成長因子や酵素を内蔵した整形外科用の新しい機械部品、トルクリミットに達するにつれ色が変化する手術用スクリュー、周囲の環境状態を感知して報告するナットとボルトなどのハードウェア、形を変えたり整えたりできる家庭用品を、追加のアプリケーションに含めることができるかもしれません。
絹蛋白質フィブロイン
Silk’s unique crystalline structure makes it one of nature’s toughest materials. Fibroin, an insoluble protein found in silk, has a remarkable ability to protect other materials while being fully biocompatible and biodegradable.
「絹のユニークな結晶構造が、それを自然界の最も丈夫な物質の1つにしています。絹に含まれる不溶性タンパク質、フィブロインは、完全に生体適合性で生体分解性である一方で、他の物質を保護する驚くべき能力を持っています。」
”生体ポリマーに機能要素を埋め込めんで、それらの自己集合性を制御し、それらの最終形態を修正する能力は、高性能な多機能材料の生物学的製造(生物からヒントを得ている製造方法)のための、非常に大きな機会を創出しています。”と、論文指導教官で責任著者のフィオレンツォ・オメネット博士が言いました。
シルク(絹)の潜在能力の高さには改めて驚かされます。お蚕さんはさすがお蚕様と呼ばれていただけの事はあります。ペットとしても飼ってもとても愛嬌があって可愛いし、出来た絹は食べれるという話だし(しかも体にも良いらしい)、中には蛹ごと繭を食べてしまう強者もいるし、蚕さんを生きたまま食べちゃう人さえいるみたいです。パネーです。
一番驚いたのは、金製ナノロッドと一緒に組み立てられたシルクフィブロインスクリューが、LEDによって放出された赤外線にさらされると、160℃まで熱くなることができるということです。極寒でも凍結しない機械部品作りに使えそうな気がします。