脳神経細胞は脳梗塞後に未使用の新たな電池を獲得

脳梗塞でダメージを受けた脳の神経細胞は、その後新品未使用の電池(エネルギー源)を得ることが可能なようです。それは、カーバッテリー上がってしまい、車のエンジンがかからなくなってしまった時に、JAFを呼んだり、近所の人にお願いして、ジャンプスタートを試みる行為に似ているようです。

もちろん、ジャンプスタートは新品のバッテリーを得るのとは違いますが、バッテリーを充電する行為は、新たな電源を得るという事でもあるので、新しいカーバッテリーと交換しなくても、バッテリーが新品同様になったと言えます。

ミトコンドリアは細胞の電池

Neurons get fresh ‘batteries’ after stroke

When damaged neurons lose their “batteries,” energy-generating mitochondria, they call on a different class of brain cells, astrocytes, for a boost, a new study suggests. These cells respond by donating extra mitochondria to the floundering neurons. The finding, still preliminary, might lead to novel ways to help people recover from stroke or other brain injuries, scientists say.

「神経細胞が、バッテリー、エネルギーを作り出すミトコンドリアを失うと、異種の脳細胞、星状細胞に、応援を頼みます。と新しい研究が示唆しています。これらの細胞は、もがき苦しんでいる神経細胞に余分なミトコンドリアを寄付することで、要望に応えます。その発見は、まだ予備段階ですが、脳梗塞、または、他の脳損傷から人々が回復するのを助けるための新たな方法をもたらすかもしれません。と学者達が言っています。」

神経細胞にとっての新しい電池とはミトコンドリアのことのようです。ミトコンドリアは細胞のエネルギー源なので、電池とも言えるのかもしれません。細胞が動かなくなったら、電池交換をすれば、再び細胞が動き出すみたいな感じです。

アストロサイトはニューロンの守護神

“This is a very interesting and important study because it describes a new mechanism whereby astrocytes may protect neurons,”

「これは、アストロサイトが神経細胞を保護しているかもしれない、そのための新しいメカニズムを説明しているので、とても興味深く、重要な研究です。」

星状細胞(アストロサイト)とはそもそも何ぞや?という疑問があるので調べてみました。

アストロサイトの性格はどうやって決まる?

従来情報処理はニューロンが担っていると考えられており、支持細胞であるアストロサイトの機能は血液脳関門の維持や、ニューロンの支持・保護・栄養補給など安定した環境の提供などであると考えられてきた。しかし、近年アストロサイトが、シナプス形成の調整やニューロンとの伝達物質のやり取りを直接行ってい る可能性がある等の報告がされ始め、その機能多様性に注目が集まっている。

アストロサイトは、ニューロンに勝るとも劣らない、非常に重要な脳細胞のようです。

ミトコンドリアはエネルギー生産工場

To keep up with the energy-intensive work of transmitting information throughout the brain, neurons need a lot of mitochondria, the power plants that produce the molecular fuel—ATP—that keeps cells alive and working. Mitochondria must be replaced often in neurons, in a process of self-replication called fission—the organelles were originally microbes captured inside a cell as part of a symbiosis. But if mitochondria are damaged or if they can’t keep up with a cell’s needs, energy supplies can run out, killing the cell.

「脳の至る所に情報を伝達するエネルギー集約型作業をこなすために、ニューロンは、細胞達を生かして働かせ続ける分子燃料、ATP(アデノシン三リン酸)を生産するパワープラントである、大量のミトコンドリアを必要とします。ミトコンドリアは、分体と呼ばれる自己再生の工程で、ニューロン内で頻繁に交換される必要があり、その細胞小器官は、元々、共生関係の一環として、細胞内へ取り込まれた細菌です。しかし、ミトコンドリアがダメージを受けたり、あるいは、細胞のニーズに応えられない場合、エネルギー供給が底を突き、細胞を破壊してしまいます。」

ミトコンドリアは細菌だったというのが定説のようですが、腸内細菌が数億年前から脊椎動物と共生していたかもしれないという学説(というか仮説)を信じれば、それもうなずけます。細菌、善玉菌は体内でさまざまな重要な役割を担っており、人間にとっては細胞並に重要な存在になっています。腸内細菌の善玉菌を増やすためにも、発酵食品とオリゴ糖の摂取は欠かせませんし、ごぼうやこんにゃくのような食物繊維の多い食品も食べた方がいいです。

アストロサイトは掃除屋

In 2014, researchers published the first evidence that cells can transfer mitochondria in the brain—but it seemed more a matter of throwing out the trash. When neurons expel damaged mitochondria, astrocytes swallow them and break them down.

「2014年、研究者は、脳の中で、細胞がミトコンドリアを譲渡できる最初の証拠を発表しました。しかし、それはせいぜいゴミを捨てているようにしか見えませんでした。ニューロンが、損傷したミトコンドリアを放出すると、アストロサイトはそれらを飲み込んで分解します。」

2014年の段階では、ミトコンドリアが寄付されると言うよりも、傷付いたミトコンドリアが吐き出され、それをアストロサイトが取り込んで分解するみたいな感じだったようです。

アストロサイトは、ニューロンに新品のミトコンドリアを寄付するだけでなく、ニューロンが吐き出したミトコンドリアを掃除までしてくれるようです。とんでもない万能細胞です。

CD38という酵素

Previous studies hinted that astrocytes may pick up on neurons’ “help me” signals using an enzyme called CD38,

「以前の研究が、アストロサイトは、ニューロンの”助けて”信号を、CD38と呼ばれる酵素を使って感知しているかもしれない事をほのめかしています。」

The enzyme, produced throughout the body in response to injury or damage, is also made by astrocytes.

「損傷、または、ダメージに応えて、体中で生産されるその酵素も、また、アストロサイトによって作られています。」

アストロサイトが自分で作った酵素でるCD38を使って、ニューロンのSOSを察知、新品のミトコンドリアを寄付するみたいな感じです。とんでもない細胞があったのですね。

とは言っても、全てはまだ仮説段階で、今後の研究によって、本当にアストロサイトがCD38を使ってニューロンの危機に駆け付けるのかどうかを検証していくみたいです。非常に面白い仮説であり、研究でもあります。今後の成果が期待されます。