夢の心臓細胞再生(心臓自己修復)に道筋をつける画期的研究

米疾病対策予防センターによると、心筋は、人体で最も再生されにくい組織の1つで、心臓病が、米国内で男女共に死因の第1位である理由の1つになっています。心臓が自己修復する手助けをするという考えに触発され、ベイラー医科大学とテキサス心臓研究所の研究者達は、心臓細胞機能に関わっていることで知られている経路を研究し、今まで知られていなかった、心臓が自己修復するのを妨げているプロセス間の関係を発見しています。Nature誌に掲載された今回の発見が、将来、心臓細胞再生を助長する方法を開発する可能性を開いてくれています。

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ヒッポ経路とDGC経路

Research reveals new insights into why the heart does not repair itself

“We are investigating the question of why the heart muscle doesn’t renew,” said senior author Dr. James Martin, professor and Vivian L. Smith Chair in Regenerative Medicine at Baylor College of Medicine. “In this study, we focused on two pathways of cardiomyocytes or heart cells; the Hippo pathway, which is involved in stopping renewal of adult cardiomyocytes, and the dystrophin glycoprotein complex (DGC) pathway, essential for cardiomyocyte normal functions.

”我々は、何故、心筋が再生しないのかという疑問を調査しています。”と、本研究上級著者のベイラー医科大学再生医学教授ジェームズ・マーティン博士は言いました。”本研究では、私たちは、成熟心筋細胞再生阻害に関与しているヒッポパスウェイ(ヒッポ経路)と、心筋細胞の正常機能に欠かせない、ジストロフィン糖タンパク質複合体(DGC)経路の、心筋細胞(心臓細胞)の2つの経路に焦点を当てています。”

私達は、DGC成分における変異を、こういった変異を持つ患者達が、筋ジストロフィーと呼ばれる筋肉消耗疾患を患っている理由から、研究することにも関心を持っています。

ジストログリカン

Previous work had hinted that components of the DGC pathway may somehow interact with members of the Hippo pathway. In this study, Martin and colleagues studied the consequences of this interaction in animal models. The researchers genetically engineered mice to lack genes involved in one or both pathways, and then determined the ability of the heart to repair an injury. These studies showed for the first time that dystroglycan 1, a component of the DGC pathway, directly binds to Yap, a part of the Hippo pathway, and that this interaction inhibited cardiomyocyte proliferation.

過去の研究が、DGC経路の構成因子が、ヒッポ経路の一部と、何らかの形で、相互に作用している可能性があることを示唆しています。今回の研究で、マーティン博士と同僚達は、動物モデルを用いて、この相互作用の影響を研究しています。彼等は、どちらかの経路か両経路に関連している遺伝子を欠損するために、ネズミたちを遺伝子操作し、その後、損傷を修復するための心臓の能力を判定しました。これらの研究が、DGC経路成分ジストログリカン1が、ヒッポ経路の一部Yapと直に結合して、この相互作用が心筋細胞増殖を阻害する事を示しています。

心筋細胞増殖促進剤の開発

”ヒッポ経路とDGC経路が心筋細胞内でつながり、連携して、細胞増殖のブレーキ(停止信号)として機能していることの発見は、この交互作用を阻害することで、将来、成熟心筋細胞が増殖するのを助長して、心臓発作によって生じる損傷治癒の可能性を開いてくれます。”

この発見は、筋ジストロフィーを患う子供達の心機能向上に利用できるかもしれません。

“Patients with muscular dystrophy can have severe reduction in cardiac function,” Martin said. “Our findings may help to design medicines to slow down cardiac decline in muscular dystrophy by stimulating cardiomyocyte proliferation. In order to do that, we need more research to understand cardiomyocyte growth control pathways in greater detail.”

“筋ジストロフィー患者は、心臓機能が極度に低下します。私達の発見が、心筋細胞の増殖を促進させることで、筋ジストロフィーの心機能低下を減速するための薬をデザインするのに役立つかもしれません。その目標を達成するために、私達は、心筋細胞増殖制御経路を今まで以上に詳しく理解するためのさらなる研究が必要です。”

人は生まれつき成熟心筋細胞が増殖しないようにプログラムされていることに、何か神の意思のようなものを感じます。とは言っても、一昔前は、虫垂炎や結核が不治の病だったことを考えると、医学の進歩が人の寿命を延ばしていることには何ら変わりはないので、心筋細胞を増殖させる薬が開発されれば、心臓が劣化の一途をたどる心臓病患者達には超朗報です。

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